【基礎編】色選びの知識をわかりやすく解説!住まいの色選び教室#01〈専門家監修〉

色提案サポート 色・顔料 2023.07.19 (最終更新日:2024.10.08)
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色選び教室 アイキャッチver3
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住まいの塗装において「色選び」は塗装専門店も施主様も悩む部分ではないでしょうか?

なぜなら、「感覚」や「好み」などの主観的要素に左右されやすく、色選びに必要な客観的な判断基準を持っていないため、多くの方が最終的に結論を出すことが難しくなるようです。

ここで結論から先にご紹介すると、色選びを成功させるポイントは「色彩調和」と「トーン、コントラスト」の2つと言われております。

今回は、色の専門家であるカラーコンサルタントに、住まいの「色選び」に必要な基礎知識を交えながら、わかりやすく解説していただきました。色選びでお悩みの方は、ぜひご覧ください。

色は特定のイメージを想起させる

住まいの「色選び」と言っても、どの切り口から考えるのが良いのか頭を抱えてしまう方もいるでしょう。

一般的に色は特定のイメージを想起させると言われています。住まいの「色選び」をスムーズに進めるためにも、まずは身近な参考事例として、飲料水のパッケージデザインを確認していくのも良いでしょう。

例えば、天然水などの清涼感をイメージさせたい飲料水には「爽やかな青色系」、コーヒーなどの大人向け飲料水には「落ち着いたブラウン系が」採用されることが多いようです。

この事例を住まいの「色選び」に置き替えてみましょう。

まずは、どのような雰囲気や価値観を住まいで表現したいかイメージを固めることが重要です。次に、イメージに近い特性を持つ色をいくつか選びましょう。そして、その色の中から最もイメージに合う色を選びます。

このように、色の特性を活かした色選びを丁寧に行なうことで、あなたのイメージ通りの仕上がりに近づけることができるでしょう。前述のように、色選びを成功させるポイントは「色彩調和」と「トーン、コントラスト」の2つとなりますので1つ1つ説明していきましょう。

「色彩調和」とは

多くの人が心地よく感じる、一定の法則に従い規則的に配色された状態を「色彩調和」と呼びます。色彩調和の状態にするためには、色彩調和を構成している3つの要素の度合いを揃えることが必要です。まずは色の3つの要素を知りましょう。

色彩調和の基本-色の3つの要素-

色の3つの要素とは「色相(色合い)」「明度(明るさ)」「彩度(鮮やかさ)」です。

1.色相(色味)

色相とは、赤、緑、青などの色味のことを指します。

色味ごとに印象が異なり、建物のイメージにも大きな影響を与えます。色相は「感覚」や「好み」で選ばれることも多いのですが、最終的な完成イメージやライフスタイルと、色相の特性が一致していると満足のいく仕上がりになるでしょう。

2.明度(明るさ)

「明度」とは、色の明るさや暗さなどの尺度のことです。

明度によって、軽快感や重量感を表現することができ、色のイメージを大きく変えます。

明度が高い色は膨張して見え、明度が低い色は収縮して見える傾向があるため、建物のデザインにあわせて明度を選ぶと良いでしょう。

3.彩度

「彩度」とは、色の強弱のことで、彩度が高いと色の純度が高くなり鮮やかになります。逆に彩度が低いと色の純度が低くなり無彩色に近づいていきます。

彩度が高い色は、色の密度が高く強いイメージを与えます。一方で彩度が低い色は、無彩色に近づくため「穏やか」「控えめ」な印象になります。一例として、多くの商業施設や看板では、来訪客の目を引くために、彩度が高い色を使用し、目立ちやすくしていることが挙げられます。

色彩調和の実践

色は3つの要素のうち「1~2つの要素を揃える」と調和した配色を実現できます。

色の要素を1つ揃えた場合

色の要素を1つ揃えると、色に共通点が生まれるため、仕上がりの一貫性を保つことができます。

色相が揃っているため、色が調和します。
明度が揃っているため、色相が変わっても調和します。
彩度が揃って低いため、色相・明度が変わっても調和します。

色の要素を2つ揃えた場合

色の要素を2つ揃えることにより、色同士の親和性が高くなり、色彩のハーモニーが生まれます。

しかし、色がまとまりすぎてメリハリがなくなることがあるため、アクセントを入れるなどして引き締める要素が必要になる場合もあります。 

色相がほぼ同じで、明度が共に高いため、彩度に差があっても調和します。
色相が同じで、彩度が共に低いため、明度に差があっても調和します。
色相が異なっても、明度と彩度が同じため調和します。

イメージに合わせて「トーン」「コントラスト」を調整する

「カッコいい」「かわいい」「きれい」「落ち着く」など、塗り替え後のイメージがまとまったとしても、どのように表現すると良いのかは悩みの種になります。

イメージに合わせた色を選ぶためには「トーン」と「コントラスト」の2つの考え方を活用しましょう。

建物のイメージを左右する要素「トーン」

日常の会話の中でも使われる「トーン」ですが、色彩の専門用語としてはグルーピングされた色の集合体を指します。

同一のトーンの色は、同じような明度・彩度の色の集まりと考えてください。

トーンは「かっこいい」「上品」「都会的」などのキーワードと紐づいているため、下記の方法によりトーンをもとに理想の雰囲気に近づける色決めが可能です。

①イメージの方向性を言語化し、極力シンプルな言葉に集約する
②イメージに近いトーンのグループを探す
③トーンのグループの中から、好きな色を2~3色選ぶ。

一つのトーン内で色を組み合わせると「明度」「彩度」が統一されているため、どの色の組み合わせでも調和するという大きなメリットがあります。

アステックペイントでは、色を明度・彩度で分類した「アステックカラートーン」を準備していますので、色選びの際にご活用ください。

建物のイメージを左右する要素「コントラスト」

コントラストは「色相の関係性」「明暗の差(明度)」「主張の度合いの差(彩度)」のことを指し、コントラストを大・中・小に調整することで、建物のイメージが変わります。

一般的に色同士のコントラストが大きければ、硬くシャープに見え、中程度ではナチュラルに、コントラストが低ければ控えめな表現になるため、イメージに合わせてコントラストを調節すると良いでしょう。

「ウォームカラーとクールカラー」の活用

アステックペイントでは、色をウォームカラーとクールカラーに分類しています。これは一般的な暖色・寒色とは異なり、地球上の自然のものの見え方にならったもので新しい色彩調和の考え方になります。

色には「暖かい印象与える色」や「クールな印象を与える色」があり、それぞれのグループ内であれば、どの色でも自然に調和するため建築やデザインの色選びに誰でも活用できます。

無秩序にある色の組み合わせには「経験」や「知識」が必要ですが、この色の分類方法を活用すると色のグループを意識して揃えるだけで、簡単に色彩の調和を実現できます。

まとめ

いかがでしたか?

専門用語だけでは、とっつきにくいとも思われやすい色彩学ですが、実際に身の回りのことと繋げて考えると、決して難しいものではありません。

本記事で解説したように色選びの際には、下記の3つのポイントを意識してみてください。

■色には「色相」「明度」「彩度」の3つの要素がある

■色彩調和は1~2つの色の要素を揃えると実現できる

■イメージにあわせて色の「トーン」「コントラスト」を調整する

「住まいの色選び教室 実践編」では、実践的な色の選び方について解説していますので、あわせてご参考ください。

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この記事の監修者と運営者

【記事監修】
株式会社アステックペイント 
谷口 智弘

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株式会社アステックペイント 
谷口 智弘

株式会社アステックペイント技術開発本部 本部長
住宅用塗料市場のマーケティング分析・品質管理を行う「商品企画管理室」、塗料の研究・開発を行う「技術開発部」、塗料の製造・生産・出荷を行う「生産部」の3事業部を統括するマネジャーとして、高付加価値塗料の研究・開発を行っている。

【運営会社】
株式会社アステックペイント

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株式会社アステックペイント

AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。2020年以降、遮熱塗料国内メーカーシェアNo.1を連続獲得中。

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