エフロレッセンス(白華現象)とは?発生メカニズム・対策をご紹介

現場の研究 2025.12.16
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外壁の修繕・改修を行う物件において、外壁に白い粉状や結晶状の付着物を見つけ、そのために美観が損なわれていると感じ、お困りの方は多いのでないでしょうか。

この現象はエフロレッセンス(白華現象)と呼ばれるものです。略してエフロとも呼ばれる現象です。今回は、このエフロレッセンスの発生メカニズムから具体的な改修方法まで、詳しくご説明いたします。

エフロレッセンスとは?

エフロレッセンスの様子

エフロレッセンスとは、「セメント成分を含む下地材に発生する汚染現象」です。エフロレッセンスは、以下の流れで白い結晶(炭酸カルシウム)が析出することで発生します。

エフロレッセンスの発生メカニズム

エフロレッセンスは下記のメカニズムで発生します。

※エフロレッセンスが発生するメカニズム

水酸化カルシウムの生成:コンクリートやモルタルなど、セメント系建材内部に水和反応によって常に生成される成分です。

②水分の浸入:外壁のひび割れ、目地の隙間などから雨水や地下水が浸入し、上記成分(水酸化カルシウム)を溶解させます。

③乾燥と炭酸化:溶解した成分を含んだ水が表面に移動し、乾燥する際に空気中の二酸化炭素と反応します。この結果、水に溶けにくい炭酸カルシウムとなり、白い結晶として析出します。

エフロレッセンスの発生しやすい建材

エフロレッセンスはセメント成分を含む建材すべてに発生する可能性がありますが、特に水が浸入・滞留しやすい以下の建材・部位で重点的に確認が必要です。

〇発生しやすい建材と部位

建材主な発生箇所発生時の特徴
モルタル・ コンクリート壁ひび割れ、打ち継ぎ箇所劣化箇所から水分が浸入し、ひび割れに沿って筋状に発生しやすい傾向があります。
張りタイル壁タイル目地、 タイルの浮き、剥離箇所吸水性の高い目地部分に集中して発生し、タイル面には付着しにくい特性があります。
レンガ・ブロック積み目地部分、笠木からの水の浸入部目地のセメント成分から多量に発生し、ブロックやレンガの構造体の一部を覆うこともあります。

放置したことで起こるリスク

エフロレッセンスを放置することは、美観の低下以上に、改修後の品質に直結するリスクを伴います。

①塗膜の密着不良・早期剥離

エフロレッセンスは塗料の密着を阻害します。下地として残ったまま塗装をすると、時間の経過とともに塗膜が膨れたり、早期に剥離したりする原因になります。

②構造体の劣化進行

エフロレッセンスの継続的な発生は、水の浸入が続いている明確なサインです。これを放置すると、建材内部でひび割れの拡大やセメントの中性化を進行させ、建物の耐久性を著しく低下させます。

各建材の改修方法

エフロレッセンスの改修は、「除去」と「再発防止(止水)」の二段階で構成されます。

【ステップ1】エフロレッセンスの完全除去

すべての建材共通で、塗装工事前に必ず完全に実施します。

①物理除去(ケレン作業)

ヘラやブラシ、ワイヤーブラシなどで表面の厚い結晶を可能な限り削り取ります。

②化学除去(酸性洗剤)

・水養生:事前に水をたっぷりかけ、建材内部への酸の浸透を防ぎ、変色・損傷を予防します。
・洗剤塗布:エフロレッセンス専用の酸性洗剤(塩酸系や有機酸系)を塗布し、ブラシで擦って溶解させます。
・中和・水洗:大量の水で完全に洗い流し、必要に応じて中和剤で酸性成分を中和します。

※洗浄方法・推奨の洗浄剤はこちら

③乾燥

水分が残存すると塗装不良の原因となるため、完全に乾燥させます。

【ステップ2】建材別・水の浸入経路の遮断(再発防止)

再発防止のため、発生源となった水の浸入経路を特定し、補修します。

〇モルタル・コンクリート壁の改修

補修箇所止水・再発防止策
エフロレッセンス発生源発生原因となったひび割れを特定・補修します。
全体外壁全体の微細なひび割れに対する処置を行います。
サッシまわり既存のシーリング材の打ち替えを必ず実施し、躯体への浸水を防ぎます。

改修後は、必要に応じて、モルタル・コンクリート面の塗装を実施してください。

〇張りタイルの改修

補修箇所止水・再発防止策
エフロレッセンス発生目地劣化した目地を削り取り、シーリング材(変成シリコーンなど)で打ち替えるか、防水性の高い目地材で再充填します。
タイルの浮き・剥離浮きを打診調査で特定し、エポキシ樹脂注入工法や張替えで水の浸入・滞留を防ぎます。
サッシまわり既存のシーリング材の打ち替えを必ず実施し、躯体への浸水を防ぎます。

改修後は、必要に応じて、張りタイル目地部へ吸水防止材の塗装を行ってください。

張りタイル目地部への塗装についてはこちら

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まとめ

エフロレッセンスの除去は、一時的に美観を回復させるための処置です。しかし、建物の長期的な保護と美しい状態を維持するためには、根本原因となるひび割れや目地の劣化箇所を併せて適切に補修することが重要です。今後の現場調査や仕様組みの参考としていただけますと幸いです。

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この記事の監修者と運営者

【記事監修】
株式会社アステックペイント 
谷口 智弘

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谷口 智弘

株式会社アステックペイント技術開発本部 本部長
住宅用塗料市場のマーケティング分析・品質管理を行う「商品企画管理室」、塗料の研究・開発を行う「技術開発部」、塗料の製造・生産・出荷を行う「生産部」の3事業部を統括するマネジャーとして、高付加価値塗料の研究・開発を行っている。

【運営会社】
株式会社アステックペイント

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AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。2020年以降、遮熱塗料国内メーカーシェアNo.1を連続獲得中。

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