現場での塗料の正しい保管方法とは?トラブル事例も紹介


塗料の保管方法を誤ると、皮張り・ゲル化・凍結などの不具合が発生し、施工品質の低下やコストロスにつながります。水性・溶剤・1液・2液など塗料の種類は多様で、季節ごとの温度変化によって適切な管理方法も変わります。
この記事では、現場での正しい保管方法の基本から、通年・夏場・冬場に発生しやすいトラブル事例とその原因・対策まで体系的に解説します。アステックペイントが実際に実施した検証試験の結果も交えてご紹介しますので、日々の施工品質の向上と現場トラブルの防止にお役立てください。
この記事でわかること
✅ 塗料の現場保管における3つの基本ルール
✅ 通年で発生しやすい「皮張り」の原因・事前対策・事後対策
✅ 夏場に発生しやすい「ゲル化(可使時間超過)」の原因と注意点
✅ 冬場に発生しやすい「凍結」の原因と事前・事後の対処法
✅ アステックペイントによる皮張り抑制効果の検証試験結果
目次
塗料の現場保管で守るべき3つの基本ルール
塗料の品質を守るために、現場保管では以下の3つの基本ルールを必ず守ってください。
ルール①:直射日光・雨雪・極端な温度から守る
・真夏の直射日光が当たる環境での保管は避けます。
・真冬で気温が0℃付近になる環境での保管は避けます。
・直接、雨や雪が当たる環境での保管は避けます。
対策例: ブルーシートをかけて日陰に保管する
ルール②:使用途中の塗料はしっかり密閉する
・ペール缶の場合、蓋を隙間なく締めます。
・一斗缶の蓋(天)を切った場合、ビニールマスカーで養生するなどして乾燥を防ぎます。
空気との接触を最小限にすることが、塗料品質を保つための基本です。
ルール③:溶剤塗料・シンナーは現場保管を避ける
・溶剤塗料(シンナー含む)は引火性のある危険物です。
その日の工事で必要な量のみ現場に持ち込み、余った塗料は必ず持ち帰ってください。
※水性塗料および溶剤塗料関係なく、長期間の現場保管は控えてください。


【通年発生】塗料の皮張りとは?原因と対策を解説
冒頭にある通り、塗料は適切な保管方法を守ることで、塗料の品質を確保できます。不具合事例の中には、季節や保管状況によって発生原因が異なる事例もあります。ここでは、通年で起こりやすい塗料の保管における事例・対策・注意点を詳しく紹介します。

1つ目は、水性塗料の塗料缶内で表面が乾燥し、膜が張る「皮張り」の事例です。 この現象は通年で発生し、複数の要因によって引き起こされる不具合事例です。また、溶剤塗料は樹脂がシンナーに溶けているため、ある程度皮張りが発生しても撹拌することで再び溶けて塗料に戻ります。
■発生要因(夏場)
①塗料を現場保管する。
②直射日光や気温が高いため、塗料内の液温が上昇する。
③徐々に塗料表面の水分が失われて、表面が乾燥し、皮張りが発生する。

■発生要因(冬場)
①塗料缶を現場保管する。
②塗料缶の一部に直射日光が当たるとその部分のみ温められ、部分的に水分が蒸発する。蒸発した水分は、直射日光が当たらない塗料缶面に結露が発生する。
③徐々に塗膜表面が乾燥し、直射日光が当たる箇所付近で皮張りが発生する。

■注意点
・塗料の蓋の締めが甘く隙間がある状態では、乾燥した水蒸気が塗料缶外に放出するため皮張りが発生しやすい傾向があります。
・使用途中の塗料は、塗料缶内の空間率が高いので乾燥が進みやすく、皮張りしやすい傾向があります。
■事前対策
➀使用途中の塗料が少ない場合は、小さい容器に移して養生テープなどで、しっかり密閉してください。
➁一度開封した蓋は、隙間がないように締めてください。
➂現場保管する場合は、ブルーシートをかけるなどして、直射日光を避けてください。
■事後対策
・表面の皮張りを取り除いて使用してください。
・皮張りに気づかず撹拌してしまった場合は、粒状となって塗料中に存在するため、ストッキングなどでこしてから使用してください。※屋外で、塗料の長期間の保管は控えてください。
アステックペイント検証試験:ブルーシートの皮張り抑制効果
アステックペイントでは、現場での保管方法が皮張りの発生に与える影響を以下の条件で検証しました。
➀試験概要
| 実施時期 | 2023年11月上旬~中旬(昼夜の寒暖差が6~10℃程度ある時期) |
| 保管場所 | 屋外(弊社福岡県第一工場にて) |
| 保管状況 | 直射日光が塗料缶の一部にあたる状態で7日間程度放置 |
| 保管条件 | 未開封の水性二液塗料をブルーシート有・無の状態で屋外に暴露 |

②試験結果

ブルーシートを掛けることで、皮張りの抑制効果が期待できます。
【夏場に多発】2液塗料のゲル化とは?可使時間超過に注意
2液塗料を混合・撹拌後に、可使時間を超えたことで塗料の反応硬化(架橋)が進行し、ゲル化(粘度の上昇)した事例です。可使時間が設定されている2液塗料限定の不具合事例です。
可使時間とは、主剤(A液)と硬化剤(B液)を混合してから「使用可能な時間」のことです。

■発生要因
・2液塗料の混合撹拌後、可使時間を超えたことにより塗料の反応硬化(架橋)が進行し、ゲル化(粘度の上昇)が発生します。
・直射日光下で塗料や希釈剤(水やシンナー)を放置すると、液温の上昇によって可使時間内でも早期にゲル化(粘度の上昇)が発生することがあります。

■可使時間を超過してもゲル化しなかったことにより塗装してしまった事例
稀なケースですが、混合後に可使時間を超過しても一時的にゲル化せず、塗装された事例があります。今回は、モニエルパワープライマー※の可使時間を超過した状態で塗装された事例です。
※モニエルパワープライマーとは、劣化したモニエル瓦に深く浸透固着し、上塗材との付着性を高めることができる透明タイプの「水性形二液モニエル瓦用エポキシ系下塗材」です。

モニエルパワープライマーは、可使時間を超過すると、A液とB液の架橋反応が始まり、粒子が大きくなります。この状態のモニエルパワープライマーは浸透力が低下しており、塗装した場合でも浸透せず、モニエル瓦表面で塗膜が形成されてしまい濡れ色になりません。
しかし、透明な塗膜は形成されるため、光沢がある状態で乾燥します。

この事例は可使時間が超過してもゲル化(粘度の上昇)は発生していないため、塗装可能に思えますが、塗料の性能が十分に発揮されないため、可使時間を超過した塗料は使用しないでください。
■事前対策
・使用前の塗料や混合後の塗料は、日陰保管やブルーシートをかけるなどして、直射日光を避けてください。
・直射日光で液温が上昇している希釈剤(水やシンナー)の使用は避けてください。
・可使時間以内に使い切れる量を混合してください。
■事後対策
・可使時間を超過した塗料に希釈剤を加えることで一時的に粘度は下がりますが、架橋反応が進行しているため塗膜性能が低下しています。そのため、使用せずに産業廃棄物として処分してください。
【冬場の現場保管】水性塗料の凍結
冬季では、夜間の気温が0℃を下回る環境で現場保管をすると不具合が発生することがありますので、適切に塗料の保管が大切です。次に、冬季に起こりやすい塗料の保管における事例・塗料の保管に関する対策・注意点を詳しく紹介します。
水性塗料の水分が0℃付近で凍り、樹脂が凝集してしまう事例です。
この現象は、気温が0℃付近の環境で、塗料を現場保管していた場合に起こりうる不具合事例です。また、塗料内部の水分が凍結することで発生する事例のため、水分を含まない溶剤塗料では発生しない事例です。

■発生要因
気温が0℃付近になる環境で塗料を現場保管すると、水(溶媒)が凍結して膨張し、分散していた樹脂が圧迫されます。この結果、周辺の樹脂や顔料に押し付けられ、粒や塊(凝集)が発生します。

■事前対策
・夜間や翌日の最低気温が0℃付近になる予報の場合、缶の蓋を密閉した状態で屋内保管をしてください。
■事後対策
・一度凍結し粒やダマが発生した塗料は、本来の性能を発揮できないため、産業廃棄物として処分してください。
季節別・塗料保管トラブル一覧まとめ
| 季節 | トラブル名 | 主な原因 | 対象塗料 | 事後対策の可否 |
|---|---|---|---|---|
| 通年 | 皮張り | 水分蒸発・密閉不足 | 水性塗料 | ✅ 可(皮を除去・こして使用) |
| 夏場 | ゲル化 | 可使時間超過・液温上昇 | 2液塗料 | ❌ 不可(廃棄) |
| 冬場 | 凍結 | 0℃以下での保管 | 水性塗料 | ❌ 不可(廃棄) |
まとめ
塗料の現場保管は、施工品質に直結する重要な管理項目です。
季節・塗料の種類・保管状況によってトラブルの種類と原因が変わるため、基本ルールの徹底と季節別の注意点の把握が不可欠です。
現場保管の3原則を常に守ってください。
✅ 直射日光・雨雪・極端な温度にさらさない
✅ 使用途中の塗料は確実に密閉する
✅ 溶剤塗料・シンナーは当日分のみ持ち込み、余剰は持ち帰る
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FAQ:塗料の保管方法に関するよくある質問
Q1. 塗料の皮張りとは何ですか?発生した場合はどうすればよいですか?
皮張りとは、水性塗料の缶内で表面の水分が蒸発し、塗膜状の膜が張る現象です。発生した場合は、表面の皮を取り除いて使用できます。ただし、皮張りに気づかず攪拌してしまった場合は、ストッキングなどでこしてから使用してください。長期間の現場保管は控えることが最善の予防策です。
Q2. 2液塗料のゲル化とは何ですか?ゲル化した塗料は使用できますか?
ゲル化とは、2液塗料の主剤と硬化剤を混合後、可使時間を超えることで反応硬化(架橋)が進み粘度が上昇する現象です。ゲル化した塗料に希釈剤を加えても性能は回復しないため、使用せず産業廃棄物として処分してください。
Q3. 冬場に水性塗料が凍結した場合、解凍すれば使えますか?
解凍しても一度凍結してダマや粒が発生した塗料は、本来の性能を発揮できません。産業廃棄物として適切に処分するしかありません。夜間の最低気温が0℃付近になる予報の日は、屋内保管に切り替えることが最善の予防策です。
Q4. ブルーシートで塗料の皮張りを防ぐ効果はありますか?
はい、効果があります。アステックペイントが2023年11月に実施した検証試験では、昼夜の寒暖差が6〜10℃程度の時期においてブルーシートを掛けることで皮張りの抑制効果が確認されています。コストをかけずに実践できる有効な対策です。
Q5. アステックペイントに加盟すると保管トラブルなど現場の不具合相談もサポートしてもらえますか?
はい。アステックペイントでは加盟店に対して、塗料の保管トラブルをはじめとする現場の不具合・技術的な疑問に専門スタッフが迅速に対応しています。職人向け勉強会・安全大会も定期的に実施しており、施工品質の継続的な向上をサポートしています。
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この記事の監修者と運営者
【記事監修】
株式会社アステックペイント
谷口 智弘
【記事監修】
株式会社アステックペイント
谷口 智弘
株式会社アステックペイント技術開発本部 本部長
住宅用塗料市場のマーケティング分析・品質管理を行う「商品企画管理室」、塗料の研究・開発を行う「技術開発部」、塗料の製造・生産・出荷を行う「生産部」の3事業部を統括するマネジャーとして、高付加価値塗料の研究・開発を行っている。
【運営会社】
株式会社アステックペイント
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株式会社アステックペイント
AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。2020年以降、遮熱塗料国内メーカーシェアNo.1を連続獲得中。








