顧客管理について考えてみる


顧客管理の目的とは何であろうか。顧客管理では、顧客の名前、連絡先、その他の個人情報などを記録し、自社の顧客は誰なのか把握することができるようになる。
しかしながら、今やその他にも詳細情報として、例えば家族情報や建物情報、そして営業履歴や工事履歴など、顧客に関わるあらゆる情報を一元的に管理することが望まれている。
なぜそれほどまでに顧客に関わる大量の情報を、多大な手間を掛けて行うのであろうか。その理由は、「顧客との関係を向上させる」ことが目的だからと考える。

当社は塗料メーカーとして、当然ながら顧客管理を行なっている。
ただし、BtoBという業態での特性上、一人もしくは一社との出会いを大切にしながら、何度も何度も繰り返し当社の商品やサービスを購入していただき、ビジネスとして成り立つようにする必要がある。
そのプロセスにおいては、当然顧客管理を行いながらも、小さな信頼関係を積み重ね、些細なクレームに対しても、最後の最後まで納得していただくまで話し合い続け、全てを解決するように努力を行なっていく。結果として創業して25年だが、20年以上取引させていただいている取引先も多いほど、顧客との関係性には努力する。

BtoBの恐ろしさは、10年以上お付き合いがあっても、その時の担当者の振る舞い一つで信頼関係を失ってしまうと、全ての関係が崩壊し、会社に大きなダメージを与えてしまう。これもBtoBビジネスの特徴と言えるであろう。
一方、住宅塗装専門店のようなBtoCという業態では、顧客管理に対する違いがあると感じている。顧客管理という観点で言うと「一期一会」のような世界でビジネスをやっているように感じてしまう。
目の前に顧客が現れてきても、「今すぐ客」か、そうでないかを判断して、「今すぐ客」でない客はすぐに切り捨てる。そして「今すぐ客」にアプローチを行い、短期で契約を取れれば喜ぶが、そうでなければ魚釣りのようにリリースしてしまう。
そこに、近い未来に塗装をするかもしれない潜在顧客を記録し、丁寧にアプローチし続けるという発想はほぼない。もしくは、「一期一会」で出会えた顧客から運よく工事を発注していただき、工事を行うが、その後は同じように魚釣りのリリースを行なってしまい、10年後の再塗装を取るための仕組みや努力などはほぼない。
BtoBとの違いになると思うが、一人の顧客からの信頼を不本意ながらも失ってしまっても、「一期一会」なので、さほど気にすることなく、次の顧客を見つければ良い程度の対応に感じてしまう。

しかしながら、時代は変わってきた。まず住宅塗装市場がピークアウトし、新規顧客を獲得することが難しくなってくる時代に、今までと同じ「一期一会」の考えでは事業が破綻してしまうこと。
二つ目に、今までは目の前の顧客からのクレームを放置して、別の顧客を見つけるだけで良かったが、インターネットで口コミをされることでデジタルタトゥーとして、後々多大な影響が出てくることも大きな変化であろう。
三つ目は、CRM(顧客関係性マネージメント)という概念が世の中にも普及し始めており、以前はかなり高価であった顧客管理のソフトウェアが、手の届くところまで価格が下がってきたので、世の中の最先端の顧客管理ツールを中小企業も使えるようになってきた。
そしてCRMを使い、顧客のあらゆる情報を記録することで、それらの情報が相互に連携するため、必要なタイミングで必要なアクションが起こせるようになっていく。結果として、BtoCの業態でも生涯顧客化を実現するための環境が整ってきたと思う。
さらに、ITシステムが普及してきたことで、今までは潜在顧客やOB顧客にアプローチするのに、郵送DM等を送るとコストが掛かっていたが、今では顧客の属性を分析し、必要なタイミングで必要な情報を送り届ける手段をLINEやSNS、もしくはメール等にすることで送信コストは限りなく無料になってきたことも大きい。

このように顧客管理の概念や手段は大きく変わってきた。そして、顧客管理の目的は「顧客との関係性の向上」であるとするならば、顧客のあらゆる情報を記録するということは、顧客のことを「知る」ことができ、その情報から導き出された顧客の「ニーズ」に対して、会社として対応することで顧客から評価を得たり、工事を発注していただいたりすることもあるであろう。
全ては顧客との関係性の向上に繋がっていると考える。このような取り組みを「全ての顧客」に、「生涯行う」ことを実現するためには、CRM機能を持つ顧客管理システムを使いこなすことは絶対条件になっていく。
そして、自社の関係者は顧客の関係性を向上させ続けるために、全員が同じ意識と努力をし続けるべきだと考える。
<2025年2月号アステックペイント定期発行物ホットラインより>
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このコラムの寄稿者と運営者

【コラム寄稿者】
株式会社アステックペイント
菅原 徹
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菅原 徹
株式会社アステックペイント 代表取締役
2000年10月に株式会社アステックペイントを創業して以来、高付加価値な住宅用塗料の研究開発・製造・システムやアプリ開発・販促支援など、あらゆる角度から塗装業界の発展を目指し、事業展開している。

【運営会社】
株式会社アステックペイント
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AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。2020年以降、遮熱塗料国内メーカーシェアNo.1を連続獲得中。