塗装業界の「2024年問題」への対応

代表コラム 外壁 2024.01.15
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<2023年11月号アステックペイント定期発行物ホットラインより>

物流・運送業界の「2024年問題」は、テレビ等でも大きく取り沙汰されています。

物流・運送の2024年問題とは、ドライバーの労働時間に上限が課されることで生じる問題のことです。具体的には、ドライバーの時間外労働時間が年間960時間に制限されることで、集荷の時間が早まったり、1人当たりの走行距離が短くなることで長距離で運送できなくなることが懸念されています。

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この2024年問題は、建設業界も同じ問題を抱えることになります。2019年4月1日に「働き方改革関連法案」が施行され、5年間の猶予期間を経て、2024年4月1日より適用となります。詳細は省きますが、時間外労働時間の上限規制(原則45時間以内、年360時間以内)に違反した場合、6ヶ月以下の懲役もしくは30万以下の罰金が科せられるため、経営者は従業員の時間外労働時間削減への対応が急務と言えます。この問題は、建設業界に非常に大きなインパクトをもたらすことになるでしょう。

内閣府の調査によると、職種別の有効求人倍率の全体平均が1.29倍なのに対して、既に人手不足が深刻化している建設関係職種ではその約4倍の5.2倍となっています。これはとても厳しい状況であり、改善されていくことさえ期待できないでしょう。

このように既に人手不足でありながら、深刻な採用難に陥っており、さらに現在働いている社員の1人当たりの労働時間を制限していくという流れに、どのように対応していくのか、非常に深刻な問題だと言えるでしょう。

塗装業界の2024年問題に対応するために

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この問題で対応できることはかなり限定されていますが、根本的には、自社の社員・協力業者の労働生産性を向上させていくことしかありません。労働生産性とは「労働者数・労働時間あたりに生み出した成果を示す指標のこと」です。例えば、1人の塗装職人が塗装できる面積を、1日500㎡から600㎡にすることができれば、生産性120%UPとなります。生産性120%UPが実現すれば、単純に売上は120%上げることができ、職人の賃金も120%上げることが理論上可能です。しかしながら、塗装職人の作業をロボットや生成AIに置き換えることは困難であり、職人の作業そのものの生産性を上げていくことは難しいでしょう。

実際に過去20年間で、製造業の労働生産性が150%上昇しているのに対して、建設業において生産性は全く向上していない事実があります。

デジタルツールによる生産性の向上

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しかし、塗装工事そのものの生産性を上げることは難しくても、塗装工事に関わる業務をITやAIによって効率化させることで、結果として関係者の生産性を上げていくことは可能です。現時点で最も分かりやすく効果的なのはデジタルツールの活用です。現在、アステックペイントでは「現場ポケット」というアプリをリリースしています。このアプリを活用することで、次のような効果が見込まれます。

〇情報が一元管理・共有されているので、塗装職人との電話のやり取り等がなくなり、関係者全員の時間が削減できる

〇職人や関係者による最小限のタップや情報入力で、写真管理、勤怠管理、日報管理がほぼ自動的に完結する

〇関係者の事務作業や報告書の作成などが大幅に削減される

このように塗装職人も含め関係者全員の時間削減が可能となり、その削減できた時間を本来の業務に充てることで、労働生産性を上げていくことは可能となります。塗装業界に特化したデジタルツール「現場ポケット」は、このような業界の課題を解決するために生み出したアプリです。現在は既に6,000社以上の企業に利用されています。まだまだリリースされて間もない段階ですが、アプリの契約更新率は業界トップクラスでユーザーからの高い評価の証だと思っています。

新オプション「現場カレンダー」、2024年4月にリリース予定

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2024年4月リリース予定の「現場カレンダー」とは、どの事務所にも設置されている「現場管理用ホワイトボード」のデジタル版です。パソコンやスマートフォンから直感的操作で複数現場の情報をリアルタイムに把握、更新ができるため、天候変化やトラブル等に合わせて柔軟な工程調整が可能です。さらに関係者に直接連絡を取ることなく現場進捗を確認できるなど、現場管理に関わる全ての関係者の大幅な時間削減が可能となります。

塗装業界の2024年問題に対応できることは、かなり限定的です。その中でもデジタルツールの活用は効果的な取り組みで、現場ポケットは超安価で活用することができます。現場ポケットは、今後も進化させ続けていくため、まず現在の既存機能の活用にて、自社の生産性向上の取り組みを行ってください。

その上で、2024年から現場カレンダーを活用することで、さらなる大幅な業務の効率化も可能になっていきます。

現場ポケットが目指す未来は「塗装業界において、全ての業務をデジタルに置き換えること」です。現場ポケットの活用で確実に皆様の労働生産性向上を実現していただきたいと思っています。

自社の社員・協力業者の労働生産性を向上させることで、会社に利益をもたらすことができるようになりますが、同時に社員・協力業者の待遇を改善することは未来に生き残るための絶対条件であると認識すべきです。

建設業界での求人倍率が高く厳しい状況といえども、建設業界の中で高待遇の給与などを提示することができれば、相対的に優位な立場になり、人材の採用は必ずできるようになるはずです。人材の採用なしに企業の成長はあり得ません。2024年問題は変えられない未来ですが、デジタルツールの活用、自社の生産性の向上、自社の高待遇を実現し、これからも発展し続ける塗装会社を目指していただきたいと思っています。

注:新オプション機能「現場カレンダー」のオプション料金は、年間契約プランの場合、8,800円/月(税込116,160円/年)となります。ベータ版のリリースは2024年1月予定で、2024年6月30日までの無料トライアル期間があるため、まずは無料トライアルにお申込みください。

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コラム寄稿】株式会社アステックペイント代表 菅原徹

菅原 徹(すがはら とおる)

株式会社アステックペイント代表取締役
2000年10月に株式会社アステックペイントを創業して以来、高付加価値な住宅用塗料の研究開発・製造・システムやアプリ開発・販促支援など、あらゆる角度から塗装業界の発展を目指し、事業展開している。

アステックペイント

運営会社】株式会社アステックペイント

AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。

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