入り口は「デジタル」、出口は「アナログ」という考え方

代表コラム 2024.11.27
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消費者庁が毎年実施している「消費者意識基本調査」にて、「商品購入の際に購入の決め手となる情報源」という調査項目の2021年と2023年の比較がとても興味深かったので整理してみました。消費者の情報源の変化をより理解しやすくするため、調査項目の種類を「デジタル」と「非デジタル」の2つの情報源に分けて整理してみました。

まずは「デジタル系情報源」では、特に「インターネット記事やブログ」が大きく伸長し、2021年と2023年の比較では、50代は(48.5%→75.6%)、70代でも(13.4%→30.5%)となっており、中高年層の情報源が大きく変化していることがわかります。

コロナ禍を通じたデジタルシフトが大きく影響していると推測できます。我々のメイン顧客層の一部である50代に関しては、10代~40代の年代と大差ないほど高い水準にて、デジタル系情報源を商品購買の際の決め手としていることは、とても興味深いと思います。

次に「非デジタル系情報源」を見てみますと、特に「店頭・店員」が減少し、2021年と2023年の比較では、50代は(66.4%→51.8%)、70代では(60.4%→54.6%)となっています。

その他の項目を総合的に鑑みますと、全体的に「非デジタル系情報源」が極端に廃れたという訳でもなく、とても「底堅い」という評価が正しいと思っています。つまり、50代から70代において、これらの「非デジタル系情報源」は、未だ商品購入の意思決定をする上での重要な情報源と考えて良いでしょう。

では、なぜ「チラシ」のような非デジタル系の従来型の販促手法による反響が、想定を上回る勢いで減少してきているのか考察してみたいと思います。

まずは、インフレにより消費者マインドが低下していることが前提とはなりますが、販促手段の構造的変化に着目すべきだと考えます。住宅塗装の販促の中心であったチラシは、新聞の折り込みの中に入れて、消費者までお届けする場合がほとんどです。

まず、その新聞の発行部数は年々減少しているという構造的な変化があります。

新聞通信調査会の「メディアに関する世論調査」(2023年)によると、新聞を毎日読む人は全世代で39.2%、50代(32.0%)、60代(53.8%)、70代(72.2%)という調査結果が出ており、さらに年々減少しています。ここで、さらなる変化は、新聞の電子化の普及率も合わせて高まってきていることです。様々なデータから推測すると、概ね50代で20%前後で、60代を超えてくると5%以下になるという感覚だと思っています。仮に、50歳代で新聞購読率が32%、新聞の電子化率が20%だとすると、新聞の紙比率が80%となりますので、32% x 80% = 25%程だけが、紙の新聞を毎日読んでいるということになります。すなわち、50代に対しては、新聞の折り込みでは「25%」程度しか情報が届かないという事実が浮き上がってきます。本来であれば、50代以降の年齢は、非デジタル系情報源に対して親和性がありながらも、結果として従来型の販促手法では、「そもそも情報が届けられない」構造的変化が起きており、そしてこれは確実に今後も進行し続けることになります。

住宅塗装の顧客は、50歳から75歳ぐらいまでが対象になるでしょう。色々整理をしていきますと、「デジタル系情報源」は、今後もさらに加速していくことは確定的です。

そして、「非デジタル系情報源」は、購入の決め手となる情報源として、その有効性は一部低下が見られるものの、依然として高い水準を維持しており、今後も有効であると考えます。しかし、新聞購読率が低下していきながら、新聞の電子化率は高まっていくことを考えると、折り込みによるチラシで情報を届けること自体が難しくなっていく、ということになります。

すなわち、新聞折り込みによる情報提供以外の手段を早急に模索していく必要があります。

入口は「デジタル」、出口は「アナログ」

Buckets full of rainbow colored oil paint

※イメージ写真


新聞の折り込み以外の非デジタル系情報源としては、ポスティング、工事中の近隣への挨拶、紹介、工事後のリピート工事など様々な手段はありますが、実際には、新聞の折り込み程のコスパと広告量を実現することは難しいと言えます。そうなると、WEBやSNSのようなデジタルによる販促手段を強化するしかありません。販促の全体的な割合としては、非デジタル系のポスティング、工事中の近隣への挨拶、紹介、工事後のリピート工事などは確実に維持をしていきながらも、デジタル系で競合他社に勝てる販促手法の確立が重要になっていきます。

しかしながら、非デジタル系情報源に関して、まだまだ重要視している50代以降の方々に対して、デジタルを通じて接点を持った後は、可能な限り非デジタルでコミュニケーションを取り続けることが有効だと考えます。なぜなら、住宅塗装とは、人生において、初めての方がほとんどであり、さらに頻度は約15年に一度程度なので、経験値を積むことはほぼ無理でしょう。

さらに塗装工事代は150万円ほどと、人生の買い物においてトップ3に入るほどの大きな買い物になりますので、誰もが不安に思うはずです。その不安を取り除くためのコミュニケーション量を確保しなければ信頼関係は築けないと考えます。その上で、必要な情報量の提供し、それらを理解・納得しなければ契約書にハンコを押すこともないはずです。

すなわち、デジタルのやりとりだけで、不安を取り除くための信頼関係作りや、情報をしっかり理解して貰うことはほぼ不可能と言えるでしょう。

デジタルの利便性は間違いなく有効であり、デジタルを活用しなければ顧客との接点作りさえも作ることは出来ない時代となりました。しかしながら、一度接点を取った後は、必要なコミュニケーションの量を非デジタルで確保しながら契約まで締結すると言う流れが、顧客にとって最も合理的な流れになると考えます。

すなわち、集客となる入口は「デジタル」で、契約までの出口は非デジタルとなる「アナログ」という考え方がすっきりするでしょう。デジタルとアナログのそれぞれの強み、弱みを理解して、それぞれを使い分けることが重要だと考えます。

<2024年10月号アステックペイント定期発行物ホットラインより>

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このコラムの寄稿者と運営者

【コラム寄稿者】
株式会社アステックペイント
菅原 徹

【コラム寄稿者】
株式会社アステックペイント
菅原 徹

株式会社アステックペイント 代表取締役
2000年10月に株式会社アステックペイントを創業して以来、高付加価値な住宅用塗料の研究開発・製造・システムやアプリ開発・販促支援など、あらゆる角度から塗装業界の発展を目指し、事業展開している。

【運営会社】
株式会社アステックペイント

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株式会社アステックペイント

AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。2020年以降、遮熱塗料国内メーカーシェアNo.1を連続獲得中。

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