テキサス視察を経て見えた、日本再興の兆し

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<2023年9月号アステックペイント定期発行物ホットラインより>

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2023年の住宅塗装市場

塗装市場
※イメージ写真

2023年に入り、住宅塗装市場の市況はかなり酷いと聞くことが多い。要因としては、コロナ禍での住宅塗装需要の先食い、アフターコロナへの転換後の猛烈なインフレによる消費マインドの低下があると言われている。もう一つの要因は、日本の人口ピラミッドのボリュームゾーンを見ることで想像できるかもしれない。

まず、今まで住宅リフォーム業界を支えてきた団塊の世代は、既に70歳を超えてきており、段階的に市場から撤退しつつある。当然、この世代は既に住宅塗装を一回もしくは二回は経験しており、今後はこの世代からの塗装需要が急減すると想像できる。

また、この世代の次に大きなボリュームゾーンは、団塊ジュニアとなり、1971年から1974年の間に生まれた49歳から52歳の世代のことを指す。この50歳前後の世代が、新たなボリュームゾーンとなり、所得や金融資産は団塊世代ほど有してはいないが、現在の住宅リフォーム市場を支えていると言っても過言ではないと思う。

そして、コロナ禍に団塊ジュニア世代が一回目の住宅塗装を終えてしまったことが、2023年の市況の変化の要因であるという見方もある。

すなわち、団塊ジュニアの二回目の塗装まではかなり時間がかかり、次世代の人口が大幅に減っているために、2023年の市況感が生まれてしまい、しばらく続く可能性があるという考えである。

消費マインドの低下による影響

インフレ

日本の経済状況を見ると、インフレによる消費マインドの低下はあらゆる業界に影響を及ぼしていると感じ、住宅塗装市場の状況と合わせて日本の未来を悲観的に見てしまう。しかし、アメリカに行き、想像以上の活気に驚くばかりであった。

アメリカは2023年に入り金利を上げ続けてきたが、景気は下降しておらず、このまま好景気が続くとの見方が強くなってきた。日本より遥かに高いインフレ率でありながらも、給与もインフレ並み以上に上昇しているので、物価高に対して消費マインドは全く落ち込んでいないようである。新築住宅市場においては、需要に対して供給量が追い付かないほどの状況であり、アメリカ経済の強さを感じた次第であった。

日本再興の未来

ビジネスイメージ

日本と物価を比較すると、アメリカの高さに啞然とするばかりである。30年前にアメリカに住んでいたが、物価は感覚的に当時の3倍以上となり、その間日本の物価はほとんど変わらないことを考えると、圧倒的な差がついてしまったようだ。また、日本の未来を悲観し、世界の先進国から脱落するという声をよく耳にする。しかし、私は日本の未来は明るいと思っている。

現在の円安水準は、バブル崩壊前の1990年と同水準となっている。すなわち、バブルを起こすほど景気を持ち上げてきたのは、日本が世界中にメイドインジャパンの製品を売りまくることができた競争力であり、円安水準であったと考えると、現在の日本は同じような国際競争力を持つことができるであろう。実際に、今までは中国や韓国に価格で負けていたが、既にこれらの国々を上回るほど価格競争力が高まっているとニュースで見ることもある。

地政学的に、安全保障の観点で「世界の工場」と言われた中国から製造拠点の一部を日本が担うようになり、失われた30年から脱却する時期が来たかもしれない。そのように考えると、日本の未来を楽観視することができて、自らの事業へのモチベーションにも繋がる。未来を前向きに考えることは重要だと思う。


コラム寄稿】株式会社アステックペイント代表 菅原徹

菅原徹

菅原 徹(すがはら とおる)

株式会社アステックペイント代表取締役
2000年10月に株式会社アステックペイントを創業して以来、高付加価値な住宅用塗料の研究開発・製造・システムやアプリ開発・販促支援など、あらゆる角度から塗装業界の発展を目指し、事業展開している。

アステックペイント

運営会社】株式会社アステックペイント

AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。

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