難付着系塗膜専用の下塗材「プレミアムSSシーラープライマー」のハジキの原因と対策とは?
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「プレミアムSSシーラープライマー」はアステックペイントが販売している難付着系塗膜に対応できる水性系下塗材で、多くの加盟店様にご使用いただいております。
そのプレミアムSSシーラープライマーですが、冬場に「ハジキが発生した」とお問い合わせをいただくことがあります。今回は、実際に行った再現試験の結果を踏まえ、ハジキのメカニズムと対策についてご紹介します。
目次
プレミアムSSシーラープライマーとは

「プレミアムSSシーラープライマー」は、近年増加しているフッ素・光触媒・無機系などの「難付着系塗膜」を持つ外壁への塗り替えが可能な、付着性に優れた水性形二液下塗材です。
また、難付着系塗膜だけでなく、一般的な塗膜への付着性にも優れており、既存塗膜の種類が判別できない外壁にも安心して使用していただける下塗材です。
難付着系塗膜は、無機成分が多い塗膜です。その塗膜と良好な付着性を発揮させるためには、無機成分が多い下塗材が必要になります。「プレミアムSSシーラープライマー」は、従来の下塗材のような有機成分はもちろん、無機成分も配合されているため、難付着系塗膜への高い付着性を発揮します。
プレミアムSSシーラープライマーに関する詳しい情報は、以下の製品紹介記事をご覧ください。
事例紹介:プレミアムSSシーラープライマー と水性上塗材間で発生したハジキ
この章では、プレミアムSSシーラープライマーで発生したハジキの不具合事例を、検証試験の結果とともにご紹介します。

内容 | |
症状詳細 | プレミアムSSシーラープライマー(白)を施工後、 翌日に上塗材の黒色(1回目)を塗装した際にハジキが発生。 上塗材の黒色(2回目)の塗装でハジキは解消。 |
施工時期 | 2月中旬 (気温 1℃~12℃) |
使用塗料 | 下塗材:プレミアムSSシーラープライマー(白) 上塗材:水性形塗料 |
【検証試験結果】
上記のお問い合わせをいただき、検証試験を実施しました。試験の結果、以下の条件が重なったときにハジキが発生する傾向があることが分かりました。
・B液を多く混合したプレミアムSSシーラープライマーを塗装した場合
・水希釈した水性上塗材を塗装した場合
・低温環境下で塗装をした場合
【試験内容】
○試験条件1:低温環境で、プレミアムSSシーラープライマーのB液の混合比率を変えた場合
パターン① | パターン② | |
下塗り (プレミアムSSシーラープライマー) |
A:B=19:1 |
A:B=19:5 適正混合比率と比較し、B液が多い状態。 |
工程間時間 | 18時間 | |
乾燥条件 | 0℃ / 無風状態 | |
上塗材の希釈率 | 5% |
◯試験結果
パターン②(B液過多)の条件で、ハジキを確認することができました。
また、上塗り2回目を塗装後、碁盤目試験※を実施しました。ハジキが発生した条件においても、碁盤目試験に合格し、上塗り2回目の塗膜の付着性に問題がないことが確認できました。
※碁盤目試験とは、塗膜の付着性を評価する試験のこと。
塗膜表面にカッターナイフで碁盤目状に切り込みを入れ、粘着テープを貼付後、一気に剥がした際の塗膜の剥離状況を確認することで、付着性を判定します。
パターン①:プレミアムSSシーラープライマー 適正混合比率(19:1)

パターン②:プレミアムSSシーラープライマー B液過多(19:5)

試験条件1での検証試験結果を踏まえ、追加で検証試験を実施しました。
次の試験条件2では、上塗材の希釈率に着目し、希釈率の違いによるハジキの発生傾向を検証しました。
◯試験条件2:上塗材の希釈率を変えた場合
試験条件1:低温環境で、プレミアムSSシーラープライマーのB液の混合比率を変えた場合
パターン① | パターン② | |
下塗り (プレミアムSSシーラープライマー) |
A:B=19:5 適正混合比率と比較し、B液が多い状態。 |
|
工程間時間 | 18時間 | |
乾燥条件 |
25℃ |
|
上塗材の希釈率 | 5% | 10% |
◯試験結果
どちらのパターンもハジキが確認できました。プレミアムSSシーラープライマーのB液過多な状態であるとき、水性上塗材の希釈量が多いほど、ハジキが発生しやすい傾向があることが分かりました。

【検証試験から分かった「ハジキ」の要因・考察】
検証試験の結果から、「プレミアムSSシーラープライマーのB液が過多」であることがハジキを引き起こす要因の1つであることが分かりました。
プレミアムSSシーラープライマーは、A液が水性系、B液が弱溶剤系です。B液が規定量よりも多く、局所的に弱溶剤成分が多い塗膜になった場合、プレミアムSSシーラープライマーの上に塗装した水性上塗材が馴染まずに弾かれてしまいます。特に、乾燥が遅くなる低温環境下や水希釈をした水性上塗材で塗装した際に、ハジキが発生しやすい傾向があると考えられます。

予防策と事後対策
◯予防策
プレミアムSSシーラープライマーを適正比率(19:1)で混合し、電動撹拌機を用いて撹拌してください。また、気温が低い冬場は溶剤成分の乾燥が遅くなるため、特に乾燥時間を確保してください。
◯事後対策
溶剤成分を十分に乾燥させた後、無希釈の水性上塗材をハジキが解消されるまで塗装してください。※ハジキが発生した上塗材に同じ上塗材を塗り重ねても、付着性に問題はありません。
まとめ
今回は冬場におけるプレミアムSSシーラープライマーのハジキの事例について、検証試験の結果とともに解説しました。プレミアムSSシーラープライマーはB液が弱溶剤系であるため、混合や撹拌が不十分な場合、不具合が発生する可能性があります。
プレミアムSSシーラープライマーの性能を十分に発揮させるためにも、必ず規定の混合比率を守り、電動撹拌機で撹拌を行った後に使用してください。
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この記事の監修者と運営者

【記事監修】
株式会社アステックペイント
谷口 智弘
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株式会社アステックペイント
谷口 智弘
株式会社アステックペイント技術開発本部 本部長
住宅用塗料市場のマーケティング分析・品質管理を行う「商品企画管理室」、塗料の研究・開発を行う「技術開発部」、塗料の製造・生産・出荷を行う「生産部」の3事業部を統括するマネジャーとして、高付加価値塗料の研究・開発を行っている。

【運営会社】
株式会社アステックペイント
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株式会社アステックペイント
AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。2020年以降、遮熱塗料国内メーカーシェアNo.1を連続獲得中。