着色骨材仕上材への塗装で発生する塗膜『膨れ』の原因と再発防止策とは

現場の研究 2025.10.10
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外壁の塗装工事業者の方は、着色骨材系仕上材(石調塗材やスキン)に塗装し、着色骨材系仕上材内部に「膨れ」が発生したことはありませんか?

膨れは、時間の経過とともに劣化が進行した着色骨材系仕上材が想定以上に水分を含んでしまっていたことが主な要因と考えられます。

この記事では、まず着色骨材系仕上材とはどのようなものなのか、「膨れ」が発生するメカニズムと実際に「膨れ」が発生した際の適切な処理方法についてご紹介します。さらに、着色骨材系仕上材に対して塗装を行う際の注意点まで、徹底解説いたします。

着色骨材系仕上材とは

着色骨材系仕上材とは、アクリル樹脂と着色骨材によって構成されている塗材で、以下のような特長がある仕上材です。

・着色骨材を採用しているため、色が長持ちし退色しにくい
・意匠性が高く、建物に高級感あふれる仕上がりをもたらす

このような優れた特長をもつ一方で、経年劣化が進行した塗膜を塗替えた際に、冒頭で触れたような「膨れ」が発生することがあります。

その「膨れ」がどのようにして発生するのか、2章で詳しくご紹介していきます。

膨れの発生原因とメカニズム

「膨れ」は、以下のようなメカニズムによって発生します。

①旧塗膜(着色骨材系仕上材) が劣化し、吸水しやすい脆弱な状態になる
②想定以上に水分が染み込むことで、未乾燥の状態で塗替えを行う
③閉じ込められた水分が直射日光で加熱されると、旧塗膜内部で水蒸気圧が発生する
④この水蒸気圧が繰り返し発生することで、「膨れ」が発生する

このように、水蒸気圧が繰り返し発生することで塗膜に膨れが発生します。

特に、以下のような条件が複数重なる状態で塗替えを行った場合、直射日光が当たりやすい面で「膨れ」が発生しやすくなりますので、注意が必要です。

・旧塗膜が水分を吸い込みやすい、非常に脆弱な状態である場合
・脆弱になった旧塗膜が、下地処理で除去しきれず残っている場合
・雨が当たりやすい面や窓サッシの下など、水が流れやすい箇所である場合
・梅雨時期や昼夜の寒暖差が大きく結露が発生しやすい時期に施工する場合

膨れの処理

もし、「膨れ」が発生した場合は、以下の手順で補修してください。

①脆弱塗膜の除去

膨れ箇所とその周辺にある非常に脆弱になっている旧塗膜を、カッターやスクレーパーなどで入念に除去します。

②十分な乾燥

ケレン除去した箇所内部の水分が完全に放出されるまで、十分な乾燥時間を設けます。

③下地調整と補修塗装

ケレン除去した箇所は、シーラーでしっかりと下地を固めてから、模様合わせを行います。その後、補修箇所と周辺箇所に段差が生じないよう、ぼかしながら丁寧に塗装します。

なお、補修作業は、気温が高く膨れが発生しやすい夏を過ぎた秋以降に行うことをおすすめします。
また、既に膨れが発生している箇所だけでなく、他の場所でも脆弱な旧塗膜が水分を含んでいる場合は、後から同様の膨れが生じる可能性があるため、注意が必要です。

着色骨材系仕上材に塗装する際の注意点

「膨れ」の主な発生要因は、経年劣化で脆弱になった旧塗膜に水分が含まれた状態で塗装を行うことです。そのため、「膨れ」を未然に防ぐためには、以下のポイントを意識して施工を行うことが重要です。

①脆弱な旧塗膜の確実な除去

脆弱な旧塗膜は、付着力が著しく低下している場合があります。そのため、下地調整の際に、脆弱になった旧塗膜をしっかり除去することが重要です。

②高圧洗浄後や降雨後の乾燥時間を長めに確保する

脆弱な旧塗膜は非常に吸水しやすくなっている場合があります。そのため、高圧洗浄や降雨の後は、通常の工程よりも乾燥期間を長めに確保することを推奨いたします。

まとめ

今回は、着色骨材系仕上材の塗替え時に発生する「膨れ」について解説しました。着色骨材系仕上材は、優れた特徴をもつ一方で、劣化が進行すると水を吸い込みやすくなり、塗替え後に膨れが発生してしまうことがあります。

経年劣化が進行した着色骨材系仕上げの塗替え工事を行う際は、以下のポイントに注意して施工することが重要です。

・下地補修の際に、脆弱な旧塗膜を確実に除去すること
・塗装作業の前に、旧塗膜内部の水分を十分に乾燥させること

この記事が、今後の塗装工事の一助となれば幸いです。

※この記事でご紹介したような特定の条件下における膨れの可能性を考慮し、当社では着色骨材仕上材への塗替えを標準仕様外とさせていただいております。こちらは当社の品質基準に基づく判断であり、全てのケースで膨れが発生するわけではございません。また、着色骨材仕上材そのものや、着色骨材仕上材への塗替えを否定するものでもございませんので、ご承知おきください。

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この記事の監修者と運営者

【記事監修】
株式会社アステックペイント 
谷口 智弘

【記事監修】
株式会社アステックペイント 
谷口 智弘

株式会社アステックペイント技術開発本部 本部長
住宅用塗料市場のマーケティング分析・品質管理を行う「商品企画管理室」、塗料の研究・開発を行う「技術開発部」、塗料の製造・生産・出荷を行う「生産部」の3事業部を統括するマネジャーとして、高付加価値塗料の研究・開発を行っている。

【運営会社】
株式会社アステックペイント

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株式会社アステックペイント

AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。2020年以降、遮熱塗料国内メーカーシェアNo.1を連続獲得中。

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