上海出張報告


2025年9月、中国の上海に行ってきた。目的は、China Coating Show 2025の塗料展示会に参加するためであった。
中国のテクノロジー動向と認識
テレビやインターネットを見ていると、中国に関するあらゆるニュースを見ることがあるが、その多くはネガティブな内容であろう。トランプ大統領との対立、アジアでの国境や領海、排他的経済水域に絡んだ紛争、不動産バブルの崩壊に続く景気後退などの内容が多いのではないであろうか。
このようなネガティブな内容を多く聞く一方で、中国はあらゆる分野で、超絶な進化をもの凄いスピードで成し遂げている事実もある。
世界の最先端テクノロジー開発状況で、44分野別のランキングでほぼ全ての分野で中国が圧倒的NO.1となっている。アメリカのNO.1の分野も極わずかになってきており、日本においてはゼロという結果でもあった。もう最先端テクノロジーで、日本が中国を上回ることは無いかもしれない。
さらには、現在未来を動かす最も重要なテクノロジーは「AI」と言えるであろうが、世界のAIエンジニアの50%は中国人とも言われている。デジタルの世界においても、日本は全く歯が立たない未来が待っているとも言えるであろう。
China Coating Show 2025の所感と塗料分野に関する仮説
そのような状況の中で、化学分野もしくは塗料分野での中国の現状を知りたいと思っていた。おそらく塗料分野においては、特段世界で最先端レベルではないであろうが、ほぼ日本とは同等レベルぐらいになっているのではと想像しながら、中国に出張をすることになった。
今回参加したChina Coating Show 2025の塗料展示会では、480社ほどの塗料メーカー、原材料メーカー、塗料設備メーカーが出展していた。中身については、これからサンプルを取り寄せ、様々確認することになると思うが、人口14憶万人を抱える中国が長きに渡り大きな成長を遂げてくる中、日本人では想像を絶するほどの建設現場の量をこなしてきているはずである。
その背後には、膨大な建設資材と設備に投資をしてきており、現在は経済が停滞してきた、もしくは不動産バブル崩壊のタイミングでは、あらゆる建設資材は在庫過多、そして価格崩壊などが起きているであろうと考えるのが自然だと思う。この膨大に余りまくった建設資材と設備のはけ口のために一帯一路を立ち上げたのではないかと疑ってしまうほどである。
そのように考えると、化学製品の品質は日本と遜色なく、価格は驚くほどの安さになっているのではという「仮説」を立て、中国に行ってきた。中国での成果の正確な結果は、様々な試験を行い半年後ぐらいに見えてくるであろうが、今の段階で感覚的には私の仮説は当たっていると思っている。
中国で最も経済発展しており、観光客も多いはずの上海の街中を歩いていても、今までテレビで見てきたように、多くの人で溢れかえっている状況ではなかった。ということは、上海の郊外、もっと言うと他の都市はかなり荒んでいるのであろうと想像してしまう。上海における日本人社会の話を聞くと、10年程前には約10万人いた上海の日本人は現在4万人ほど。
一学年10クラス程あった日本人学校は、今や2クラス程度。これだけ多くの日本駐在員が減っているということは、中国に進出していた日系企業がその分だけ撤退しているということであろう。このことは、日本企業だけではなく、世界中から中国に進出してきた企業にも当てはまっていると思う。
中国経済の現況、社会の変化
中国での学生の就職率は3~4割程度、若年層の失業率は20%近くとなり、中国経済はかなり行き詰ってきているように見える。そのような中、世界最先端で発展、成長している企業においては、天才レベルの学生をかなりの高給で大量に採用し、研究開発やシステム開発を昼夜問わず三交代制で行っていると聞く。日本であれば、製造工場などでは三交代制は存在しているが、研究開発やシステム開発の三交代制などは聞いたこともなく、中国のあらゆる分野での超絶な進化とスピードはこのようなところから来ていると改めてビックリしてしまった。
そうは言っても、中国経済の崩壊は免れることは無いであろうし、既に中国国内においては明らかな「デフレ化」が進行しており、このデフレは世界にダンピング輸出を行いながら、世界経済の害にもなっていくであろう。
中国とは世界最先端のテクノロジーを有し、あらゆる分野で超絶な進化とスピードを遂げ続け、製造品質においても世界最高品質になりながら、有り余る製造設備と人材が揃っている。
しかしながら、経済の衰退によりあらゆる物価が下がり続けるデフレ経済をこれから長き渡り経験するであろう中国との付き合い方は、しっかり考えておくべきだと思っている。そして、この状況を自社の未来の成長のチャンスとなる取り組みを行なっていきたい。
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【コラム寄稿者】
株式会社アステックペイント
菅原 徹
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株式会社アステックペイント 代表取締役
2000年10月に株式会社アステックペイントを創業して以来、高付加価値な住宅用塗料の研究開発・製造・システムやアプリ開発・販促支援など、あらゆる角度から塗装業界の発展を目指し、事業展開している。

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