【動画あり】足場・建築業界は今後どのように変わるか?(株式会社中村建設)
※本記事は上記動画の内容を元に一部編集しております。
・トークゲスト:中村 英俊様(株式会社中村建設 代表取締役) ・MC:菅原 徹(株式会社アステックペイント 代表取締役) 関 勇輝・秀島 舞(株式会社アステックペイント 大阪営業所所属) ・撮影日:2021/07/08 |
登壇者紹介
1992年、大阪にて創業し、足場業界において紛れもなくトップクラスの成長を誇る足場建設会社様。大阪市に本社を構えられ、現在は大阪内のみならず東京・名古屋・埼玉・神奈川など10拠点にて建設足場資材販売やリース・大規模建設現場などの建設足場工事を中心に展開している。その他にも、特殊塗装屋根外壁工事・抗菌事業など様々な分野でも業績を挙げる。
また、一般社団法人GCU(グローバルコンストラクションユニオン)という建設総合組合を立ち上げ、その代表理事として建築業界全体の発展のための活動も精力的に行なっている業界大注目の経営者である。
オープニングトーク
関 勇輝(以下、関):今回は、同じ建設業界の中でも足場屋さんの業界から業界トップクラスの成長企業であられます社長様にご参加いただいております。中村社長、よろしくお願いいたします。
中村 英俊様(以下、中村様):よろしくお願いします。
関:中村社長が代表理事を務められる一般社団法人GCUの全国大会にて、弊社 菅原が講演させていただいたという経緯もありまして、そのご縁で今回はこの対談動画にご登壇いただいています。
本日は、足場屋業界のことはもちろんですが、もっと広い視点で様々な「ぶっちゃけトーク」していただけるということになっております。では、簡単に自己紹介していただいてもよろしいでしょうか。
中村様:株式会社中村建設の中村と申します。よろしくお願いします。
弊社、僕が19歳の時に起業しまして、当初は足場工事ではなくて型枠工事で起業して、そこからいろいろ紆余曲折あって、27歳の時にガラッと職変えしました。
それが27歳の時に足場工事事業の方に入りまして、当初、足場のプロフェッショナルの方が経験を積んで起業していきますけど、僕はあんまり足場のことをわかっていませんでした。だから周りにも結構馬鹿にもされましたし、「あんなん無理やで」「潰れるで」と言われていた中、僕はなんの根拠もなかったんですけど、大阪では一番になれるという自分の中で思い込みというか自負があって、そこから関西でもトップクラスと言われるほどの会社になって、僕が39歳の時に東京、名古屋に支店を出させていただくようになって、現在に至ります。
その他、工事と別で、商社としてレンタル販売とか様々なことをさせていただきながら、菅原社長率いる素晴らしい経営者の大先輩の方たちにいろいろアドバイスとか、背中も見せてもらいながら、日々成長したい想いでがんばっております。よろしくお願いします。
関:よろしくお願いします。本日のオブザーバーとして弊社代表 菅原も参加させていただきます。菅原社長、一言お願いいたします。
菅原 徹(以下、菅原):中村社長、本日はよろしくお願いします。今回、初めて塗装業界とは違う経営者のご参加となりまして、非常に楽しみに思っております。我々が普段聞くことがないお話、そして我々への提言等非常に楽しみにしております。本日はよろしくお願いします。
コロナが発生して足場業界が受けた影響
関:新型コロナウイルスが発生し、足場業界でどういったことが起こっているのかをお聞きしたいと思っております。
中村様:新型コロナウイルスが発生し、我々足場業界もかなり被害が出ているということは事実です。まさに自粛が始まってから、皆さんも一緒だと思うんですけど、契約事が全部頓挫。まず会えない、そういった契約を進めていけない。例えば、6月予定していた工事が4月に契約できないので全く前に進まない。
弊社では大規模修繕の大型案件がかなり売上のウエイトを占めていますが、マンションの修繕委員会が立ち上がらない、夏に予定していた工事が10月・11月にずれこむとか、そもそも来春にしようということで、契約が全部先延ばしになってしまったので、やるであろう予定であった仕事が全部先延ばしになりました。
また、この4~5月の間に様々な会社さんの業績が急激に悪化して、そもそもリニューアル・修繕工事を見直そう、逆に縮小しようとかいうことになって、工事自体が頓挫したというケースがかなり増えました。
これは、弊社だけじゃなくて周りの会社さんにも同じ現象が起きて、かなり仕事の件数が減っていますので、実際いま、叩き合い・価格競争みたいになっているのも事実です。
公共工事に関わっている土木系とか、そういったところの…例えば北陸新幹線とか。そういったところの工事は一切中断せず、型枠屋さんか全ての業者さんはフルで忙しいみたいですけど、民間工事に関わっている我々はかなり仕事に影響をきたしていますね。
例年比と比べたら、この4~8月で弊社は売上60%くらいダウンしています。8月くらいまでは、だいたい数字で出てきてわかったので、あとはここからどれだけプラスに持っていくか、弊社でいうと20億~30億円クラスを見てみるとだいたい皆さん同じようなことを言っています。
そこで言ったら新築に特化している会社さんとか、新築はやはり中断できないので、いま新築でホテル建てているところとか、そういったところの工事は進んでいますけど、今からのホテル事業とか新築工事とかはほとんどが頓挫しているっていう話を聞きます。
というところで、かなりこの秋口にかけて厳しい戦いは続くんじゃないかなと思っています。
菅原:それは4月の緊急事態宣言が解除された後も、すぐに戻る訳じゃなく?
中村様:そうですね。解除されてからようやく少しは元通りに戻ってきていますけども、来年の春にしようか と言っていた話がまた秋口に戻ってくるとか。今はまだちょっと読めない状況ですね。
マンションの管理組合さんは、毎月集めている修繕積立費でやりますから、皆さんの意見が合意すれば工事が早まったりとか、当初の予定でいきましょうとか。そういったことは戻りつつあるんですけど。
大規模修繕全体みると、これもなかなか難しいんですけど、新型コロナウイルスの影響の前から業績が悪かった会社とか、何とか景気良く進んでいたんですけど、この新型コロナウイルスで一気に情勢が変わって、今我々の業界でいうと100億円クラスの元請け会社が倒産するんではないかとか。
関東に関しては 50億円以上の会社ってすごく多いですけど、関西は50億円以下の元請け企業さんって結構あるんですけども、30億~40億円クラスが倒産するのではないかという噂も結構出ています。実際、大手であっても入金止められているとか、そういった事があるので、今はちょっとどうなるかわからないような、ちょっと怖いなという感じが結構出ています。
菅原:関東・東京を中心に、100億円クラスの元請けが倒産したら結構影響大きいですね。
中村様:そうですね。あとは50億・60億円クラスの会社が大手に買収されたりとか、意図的にバイアウトしたり。そういった、今までなかった現象が起きてきているのも事実です。
足場業界や建築業界は、今後どのように変わっていくか
関:では、続いてのトークテーマにまいります。「足場業界や建築業界は、今後どのように変わっていくか」というトークテーマでございます。
中村様、お願いいたします。
中村様:足場業界・建築業界というのは、ITとかいろんな意味で結構進んではきているものの、やはりアナログなところをなかなか払拭できないし、アナログからデジタルの最先端って言ってもなかなか難しいですよね。
その中で足場業界・建築業界というのは、必ずパイというのは小さくなっていくと思います。今、常態で15億円、20億円受注されていた会社が3分の1以下になっているという話も聞きます。
しかしその中で、いま解体屋さんは忙しい。それはなんでかって言うと、1,000坪の事務所を構えていたけど、「1,000坪の事務所いらない、500坪の事務所に縮小しよう」とか「そもそも支店いっぱい設けていたけど、閉鎖しよう」とか、飲食もそうですよね、50店舗もっていたところが20店舗に減らそうとか。そういったところで、今解体屋さんがすごく忙しいみたいですけど、さらに忙しくなるという話は聞いています。
常態で、景気の上向きで建設業・足場事業が未来に向けていい未来像が見えるかと言ったら、今は見えてこないと思いますね。
足場でもそうなんですけど、新築に特化している足場屋さん、戸建住宅しかやらない足場屋さん、大規模修繕に特化している足場屋さん、足場事業と言ってもそれに特化した足場屋さんに分かれているんですけども、やはり これからはオールマイティに、土木もできるよ、新築もできるよ、ちっちゃい戸建住宅から何から何までできるよと、足場の部材でもそうです、枠組足場もくさび型足場もできるよ、これからの次世代足場も全然できるよというところが生き残っていくんじゃないかなと思っています。
■ 中村建設様の事業内容
菅原:あえて、そういう中で足場屋さんとして、もしくは足場に関わる建築専門工事店の中で新しい取り組みをしている会社とか、新しい未来をつくっている会社とかは近くにありますか?
中村様:いま足場工事だけに限らず、「一本柱では食っていけない」ということを皆さん新型コロナウイルスですごく感じたということをおっしゃるんですけど、僕はやっぱり1つのことに特化して、誰にも負けないというものを持っていないところは、そもそも続かないと思うんですよね。
でもやっぱり、弊社も足場事業とは別でいろいろ事業やっていた中で、足場の事業が今結構打撃を受けています、現実問題。そこで、別事業がびっくりするくらい去年と比べても20倍30倍くらい売上が上がっていたりとかします。だから、別事業を持っていて良かったな ということは、僕も今実際に感じているんですね。
弊社に関しては 、土木も新築も大規模修繕もできるという中で、大規模修繕工事がやっぱり売上の8割9割を占めるような業態に、知らず知らずになってしまっていたんですね。それはなぜかというと、それでやっていけるからという自負があったんです。しかし今回、その自負が新型コロナウイルスが発生したの4~5月で、大規模修繕工事だけでやっていくには難しいなということを、実際僕も感じました。
弊社に関してはオールマイティで土木も新築もできますので、これから新築の方にも力を入れていこうという指針も立ちましたし、土木とか公共工事の方にも僕らは力を入れていこうと、今まで行けるのにあえて行ってなかった分野にもう少し力を入れていきたいなと思っています。
いま足場屋さんが新しい動きをしているっていうのは結局足場しか工事をやってなかった会社さんで、ありきたりですけど、リフォームの仕事をやりますとか外壁塗装もやりますっていう会社が、今とても増えてきています。
僕からしたらなんちゃってなんですけど、しっかり事業として成り立たせられる会社がどれだけ生き残れるかっていうのはわからないですけど、こぞって足場屋さんはリフォームができます、塗装もやります、元請けに転向しようっていう動きの目まぐるしさはすごく垣間見ています。
菅原:いま現時点では、大規模修繕の足場事業の影響は大きいという話なんですけど、大規模修繕工事のマーケットとしての未来はどのように見ていますか。
中村様:大規模修繕工事のマーケットとしては全然あると思います。
やはり修繕積立費が集まって12年、もしくは13年、14年に1回必ずやってきますし、景気に左右されない仕事っていう認識で今まであったと思うんですけど、今回、新型コロナウイルスの影響を受けているのは契約事が進まなかったから、それが先延ばしになっているだけでマーケットとしては寸分狂いなく全然あると思います。
ただし景気が悪くなることによって、大規模修繕に目を向けなかった業者さんは新築の仕事が減る、土木の仕事が減る ということで、そのマーケットに集中してくるので、結果叩き合いが発生してくるんですよね。そういったところで苦しい戦いが強いられると思うんですけど、そこでしっかり勝っていけるような企業努力を惜しみなくどんどんやっていきたいなと思っています。
塗装業界への提言や要望
関:我々塗装業界、塗装が発生するところには必ずと言っていいほど足場というものがありますので、切っても切れない関係ではありますが、足場業界という視点から見て塗装業界への提言、それから要望とか、そういったことをお話いただければと思っております。
中村様:塗装業界への提言というか、こうあったらいいのになという想いですね。
やはり建設現場の事故とかみると、圧倒的に足場の災害が多いですね。当然、安全な足場があってこそいい仕事ができると思うんですけども、足場って工事が終わると無くなってしまうものなので、作品としては塗替えした塗装、仕上りが作品として残ってきますけれども、工事期間中の足場も作品だと思うんですよ。実際、いろんな会社さん見てても「この足場アカンやろ」っていうのを非常に見るんですよね。
だからそういったことが、もうちょっと意識高く、もうちょっと足場屋さんと共存・共栄できるような単価設定とかも設けていただけたら、若い人たちの未来にも繋がりますし、一番危険視されて、一番見られるところって足場だと思うんで、ずっと足場業界自体がいいよねって言われるような業界にするためにも、まずは元請けさんがいて然りなので、元請けさんのそういった意識というのをもうちょっと上げていただけることが、僕らの提言というか、要望ですかね。
菅原:塗装屋さんと足場屋さんは関係が深く、よく一緒に仕事する機会も多いと思うんですけど、こんな塗装屋さんと仕事したい、この塗装屋さんだったら今後も長く一緒に仕事したいというのは、どんな塗装屋さん何ですか。
中村様:どんな塗装屋さんっていうか、やはり仕事に情熱持っている経営者さんだったり、幹部の人であったり、職人さんであったり、そういった人たちと仕事をやるっていうのはお互い成長すると思うんです。現場で話す会話とか次の現場に向けての打ち合わせとか、躍動感があるんですよね。
だから、本当に金額でしか見ない、とりあえず足場を組んでくれたらええよみたいな、そんなところと仕事していても何も楽しくないし、お互いの付加価値を上げていくためには、僕らから塗装屋さんを見て「本当にここってプロフェッショナルやな」ってところも減っているという意識はありますんで、後世に技術を残していくって結構皆さん当たり前のように仰ってますけども、本当に後世に技術継承してバトン・数珠繋いでいくんであれば、もっともっと現場愛があってもいいんじゃないかって僕は感じます。
僕は塗装業界に関わっている経営者さんの中で一番尊敬するっていうところでは、関西にある会社さん2社がいまして、その塗装屋さんは1社50億円ぐらいやっていて、もう1社は30億円ぐらいやっているところなんですけど、やはりプロフェッショナルというところで、そこの妥協が無いので一緒に成長していっているっていうのを感じられて、やっていてすごくたのしいですね。
塗装業界へのメッセージ
関:最後に一言、まだまだこれからも厳しい状況の続く塗装業界・足場業界・建築業界の仲間たちに向けて、中村社長からエールをいただいてよろしいでしょうか。
中村様:エールですか、難しいですね(笑)
僕ごときがエールなんか飛ばしたら怒られそうですけど、どの業界・どの業種、結局やっているのは人間なので、人としてってことでやはり礼儀礼節、誠心誠意、真っ直ぐ正直っていうところを貫いて、正直に仕事をやっていくことで、生きていく中で絶対紆余曲折、山あり谷ありっていう誰でもありますので、そういったことをアステックペイントっていうチームの仲間の方たち、またその外部にいる方たちも含めて、共にがんばっていっていけるように情報交換もしながら、アステックペイントってそういう場でないのかなって僕は思っていますのでがんばっていきたいと思っています。そして、がんばってください。
僕からは以上です。ありがとうございます。
代表菅原より一言
菅原:中村社長、どうもありがとうございました。
今回、初めて異業種となります足場業界を代表して、中村社長にいろんなお話を伺いしました。おそらく私を含めて、多くの塗装の経営者の皆様も元気をいただいたという風に思っていますし、いろんな学びにもなったとも思います。
この「経営者ぶっちゃけトーク」に関しましては、基本、塗装業界の経営者の皆様にご参加いただきたいと思っておりますが、今後は異業種の経営者たちもどんどん参加していただけるような企画を練っていきたいと思っております。
本日は誠にありがとうございました。
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【コラム寄稿者】
株式会社アステックペイント
菅原 徹
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菅原 徹
株式会社アステックペイント 代表取締役
2000年10月に株式会社アステックペイントを創業して以来、高付加価値な住宅用塗料の研究開発・製造・システムやアプリ開発・販促支援など、あらゆる角度から塗装業界の発展を目指し、事業展開している。
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AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。2020年以降、遮熱塗料国内メーカーシェアNo.1を連続獲得中。
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