若者に継続的に入社してもらうために重要なこと
先日、来年4月に入社予定の内定者向けに内定式と懇親会を行った。懇親会は3年ぶりの開催となり、お酒を交わしながら改めて学生と様々な会話ができたのでとても刺激になった。
当社では、入社後に約1か月の本社研修にてビジネスマンとしての基礎を教育し、その後、配属先でOJTにて新入社員を教育していく。
目安として、入社後半年で上司や先輩にサポートしてもらいながら仕事ができるようになり、1年後には自立し、一人である程度の仕事ができるようになることを目指している。
新入社員教育に大切なこと
あらゆる会社に共通していると思うが、「Z世代」がキーワードになっているように、最近の若者の扱いがわからず、教育および指導について悩んでいる会社は多いと思う。採用難の時代において、必要以上に新入社員に気を遣い、場合によっては腫れ物に触るような感覚になっている会社も少なくないだろう。
そこで、重要なのは「会社が社員に求める価値観を明確にして、採用時にもその価値観をしっかり説明し、納得して入社してもらい、入社後もその価値観を貫いている」ことだと思う。
「入社後3年間は量を求める」という考え方
例えば、当社では「貪欲に成長を目指す人」を特に強調し、新入社員には「入社後3年間は量を求める」と説明している。理由としては、社会人人生が40年以上ある中で、最初の3年間は仕事の量をこなす習慣を身に付けておき、20代の内に仕事の量から質に転換し、さらに質を維持しながら量をこなせる実力を身に付けておかないと、30歳以降に成長が止まってしまうと考えているからだ。
プロ野球で例えるならば、春季キャンプの時にしっかり足腰を鍛えて基礎体力を作り上げておかないと、シーズン途中で脱落するリスクが高まることや、一流バッターは誰よりもバットの素振りの量をこなしていることと同じだと思う。
さらに重要なのは、この価値観を会社全体として貫いていることだ。
「入社3年間は量を求める」と説明しながら量を与えない上司は、社員の成長する機会を失わせてしまい将来の収入を減らしてしまっているかもしれない。または量をこなして仕事の質への転換はできたけど、その後に相応しい成長ができる場を提供しないために、「質を維持しながら量をこなすことができる実力が身に付かない」となると、貪欲に成長を求める者にとっては、無駄な時間を過ごしていると感じてしまうかもしれない。
若者に継続的に入社してもらうためには・・・
若者に継続的に入社してもらうためには、繰り返しになるが「会社が社員に求める価値観を明確にして、採用時にもその価値観をしっかり説明し、納得して入社してもらい、入社後もその価値観を貫いている」状態にすることが重要である。
それはとても難しいことだと思うが、それ以外に若者が継続的に入社してきて、長く働いてもらえる手段を私は知らないため、愚直にこの考えで取り組んでいる。
【コラム寄稿】株式会社アステックペイント代表 菅原徹
菅原 徹(すがはら とおる)
株式会社アステックペイント代表取締役
2000年10月に株式会社アステックペイントを創業して以来、高付加価値な住宅用塗料の研究開発・製造・システムやアプリ開発・販促支援など、あらゆる角度から塗装業界の発展を目指し、事業展開している。