スレート屋根に発生する「膨れ」ってなに?発生原因と対策方法

LINEで送る Twitterでシェア Facebookでシェア
image
image

皆さまは塗装後、屋根で塗膜の膨れが発生した経験はありませんか?この現象は、施工状況や自然環境などによりますが、時期に関わらず通年で発生する可能性があります。

今回は、平板スレート屋根に発生する塗膜の膨れについて、発生メカニズムや事例、その改修方法および事前対策について詳しく解説いたします。

バナー

平板スレート屋根に発生する塗膜の膨れ

平板スレート屋根とは

※イメージ写真

平板スレート屋根はセメントと繊維を主材料とするスレート瓦のことであり、「薄型化粧スレート瓦」や「カラーベスト」、「コロニアル」とも呼ばれています。特徴としては地震に強く、比較的費用が安く、メンテナンスも容易であるため、戸建て住宅において最も普及している屋根材といえます。

このスレート瓦はセメント系建材であり、吸水しやすい特徴があるため、スレート瓦表面のコーティング材や塗膜によって防水機能を付与しています。この表面コーティング材の劣化とともに、防水機能も低下していくため、定期的な塗装工事が必要です。 

塗膜の膨れの発生メカニズム

この平板スレート屋根は塗装後に、塗膜の膨れが発生することがあります。

塗膜の膨れが発生する原因として、「雨水の浸入による膨れ」と「溶剤成分の乾燥不足による膨れ」が考えられます。

雨水の浸入による膨れについて

屋根の小口付近で塗膜の膨れが発生した場合、塗膜内部に雨水が浸入した可能性が考えられます。

平板スレート屋根はスレート瓦を重ねて仕上げる構造のため、スレート瓦の突き付け部から雨水が浸入することがあります。この浸入した雨水を排出するためには、平板スレート屋根の小口部分である縁(下端部)に隙間が必要です。

しかし、スレート瓦自体の重さや塗装の際に小口部分を塗料で埋めてしまうと、浸入した雨水がスレート瓦の裏面に滞留してしまいます。スレート瓦の裏面に滞留した雨水は、直射日光で温められ徐々に水蒸気となります。

その後、塗膜は水蒸気の圧力により押し上げられ、膨れが発生します。

溶剤成分の乾燥不足による膨れ

この現象は、塗替えで弱溶剤下塗材を塗装し、溶剤成分が残った状態で次工程の塗装を行った際、稀に発生することがあります。

水性既存塗膜に対して、弱溶剤下塗材を塗装すると、水性既存塗膜に溶剤成分が浸透した状態(溶剤成分が乾燥せずに残っている状態)になります。

この状態で、上塗材を塗装することで溶剤成分が閉じ込められます。その後、直射日光の熱によって閉じ込められた溶剤成分が気化を繰り返し、塗膜を押し上げたことで膨れが発生します。

※水性既存塗膜に溶剤成分が染み込むと塗膜を形成している樹脂が膨潤し、溶剤成分が揮発しにくくなります。そのため、通常よりも乾燥に時間を要します。

平板スレート屋根の膨れが発生した事例

屋根で塗膜の膨れが発生した場合、物件の美観を損ねるだけでなく、塗膜の保護機能の低下や、原因によっては雨漏りに繋がる危険性があります。ここでは、平板スレート屋根で膨れが発生した事例をご紹介いたします。

■事例①

■事例②

塗膜の膨れが発生した場合の対処方法及び予防方法

①雨水の浸入による膨れ

【発生した際の対処方法】
膨れが発生した箇所周辺の小口部分の縁切りと膨れた塗膜のケレン除去を行ってください。このとき、スレート瓦裏側と膨れ内部に雨水が残っている可能性があるため、縁切りおよびケレン除去後は、乾燥時間を十分確保してください。
その後、タッチアップ補修を行い、再度、小口部分の確実な縁切りを行ってください。

【予防方法】
平板スレート屋根は、縁が詰まっているかいないで塗膜の膨れの発生リスクが大きく変化します。したがって、対処方法と同様に雨水の抜け道となる小口部分の隙間を確保することが重要になります。そのため、塗装後、小口部分が塗料で埋まってしまった場合、縁切り作業を行ってください。

②溶剤の乾燥不足による膨れ

【発生した際の対処方法】
膨れ箇所をケレン除去し、溶剤成分が残っている可能性があるため、内部を十分乾燥させてからタッチアップ補修を行ってください。
※水分や溶剤成分が出きっていない箇所が残っている場合や、下塗材が乾燥不足の状態で上塗材を塗装した場合、補修後も別の箇所から新たな膨れが発生する可能性があります。

【予防方法】
弱溶剤下塗材を塗装後、十分に乾燥させ、凹部など厚付けになりやすい箇所などは溶剤臭がないことを確認し、上塗材を塗装しましょう。
※溶剤臭が残っていた場合、溶剤成分が残存しているため、さらに乾燥時間をとりましょう。

まとめ

今回の記事では、平板スレート屋根で発生する塗膜の膨れについてご紹介しました。

この現象は、物件の美観を損ねるだけでなく、塗膜の保護機能の低下や原因によっては雨漏りに繋がる危険性があります。

そのため、本記事を参考に、塗膜の膨れを未然に防ぐ予防方法や発生した際の適切な対処方法を確認し、ぜひ皆様の現場で活用していただけますと幸いです。

塗装業における課題解決なら
お任せください

AP ONLINEを運営している(株)アステックペイントは、塗装会社様の様々な課題解決の支援をしています。どんな内容でも構いません。まずは一度現状のお悩みや要望をお聞かせください。​

\例えば、こんなお悩みありませんか?/

  • コストカットをはかりたい
  • 元請け案件を増やしていきたいが、方法が分からない​
  • 案件数を増やしたいが、成約率が低い(営業力に課題がある)​
  • 競合他社との差別化に悩んでいる​
  • 売上、粗利を増やしたい​

| お取引様の声・実績 ​|


この記事の監修者と運営者

【記事監修】
株式会社アステックペイント 
谷口 智弘

【記事監修】
株式会社アステックペイント 
谷口 智弘

株式会社アステックペイント技術開発本部 本部長
住宅用塗料市場のマーケティング分析・品質管理を行う「商品企画管理室」、塗料の研究・開発を行う「技術開発部」、塗料の製造・生産・出荷を行う「生産部」の3事業部を統括するマネジャーとして、高付加価値塗料の研究・開発を行っている。

【運営会社】
株式会社アステックペイント

【運営会社】
株式会社アステックペイント

AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。2020年以降、遮熱塗料国内メーカーシェアNo.1を連続獲得中。

この記事に関連する用語

記事カテゴリ

  • 塗装業界チャンネル
  • 営業活動レポート
  • 経営サポート
  • 塗装の現場から
  • 代表コラム
  • 製品紹介