難付着系塗膜で発生する剥離とは?下塗材選定ミスが引き起こすトラブル事例

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「塗膜」には、一般的な「塗膜」と「難付着系塗膜」の2つがあることをご存じでしょうか?難付着系塗膜と判断できずに、塗り替えの際の塗料選定を誤ると、塗膜が早期で剥離してしまう可能性があります。

今回の記事では、難付着系塗膜についてご紹介します。塗膜剥離を未然に防ぐためにぜひ、お役に立てください。

剥離した事例紹介・付着できない理由

剥離した事例紹介

難付着系塗膜は、耐候性が高くて長持ちをする塗膜ですが、一般的な下塗材(アクリル・エポキシなど)では付着性が悪く、塗装後に剥離する可能性があります。以下の写真は、難付着系塗膜に一般的な下塗材を塗装して剥離した事例です。

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難付着系塗膜に一般的な下塗材が付着しづらい理由

難付着系塗膜のバインダーが関係しています。

難付着系塗膜には、一般的な塗膜と比べて無機質バインダー成分が多く含まれています。(以下:表1参照)この無機質バインダー成分にはセラミックやガラス質など様々あり、塗膜表面が緻密になり、耐久性が上がるため塗膜の汚染や劣化を低減することができます。その反面、塗り替え工事を行う場合、塗料が付着しづらく、一般的な塗料を塗装すると早期剥離に繋がる可能性があります。

一般的な塗膜と難付着系塗膜の違いとは?

一般的な塗膜と難付着系塗膜の違いを説明します。一般的な塗膜とは、アクリル・ウレタン・シリコンなどのバインダー(結合材)で配合されている塗膜を指し、難付着系塗膜は、フッ素系・無機系・光触媒などのバインダーで配合されている塗膜を指します。

以下イメージ図のように、一般的な塗膜は、有機質バインダーが多く含まれています。それに比べ、難付着系塗膜は有機質よりも無機質なバインダーが多く含まれています。(例:無機質バインダーにはセラミックやガラス質などが含まれている。)

付着しないメカニズム

一般的な塗膜は、有機質バインダーを多く含むため、一般的な下塗材で塗装しても付着に問題は起きません。

しかし、難付着系塗膜の場合、無機質バインダーを多く含むため、一般的な下塗材では付着できず、 剥離してしまいます。

難付着塗膜か確認する方法

難付着系塗膜と知らずに施工したことによる早期の剥離を未然に防ぐためにも、塗装可否判断基準をご紹介いたします。基本的に、下記選定方法の「3-1」で難付着系塗膜に当てはまった場合は下塗材の選定が必要です。情報が不足し判断できない場合は、「3-2」のパッチテストの方法を推奨いたします。

※難付着塗膜であるかどうかは、目視確認で見分けることは非常に困難であるため、以下の判断基準はあくまで目安となります。

①図面上でのハウスメーカー名・建材メーカー名・使用建材の確認

施主様が新築時の図面等を保管されているようでしたら、そちらをご確認ください。外壁材の情報が詳細に記入されていれば、どんな塗膜なのか把握できる場合があります。「ハウスメーカー名」・「建材メーカー名」・「外壁材の製品名称」などの情報を把握することで、建物の築年数や劣化症状、各種メーカーのホームページ情報等から、特殊な塗膜なのかを判断できる場合があります。

各種建材メーカーのホームページに「30年耐久」や「無機」「セラミック」「光」などの表記がある場合は、特殊な下塗材の選定が必要だと考えていいでしょう。

②上記で把握できなかった場合

建物の築年数や劣化症状より、特殊な塗膜の可能性があるけれども情報が得られない場合、実際の外壁材に下塗材を試し塗りする「パッチテスト」という簡易的な方法があります。パッチテストの方法はこちらの記事を参照してください。

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難付着系塗膜に対応可能なアステックペイント塗料

当社で難付着系対応下塗材は、2製品あります。
弱溶剤難付着系対応2液下塗材:「エポプレミアムシーラープライマーJY」
水性難付着系対応2液下塗材  :「プレミアムSSシーラープライマー」

各製品の詳細は以下のリンクよりご確認ください。

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いずれの塗料においても、無機質な塗膜に付着するために、A液に有機成分(赤矢印)を、B液に無機成分(青矢印)が含まれているため、それぞれのバインダーが既存塗膜に付着することで、高い付着性を発揮し、一般的な塗膜はもちろん難付着系塗膜にも付着することが可能となります。

まとめ

今回紹介した塗膜の剥離は、難付着系塗膜に対して一般的な下塗材で塗装を行ったため発生しています。

防止策としては、下地の確認を行い、塗装可能な下塗材を選定します。 確認方法としては、新築時の図面やカタログ、塗り替え履歴などの確認をお願いいたします。未然に塗膜の剥離を防ぐためにも、ぜひこの記事の知識を活かしていただければと思います。

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この記事の監修者と運営者

【記事監修】
株式会社アステックペイント 
谷口 智弘

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株式会社アステックペイント 
谷口 智弘

株式会社アステックペイント技術開発本部 本部長
住宅用塗料市場のマーケティング分析・品質管理を行う「商品企画管理室」、塗料の研究・開発を行う「技術開発部」、塗料の製造・生産・出荷を行う「生産部」の3事業部を統括するマネジャーとして、高付加価値塗料の研究・開発を行っている。

【運営会社】
株式会社アステックペイント

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AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。2020年以降、遮熱塗料国内メーカーシェアNo.1を連続獲得中。

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