シーリング材の選び方|購入時に外してはいけない3条件

2026.06.19
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「いつもの販売店に頼んでも、希望するシーリング材がすぐに入らない」「工程が詰まっているのに、材料手配で現場が止まりそう」――そんな悩みを感じたことはないでしょうか。

足元では、原材料であるナフサの影響を受け、建築用シーリング材の価格改定や供給面の不安定さが話題になっています。実際に、メーカーからのシーリング材の出荷停止など、現場では“材料をどう確保するか”そのものが管理課題になりつつあります。

一方で、ホームセンターではシーリング材が入手できるケースがあります。ただし、手に入る製品をそのまま代用すればよいわけではありません。塗装との相性、目地への追従性、汚染リスクまで見たうえで選ばないと、後工程や引き渡し後に不具合へつながる可能性があります。

特に塗装会社・施工店・現場管理者にとっては、シーリング材の選定ミスが、手直し、工程遅延、原価悪化、さらには元請けや施主からの信用低下につながることもあります。材料不足の局面ほど、代替材選びの基準を明確にしておくことが重要です。

本記事では、シーリング材が通常ルートで手配しにくい今、ホームセンターで購入する際の選び方と、現場で見直したい運用ポイントについて整理してご紹介します。

この記事でわかること
・ホームセンターでシーリング材を選ぶ際に外せない3条件
・現場で起こりやすい選定ミスとその背景
・代替調達時に確認すべき表示・仕様・運用ルール
・再発防止につながる現場管理の考え方

なぜ今、シーリング材の選び方を見直すべきなのか

シーリング材が不足しやすい局面では、現場で「とにかく使える物を確保したい」という判断が先行しがちです。もちろん工程を止めないことは重要ですが、シーリング材は見た目が似ていても、塗装可否、ブリードの有無、目地追従性、耐候性などが製品ごとに異なります。

そのため、代替品の選定を誤ると、施工直後は問題がなく見えても、塗装後の汚染、ひび割れ、剥離、早期劣化といった形で不具合が表面化することがあります。特に塗装会社では、シーリング工事だけで完結せず、その後の下塗り・上塗り、足場解体、引き渡しまで見据えた判断が必要です。

つまり、シーリング材の選定は単なる副資材の話ではありません。品質管理、工程管理、原価管理、信用維持に関わる実務そのものだと捉えることが大切です。

ホームセンターで購入するなら、まず押さえたい3つの条件

1.変成シリコーン系またはポリウレタン系であること

まず確認したいのは、シーリング材の樹脂系統です。外壁改修や塗装を前提とする現場では、変成シリコーン系、またはポリウレタン系を基本候補として考えるのが有効です。

変成シリコーン系は、塗装性と耐候性のバランスを取りやすく、外装の各種目地でも使いやすい製品が多いのが特長です。実際にコニシ株式会社の「ボンド変成シリコーンノンブリードLM」は、変成シリコーン樹脂系で、ノンブリード、低モジュラスと明記されています。

ポリウレタン系も、変成シリコーン系と同様に上から塗装することができます。ただし、変成シリコーン系に比べて乾燥による体積減少率(肉痩せ)が大きい点に注意が必要です。乾燥途中に塗装を行うと、シーリング材が硬化収縮した際に塗膜にひび割れが生じるおそれがあります。そのため、十分な乾燥時間を確保したうえで下塗材塗装に進むことが重要です。なお、塗装店で広く使用されているオート化学工業株式会社の「オートンイクシード」もポリウレタン系シーリング材のひとつです。

シリコーン系は、表面にシリコーンオイルをまとい、耐候性・耐水性に優れていますが、そのオイルにより塗料との密着がよくありません。そのため、塗装仕上げを前提とする外壁目地への使用は避けることが基本です。外壁塗装の現場で「見た目が似ているから」という理由だけで選ぶのは避けたいところです。

2.ノンブリードタイプであること

次に重要なのが、ノンブリードタイプであることです。

ブリードとは、シーリング材中の可塑剤などがにじみ出て、周辺の塗膜を汚したり、べたつきや黒ずみの原因になったりする現象を指します。ノンブリードとは、こういったべたつきや黒ずみが発生しにくい性質のことです。

なお、あくまでも「発生しにくい」ものであり、条件によって完全に防止できるものではない点に留意が必要です。また、近年ではパーフェクトノンブリードタイプを謳う製品も登場しており、より高い汚染抑制効果が期待できます。

塗装会社の現場では、打設時ではなく、上塗り後や引き渡し後に汚染が目立って問題化するケースがあります。施工時点で見た目が整っていても、後から目地際に汚れが出れば、補修費用や説明対応が発生しやすくなります。

ホームセンターの商品説明でも、「ノンブリードタイプ」「塗料非汚染」と明記されている製品があります。代替購入時は、この表示を必ず確認したいところです。

3.低モジュラスタイプであること

3つ目は、低モジュラスタイプであることです。
モジュラスとは、シーリング材の硬さ(引張応力)を表す指標です。低モジュラス(LM)とは変形しやすく柔軟性が高いことを意味し、「LM」と表記されている製品が該当します。

サイディングやALCなどの目地は、温度変化や部材の動きによって伸縮が起こります。こうした動きに追従しやすい低モジュラスの材料を選ばないと、目地端部のひび割れやシーリング材自体の破断などにつながるおそれがあります。

そのため、ホームセンターで代替品を購入する際も、「LM」「低モジュラス」といった表記を確認することが重要です。製品によっては、ノンブリードと低モジュラスの両方が明記されているものもあります。

現場で起こりやすい選定ミスと、その背景

1.「外壁用っぽい」で選んでしまう

ホームセンターでは、多用途補修用、建築用、屋外用など、さまざまな表示の製品が並んでいます。そのため、名称やパッケージの印象だけで「これなら使えそう」と判断してしまうことがあります。

しかし、実際の現場で重要なのは、外壁に使えるかどうかだけではありません。塗装できるか、ノンブリードか、低モジュラスか、対象下地に適しているかまで確認して初めて、代替材としての適否を判断できます。

2.工程優先で承認なしに購入してしまう

材料不足の時は、職人や担当者が現場判断でホームセンターへ買いに走る場面もあります。緊急対応としては理解できますが、工程を優先するあまり責任者の承認なしに購入してしまうと、元請け案件や保証が絡む現場では、代替品の使用判断に説明責任が伴います。

誰が確認し、誰が使用可否を決めるのかが曖昧だと、現場ごとに判断がばらつきやすくなります。結果として、同じ会社の中でも仕様管理の精度に差が出てしまいます。

3.既存仕様との整合が抜けてしまう

改修現場では、既存シーリング材の種類、打ち替えか増し打ちか、下塗材との相性なども重要です。

今手に入る製品をそのまま使うのではなく、「既存仕様に対して近い条件を満たしているか」という視点で確認する必要があります。

ホームセンターで失敗しないために、現場で見直したい確認ポイント

3条件をチェックリスト化する

代替購入が発生しうるなら、現場で迷わないように事前ルールを決めておくことが重要です。

・変成シリコーン系またはポリウレタン系
・ノンブリードタイプ
・低モジュラスタイプ

この3条件を満たさない製品は、外壁目地や塗装前提の部位には原則使用しない、というルールにしておくと判断がぶれにくくなります。

商品名だけでなく用途欄まで確認する

「NB」「LM」「変成」などの表記があっても、用途欄や注意事項まで確認することが大切です。
使用不可部位、専用プライマーの要否、塗装条件、露出可否などは、実務上のトラブルに直結します。

商品棚で判断しきれない時は、製品ページやメーカー情報を確認し、現場管理者へ共有したうえで使う流れが有効です。

使用記録を残す

代替材を使った現場は、後で追跡できるように記録を残しておくことが大切です。たとえば、以下のような情報を残しておくと、万一の際の原因切り分けに役立ちます。

・製品名
・メーカー名
・購入日
・使用部位
・プライマー使用の有無
・打設日
・下塗材塗装日

これは不具合対応だけでなく、社内の標準化や再発防止にもつながります。

まとめ|シーリング材不足時こそ「選定基準の共有」が第一歩

シーリング材が通常の販売ルートで手に入りにくい時ほど、現場では代替調達の判断が増えます。
その際に重要なのは、「手に入る物を使う」ことではなく、「必要な条件を満たした物を選ぶ」ことです。

ホームセンターで購入する場合は、
①変成シリコーン系またはポリウレタン系であること
②ノンブリードタイプであること
③低モジュラスタイプであること
この3条件をすべて満たしているかを、まず確認することが大切です。

さらに、用途欄まで確認すること、承認フローを設けること、使用記録を残すことまで含めて運用できれば、材料不足の局面でも品質低下を防ぎやすくなります。

シーリング材の選定は、単なる資材調達ではなく、工程管理、原価管理、信用維持に直結する実務です。対症療法ではなく、平時から代替調達のルールを整えておくことが、根本的な再発防止につながります。今後の現場管理や仕様検討の参考としてご活用ください。

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この記事の監修者と運営者

【記事監修】
株式会社アステックペイント 
谷口 智弘

【記事監修】
株式会社アステックペイント 
谷口 智弘

株式会社アステックペイント技術開発本部 本部長
住宅用塗料市場のマーケティング分析・品質管理を行う「商品企画管理室」、塗料の研究・開発を行う「技術開発部」、塗料の製造・生産・出荷を行う「生産部」の3事業部を統括するマネジャーとして、高付加価値塗料の研究・開発を行っている。

【運営会社】
株式会社アステックペイント

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株式会社アステックペイント

AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。2020年以降、遮熱塗料国内メーカーシェアNo.1を連続獲得中。

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