塗装作業の安全対策に!感電事故を防ぐために知っておくべきこと
外壁塗装現場では、電線の近くで作業をする機会も多く、避けては通れないのが「感電のリスク」です。
感電に関する安全対策は手間も費用もかかるため軽視されがちですが、現場で作業を行なう職人の皆様の命に関わるため非常に重要です。
本記事では、実際に塗装現場で発生した「感電」の事故を交えて、その対策とよくあるQ&Aをご紹介いたします。外壁塗装を行う際の安全対策の一つとして参考にしてください。
目次
感電とは?
感電とは、落雷・電気製品の不適切な使用・電線への接触・漏電などの様々な要因によって、人体に電気が流れ、傷害を受けることを意味しています。
人体は電気への抵抗が低く、特に水で濡れた状態では体内に電流が流れやすくなるため危険です。
感電すると、一時的な痛みやしびれなどの軽傷で済むこともありますが、場合によっては死に至る危険性もあります。
感電事故の事例
事例概要 | |
発生状況 | 戸建て住宅の塗装工事で、足場組み立てていた。植栽が生い茂っており、その中に紛れ込む電線に気づかず、作業員の肩が接触した。 |
被災状況 | 命に別状はなかったものの、接触部に皮膚移植を必要とする全治一か月以上の大けがを負ってしまった。 |
ほかにも、足場が電線を傷つけ漏電した事例など、足場組み立て中や塗装作業中の感電事故の事例が複数発生しています。
【全国】感電対策の専門業者一覧
労働安全衛生規則の第349条で、電線の近くで作業を行なう場合、感電防止の安全対策を講じることが義務付けられています。しかし、電線のほとんどが電力会社の所有物であるため、専門業者以外が感電対策を講じることはできません。
そのため、所在地の電力会社や関連会社などに依頼し、防護管という感電防止カバーを設置してもらう必要があります。
各地域の防護管設置を依頼できる業者をご紹介いたします。(2022年1月現在)
電力会社 | 防護管設置業者 | 連絡先 |
北海道電力 エリア | 北海道電力ネットワーク | 該当の各市町村のお問い合わせのフリーダイヤルをご覧ください。 |
東北電力 エリア | 東北電力ネットワーク | ネットワークコールセンター 電気設備に関するお問い合わせ 0120-175-377 |
北陸電力 エリア | 北陸電力送配電 | 該当エリアのお問い合わせ先をご覧ください。 |
東京電力 エリア | 東電タウンプランニング | 防護管のお問い合わせ 03-6630-9577 ※WEB受付システムもあります。 |
中部電力 エリア | 中部配電サポート | 防護管のお問い合わせ 052-888-8130 |
関西電力 エリア | かんでんエンジニアリング | 防護管のお問い合わせ 0120-911-820 ※WEB受付システムもあります。 |
四国電力 エリア | 電力サポート中国 | 防護管受付センター 0120-007-172 |
九州電力 エリア | 九州電力 | 該当の各市町村のお問い合わせのフリーダイヤルをご覧ください。 |
沖縄電力 エリア | 沖縄電力 | 沖縄電力コールセンター 0120-586-601 098-993-7777 (IP電話からのお問い合わせ) |
なお、防護管の設置は塗装工事費用とは別に必要な有料工事となります。また、依頼後に必ず希望工期に合わせて設置できるというわけではないため、費用と設置時期について、早めに相談されることをお勧めいたします。
感電対策に関するQ&A集
Q1:引き込み線を養生しても感電したことはないが、本当に危険なのか?
状況によって、感電する危険性があります。
一般的に引き込み線には絶縁処理が施されているため、接触したら必ず感電するというわけではありません。ところが、絶縁のテープやカバーに劣化や損傷がある場合は、接触によって感電する危険があります。
Q2:防護管設置は、依頼すれば即日対応してもらえる?
希望工期に合わせて必ず対応できるわけではないため、早めのご依頼がおすすめです。
防護管の設置にあたって、現場調査・防護管設置・防護管撤去など、複数の工程が必要となります。そのため、設置業者に依頼が立て込んでいる場合、すぐに設置できない可能性があり、早めのご依頼がおすすめです。
Q3:電力自由化で新電力事業者から電力を購入している現場は、どこに相談すればいいの?
「感電の防止対策」でご紹介した防護管設置業者にご相談ください。
電力の販売は自由化されていますが、送配電については安定供給を行なうために、引き続き各地域の電力会社が管理しています。そのため「感電の防止対策」でご紹介した防護管設置業者にご相談ください。
Q4:防護管を自分で準備して設置してもいいの?
感電事故や損害賠償が発生する可能性があるため、防護管設置業者にご相談ください。
引き込み線を除く電線は、電力会社の所有物となります。そのため、電線を破損させた場合には、感電事故の発生と損害賠償を請求される可能性があります。さらに、近隣一帯の停電を引き起こした場合には、莫大な損害賠償が発生する可能性もあります。
Q5:感電したらどのように対処したら良いの?
感電した場合、早めの医療機関の受診、または救急車を手配しましょう。
感電防止のための安全対策をしたけれど、感電してしまった場合、早めに医療機関で受診するようにしましょう。皮膚にやけどが見られる場合、電圧を身体が逃がすための手術を必要があります。
また、感電事故を目撃した場合、まずは速やかに救急車を呼びましょう。
救急車の出動の間に、意識があるかを確認し、呼吸や脈拍に問題ないか、冷静に確認するようにしてください。電流が通る場所によっては、心停止や呼吸停止を引き起こす懸念があります。心停止や呼吸停止が確認される場合、救急車が到着するまで心肺蘇生法を行うようにしましょう。
まとめ
外壁塗装作業中の感電事故の事例と、感電防止のための防護管設置の依頼先、よくある質問と回答をご紹介しました。
感電事故は、死亡事故に至る可能性や、命に別条がなくとも大けがを負うことで仕事や生活に支障をきたす可能性もあります。
そのため、工事の着工までに「現場周辺の配線状況の目視確認」「施主様への声掛けや相談」「電力会社や関連会社への連絡や相談」を行ない、十分な対策をとって、安全な塗装作業をお願いいたします。
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この記事の監修者と運営者
【記事監修】
株式会社アステックペイント
谷口 智弘
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株式会社アステックペイント
谷口 智弘
株式会社アステックペイント技術開発本部 本部長
住宅用塗料市場のマーケティング分析・品質管理を行う「商品企画管理室」、塗料の研究・開発を行う「技術開発部」、塗料の製造・生産・出荷を行う「生産部」の3事業部を統括するマネジャーとして、高付加価値塗料の研究・開発を行っている。
【運営会社】
株式会社アステックペイント
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株式会社アステックペイント
AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。2020年以降、遮熱塗料国内メーカーシェアNo.1を連続獲得中。