打設したシーリングに発生する「ブリード汚染」とは?発生原因と対策を紹介

現場の研究 2025.11.20
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外壁材の表面はきれいなのに、「シーリング材上の塗膜だけが汚れている」という状態をご覧になった経験はありませんか?

外壁と同じ塗料を用いているにもかかわらず、なぜシーリング材上の塗膜は汚れてしまうのか、疑問に思われた方もいらっしゃると思われます。 この現象は「ブリード汚染」と呼ばれています。

今回はこの「ブリード汚染」を、主にシーリング材上の塗膜に発生する場合に焦点を当て、その特徴と発生メカニズム、そして対策方法を詳しく解説します。

ブリード汚染とは?

ブリード汚染とは、シーリング材に含まれる可塑剤が表面まで染み出してくることで、表面がベタつきを帯び、排気ガスや砂埃などが付着しやすくなり、汚染が発生する現象を指します。

ブリード汚染が発生したシーリング材表面

ブリード汚染が発生するメカニズム

ブリード汚染を発生させる要因となる可塑剤とは、硬い樹脂に柔軟性や加工性を付与するために添加する成分のことです。可塑剤は樹脂などの有機物に移行しやすいため、時間の経過とともに周辺の塗膜へと染み出し、シーリング材上の塗膜にベタ付きや汚染を引き起こすことがあります。

塗膜表面のブリード汚染は、改修工事において、ノンブリードタイプではないシーリング材の上に塗装が行われた場合に発生することがあります。ノンブリードタイプとは、ブリード汚染が発生しにくいシーリング材のことを指しています。

改修工事においてシーリング材の施工は、大きく分けて以下の2つの方法が選択されます。

・打ち替え:既存のシーリング材を完全に除去し、新たなシーリング材を充填する方法
・増し打ち:既存のシーリング材の上から、新たなシーリング材を充填する方法

この際、ノンブリードタイプではないシーリング材を使用することで、ブリード汚染が発生する可能性が高くなります。

ブリード汚染が発生するまでの詳細な流れは以下の通りです。
1. シーリング材の打設と塗装:目地などに可塑剤が含まれるシーリング材を打設し、その上から塗装します。 
2. 可塑剤の移行:可塑剤がシーリング材内部から塗膜へ徐々に移行することで、塗膜内の樹脂が軟化し、塗膜表面にベタつきが発生します。 なお、可塑剤を多量に含むシーリング材の上に弾性塗料を塗装した場合は、塗膜が水飴のように液状化し、流れ落ちる可能性もあります。 
3. 汚染物質の付着:ベタ付きが発生した塗膜表面に、周辺から飛来した排気ガスや埃などが付着し、結果としてブリード汚染が発生します。

また、塗膜への可塑剤移行は、以下の要素が重なるほど起こりやすくなる傾向があります。

・シーリング材中に可塑剤が多く含まれている場合
・夏期などの高温条件下にある場合
・塗膜の樹脂含有量が多い場合

ブリード汚染の発生は美観を著しく損なうだけでなく、場合によっては塗膜が液状化し流れ落ちるなどの被害を引き起こす可能性もあります。

対策方法

ブリード汚染の事前の対策方法

ブリード汚染の事前対策としては、ブリード汚染が発生しにくいノンブリードタイプのシーリング材を使用する方法が最も有効です。 ただし、可塑剤の配合量が完全にゼロではないため、ごく稀に経年でわずかな汚染が発生する場合もあります。

ノンブリードタイプのシーリング材は、アステックペイントのアステックシールシリーズをご利用ください。

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ブリード汚染の発生後対策

万が一ブリード汚染が発生した場合は、主に以下の対策が考えられます。

1.バリアプライマーを用いた補修

塗膜表面のベタつきや汚れをシンナーで拭き取った後、バリアプライマーを汚染部よりも幅広めに塗布します。その後、下塗材と上塗材でタッチアップ補修を行うか、見切りの良い箇所まで再塗装を行います。※周辺の既存塗膜とタッチアップ及び再塗装箇所の色味が異なる可能性があります。

2.シーリング材の打ち替え

より根本的な対策としては、シーリング材そのものを、前述のノンブリードタイプのシーリング材へ打ち替える方法が挙げられます。

まとめ

この記事では、シーリング材に含まれる可塑剤が表面に染み出すことで発生する「ブリード汚染」の中でも、特に塗膜への移行によるものについて、その発生メカニズムと発生を防ぐための事前対策、そして万が一発生してしまった場合の対策まで、詳しくご紹介しました。
現場でのご判断の際にご活用ください。

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この記事の監修者と運営者

【記事監修】
株式会社アステックペイント 
谷口 智弘

【記事監修】
株式会社アステックペイント 
谷口 智弘

株式会社アステックペイント技術開発本部 本部長
住宅用塗料市場のマーケティング分析・品質管理を行う「商品企画管理室」、塗料の研究・開発を行う「技術開発部」、塗料の製造・生産・出荷を行う「生産部」の3事業部を統括するマネジャーとして、高付加価値塗料の研究・開発を行っている。

【運営会社】
株式会社アステックペイント

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株式会社アステックペイント

AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。2020年以降、遮熱塗料国内メーカーシェアNo.1を連続獲得中。

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