日塗工色ってなに?日塗工色見本帳の見方が丸わかり
塗装工事の営業提案において色の提案は非常に重要な役割を持ちます。施主様の工事満足度を左右する色決めは色見本帳が使われるケースが多く、代表的な色見本帳として日本塗料工業会が発行している「塗料用標準色」があります。この色見本帳は一般的に「日塗工色(にっとこうしょく)」と呼ばれています。
そこで本記事では、「日塗工色」とは何か?とその使い方、塗装業界で色を表現する際に使用される日塗工色の番号と、アステックペイント標準色の日塗工対応色をご紹介します。
目次
日塗工とは?
「日塗工(にっとこう)」とは、一般社団法人日本塗料工業会(JPMA)のことを指します。
日本塗料工業会とは、塗料製造業の経営、塗料の環境・安全の情報収集・提供、塗料の需要などに関する調査や研究を行うことにより、日本の塗料工業の健全な発展を目指し、国内の産業および経済の発展に寄与することを目的とし設立された社団法人のことです。日塗工には塗料業界のメーカーや関連業種の企業などが多数所属しており、2024年4月1日時点で、計275社が加入しています。当社も日本塗料工業会に加入しているメーカーの1社です。
日本塗料工業会が発行している色見本帳について
この日本塗料工業会が発行している「塗料用標準色:日塗工色」は、建築物、構造物、設備機器や日本工業規格(JIS)で定められた色など、多くの実用色が収録されています。日塗工の塗料用標準色は世界最大の発行部数を誇り、実際の塗料を用いて制作されているため、極めて精度が高い色見本帳です。現時点の最新版である2024年P版では、600色を掲載しています。
日塗工色見本帳の見方
日塗工色の色番号と使い方
(1)日塗工色の色番号
日塗工色では、下記表のような色と色番号が決められています。
(2)日塗工色の使い方
使用場面としては「建材と同色の色を探す時」や「塗料や塗板を注文する時」に使用されます。
例えば、建材と同色の色を探す時、塗装工事を検討されている建物で、施主様から既存色と同じ色で塗装したいという要望を受けることがあります。その場合、日塗工色見本帳でどの色が最も近いのかを確認するための作業(色取り作業)で使用します。
今回は「P15-60V」という日塗工色番号でした。
日塗工色の記号の意味
色見本の記号には、下記のような意味があります。
記号 | 意味 | 説明 |
P | 発行年記号 | Pの場合:2024年に発行された日塗工見本帳のことを指す。 |
15 | 色相区分 | 有彩色の場合:2桁の数字で表される。 無彩色の場合:”N”で表される。 |
60 | 明度区分 | 2桁の数字で表される。 100に近づくほど明るい色、0に近づくほど暗い色を示す。 |
V | 彩度区分 | アルファベット1文字で表される。 |
日塗工色見本帳が新しく発行される度に発行年記号は変わりますが、その他の部分が同じであれば同じ色味です。
例えば、「P 15-90B」と「L 15-90B」は、「15-90B」が同じなので同一色となります。
また、標準色見本帳は2年ごとに発行され、毎回色票番号の先頭に発行年度を示すアルファベットがつきます。
発行年 | ’01 | ’03 | ’05 | ’07 | ’09 |
年度記号 | A | B | C | D | E |
発行年 | ’11 | ’13 | ’15 | ’17 | ’19 | ’21 | ’24 |
年度記号 | F | G | H | J | K | L | P |
現行の色票番号
現行の色票番号は、色をイメージしやすいマンセル値に基づいた三属性表示方式になっています。マンセル値とは、「色を色相、明度、彩度の3つの属性で表したもの」です。
ただし、2007年のD版より鉛・クロムフリー塗料に変更したため、それ以前の版とは色の見え方が異なる場合があります。
色相区分について
色相とは、色の3属性の1つで、「赤・青・緑など色合いこと」を指し、例えば日塗工番号「P15-60V」で言うと、「15」の部分を表しています。
色相はRed(赤)、Yellow(黄色)、Green(緑)、 Blue(青)、Purple(紫)を基本色として、それぞれの頭文字をとってR、Y、G、B、Pとしています。さらに、この5色の中間色相のRY(赤黄)、YG(黄緑)、BG(青緑)、PB(青紫)、RP(赤紫)を追加した10色で色相を表します。
日塗工の色相区分は、02~99までの数字で表します。また、上の図のR(赤)から時計回りにスタートし、RP(赤紫)にいくにつれて数が大きくなります。 さらに色相や彩度がある色を「有彩色」、ない色を「無彩色」と呼びます。無彩色は、「黒・白・グレーなど」の色のことを指し、色相区分を「N」と表記します。
明度区分について
明度とは、色の3属性の1つで色の明るさを表す度合いのことを指し、例えば日塗工番号「P15-60V」で言うと、「60」の部分を表しています。
白色に近づくほど明度が高く、黒色に近づくほど明度が低いとされています。日塗工の明度区分は、10~99の数字で表し、明度が高い(白に近づく)ほど数が大きくなります。
彩度区分について
彩度とは、色の3属性の1つで、色の鮮やかさの度合のことを指し、例えば日塗工色番号「P15-60V」で言うと、「V」の部分を表しています。
無彩色から離れているほど彩度が高いとされています。日塗工色の彩度区分は、A、B、C、D、F、H、L、P、T、V、W、Xの12個のアルファベットで表し、アルファベット順に彩度が高く、鮮やかな色を表します。また、色相区分でも述べたように、無彩色は彩度を持たないため、表記を省略します。
塗料用標準色の有効期限について
日本塗料工業会では、塗料用標準色の有効期限を3年と定めています。
塗料用標準色は1954年初版が発行されており、塗料業界では色番号だけで通用するため、色の指定には欠かせないツールとして定着しています。色見本帳を基準とすることで、失敗しない色選びや、精度の高い補修を実現することができます。
しかし、色見本帳も当然ながら劣化により変退色が起こる可能性があります。色見本帳の色に変退色が起きていた場合、イメージしていた色と違うという問題につながる可能性があります。そのため色見本帳を活用するときは、円滑な色決めのためにも必ず最新の見本帳を基準にお客様と相談していく必要があります。
アステックペイント標準色について
各塗料メーカーでは、標準色と呼ばれる塗料の色を設定しています。アステックペイントでは、屋根・外壁用の標準色69色に加え、屋根専用色21色がラインナップされています。
アステックペイントでも標準色色見本帳を用意しておりますが、中には日塗工色から住宅の色選びを検討される施主様もいらっしゃいます。その場合、日塗工色を参考にしてメーカーの標準色を選定します。そこで、ここではアステックペイント標準色の塗料用標準色における近似色をご紹介します。
■アステック屋根専用色(全21色)
注意事項について
①アステック標準色を色差計で計測して得た数値を基に、最も近い日塗工色の番号を表記しています。実際に見え方に差異がある可能性がありますので、ご了承ください。
“*”の近似色は、目視で色の違いが判断できる範囲です。
②標準色以外の調色可否に関しては、詳しくは福岡事業本部窓口(092-626-7776)までお問い合わせください。
③艶調整塗料(3分艶・艶消)の場合、艶調整材の影響を受けて白っぽくなる可能性があります。
④屋根用塗料の専用色は、2024年8月9日より、屋根用色の統合を行いました。
なお、無機ハイブリッドコート専用10色、シャネツトップワン限定色(トゥルーホワイト、パワーレッドを除く16色)は2025年2月末に終売いたします。
まとめ
今回は、日塗工の塗料用標準色とアステック標準色に対応する日塗工色票番号についてご紹介しました。色見本帳を正しく活用し、施主様にご満足いただける色選びを実現しましょう。AP ONLINEでは、今回の記事の他にも色選びのコツに関する記事や配色事例集など、色提案のサポートができるような記事を多数投稿しておりますので、ぜひご覧ください。
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この記事の監修者と運営者
【記事監修】
株式会社アステックペイント
谷口 智弘
【記事監修】
株式会社アステックペイント
谷口 智弘
株式会社アステックペイント技術開発本部 本部長
住宅用塗料市場のマーケティング分析・品質管理を行う「商品企画管理室」、塗料の研究・開発を行う「技術開発部」、塗料の製造・生産・出荷を行う「生産部」の3事業部を統括するマネジャーとして、高付加価値塗料の研究・開発を行っている。
【運営会社】
株式会社アステックペイント
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株式会社アステックペイント
AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。2020年以降、遮熱塗料国内メーカーシェアNo.1を連続獲得中。