塗装現場で要注意!転落事故の対策方法を解説

現場の研究 外壁屋根工事・工法 2022.10.12 (最終更新日:2023.08.01)
LINEで送る Twitterでシェア Facebookでシェア

塗装現場では高所で作業する機会も多く「高所から転落するリスク」を考慮しなければなりません。実際に転落事故によって大けがをしたというケースもあり、現場で作業を行う職人の皆様の命に関わる重大な問題になっています。

今回は、そんな転落事故の事例と対策をご紹介します。

転落事故の現在の被害状況

※イメージ写真

近年、労働災害による死亡者と死傷者数は、減少傾向にあると言われていますが、そのような中、建設業界では、昨年(令和3年)だけでも死亡者数は288名、死傷者数は16,079名に上ります。

事故の種類としては「転落・墜落」が最も多く、死傷災害で30.3%、死亡災害では38.2%を占めています

また、アステックペイントの塗料をご利用いただいている塗装会社様へ行ったアンケートでも、78名中58名(74.4%)の方が今まで転落事故を経験されています。このように転落事故は、現場で作業を進めるうえで特に注意が必要です。

※厚生労働省 厚生労働省 死亡災害報告、労働者死傷病報告 参照
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei11/rousai-hassei/dl/s21-16.pdf

転落の事故事例とその対策

※イメージ写真

ここでは、実際に発生した事故事例を3つ紹介します。

事例①フェンス破損による転落

※イメージ写真

概要

<状況>

高さ約7~8mの擁壁上の工事中

<事象>

①道路に面している面にフェンスが設置されていた

フェンスの強度低下に気づかず、足場の昇り降りの際にフェンスに乗ってしまった

②その結果、フェンスが破損し約7~8m下の地面まで落下した

③1名で作業を行っていたため、発見までに時間を要してしまった

被災状況

全身を強打し、頭蓋骨骨折、大腿骨骨折

全治約2年の大けが

事故原因

・足場が狭く作業しにくい状態だった

・足場の昇り降りでフェンスの乗ってしまった

・フェンスが経年劣化で強度低下していた

事故対策

・落下危険箇所を事前に確認し、物件に元々備わっている部材などに体重をかけない

・足場の昇り降り用の昇降階段を設置する

まとめ

今回の現場は足場が狭く、作業しにくかったこともあり、足場の昇り降りの際にフェンスに乗ってしまいました。事前に落下危険箇所の確認、備え付けの部材(フェンスや室外機など)には乗らないことが重要です。また、万が一の事態に備え、原則2名以上で作業を行いましょう。

事例② 塗装作業中の転落

※イメージ写真

概要

<状況>

3階のベランダ防水工事中

<事象>

①強溶剤系の製品を使用し、その製品の蒸気がこもりやすい状況だった

②その状態で防毒マスクを付けずに作業していたため、溶剤の蒸気を多く吸い込み、立ち眩みやめまいが発生
意識が薄れた状態で足場に移動しようとしたところ足場とバルコニーの間の養生に気づかず、養生箇所に乗ってしまいそのまま転落

被災状況

3階建て(約10m)の高さから転落し、全身を強打

現場復帰をするまでに約2週間を要した

事故原因

・有機溶剤の蒸気がこもりやすい状態だった

・防毒マスクなど溶剤の対策を行っていなかった

・足場とベランダの間に養生をしていた

事故対策

・防毒マスクを着用して作業を行う

・足場と外壁面の隙間を狭くする

・足場と外壁面の隙間の調整が難しい場合は、転落防止用のネットを設置する

まとめ

有機溶剤の蒸気は吸いすぎると非常に危険です。

有機溶剤中毒になり、しばらく有機溶剤系を扱うことができなくなるケースもあります。

溶剤系の材料を使用する場合は、防毒マスクなどの対策を徹底しましょう。

事例③ 現場調査中の転落

※イメージ写真

概要

<状況>

屋根の現場調査中

<事象>

①屋根の現場調査を行うために、1人で2階建て(約6m近く)の戸建て住宅屋根に登り、足を滑らせて地上まで落下

②ヘルメットは着用していたが、その他の墜落防止措置は取っていなかった

被災状況

両足のかかとを骨折、および全身打撲

事故後3~4ヶ月は歩く事ができず、車いす生活

仕事復帰には数年かかった

事故原因

・墜落防止措置を取らずに屋根に登った

・屋根面が滑りやすかった

事故対策

・転落防止措置を行っていない状態で屋根に登らない

・高所点検カメラ・ドローンを活用し、調査を行う

まとめ

屋根に登っての調査は非常に危険です。転落した場合、後遺症が残り、日常生活に使用をきたすケースもあります。

高所点検カメラやドローンを活用し、安全に調査を行いましょう。

■事故対策について詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。

関連記事
高所点検用ロッド「Bi Rod」の特徴と使い方
高所点検用ロッド「Bi Rod」の特徴と使い方
屋根の現場調査や定期点検は「高所作業(※)」のため、足場や親綱などの安全対策が不足していると、屋根から足を滑らせて墜落事故が発生す
続きを読む
関連記事
【インタビュー】塗装会社に聞く!高所点検用ロッド「Bi Ro
【インタビュー】塗装会社に聞く!高所点検用ロッド「Bi Ro
現場調査の際、下記のようなご経験がある方はありませんか? ■屋根の現場調査で危うく転落しかけた■屋根調査中に劣化したコロニアルが割
続きを読む

まとめ

今回は転落事故の事例および対策を紹介しました。

安全対策は日々の積み重ねが大切であり、特に転落事故は全国的に発生している事例です。

皆様の現場で同様の事故を起こさないためにも、事故事例および対策を参考にしていただければ幸いです。


記事監修】株式会社アステックペイント 谷口智弘

株式会社アステックペイント技術開発本部 本部長
住宅用塗料市場のマーケティング分析・品質管理を行う「商品企画管理室」、塗料の研究・開発を行う「技術開発部」、塗料の製造・生産・出荷を行う「生産部」塗装品質の向上のための施工指導を行う「フィールドエンジニア部」を統括する責任者として、高付加価値塗料の研究・開発、塗装現場の品質管理のための活動を行っている。

運営会社】株式会社アステックペイント

AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。

この記事に関連する用語

記事カテゴリ

  • 塗装業界チャンネル
  • 営業活動レポート
  • 経営サポート
  • 塗装の現場から
  • 代表コラム
  • 製品紹介
閉じる