シックハウス対策万全な塗料の安全基準「F☆☆☆☆」とは?

現場の研究 塗料性能 2021.06.15 (最終更新日:2024.01.15)
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身の回りにあふれる塗料や糊には化学物質が使用されており、アレルギー症状を引き起こす原因となっています。そのため、外壁塗装に使用する「塗料」にも「身体への安全性」が求められています。

そして、塗料・塗装業界で製品の安全性を評価するための基準の一つとして用いられているのが「F☆☆☆☆(フォースター)」です。

今回の記事では「F☆☆☆☆とは何なのか」「屋内向けの規格なのに、なぜ外壁用塗料で取得されるのか」「F☆☆☆☆認定塗料を使えば安全なのか」など、「F☆☆☆☆」の情報について詳しくご紹介します。

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F☆☆☆☆とは

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私達の身の回りには、塗料はもちろん、壁紙の糊や本のインクなど多種多様な化学物質が存在しており、私達はその化学物質に囲まれて生活していると言えます。その結果、シックハウス症候群など、化学物質によるアレルギー症状が引き起こされるようになってきました。

そこでシックハウス症候群の対策として、建築基準法において、建材等から発生するホルムアルデヒドの放散速度(または放散量)に応じて等級を4段階に区分し、☆の数によって屋内での使用が制限されています。

等級区分第1種第2種第3種規制対象外
表示無印F☆☆F☆☆☆F☆☆☆☆
放散速度(mg/㎡・h)0.12以上0.02~0.120.005~0.020.005以下
放散量1.8以上0.35~1.80.12~0.350.12以下
内装仕上げの制限使用不可使用制限あり使用制限あり制限対象外

第1種に当たる「無印」の塗料は、屋内で使用することはできず、第2~3種にあたる「F☆☆」「F☆☆☆」の塗料は、屋内での使用量の制限を受けます。

一方で、等級区分に該当しない「F☆☆☆☆」の塗料は、屋内でも無制限に使用することができます。

なぜ外壁用塗料で「F☆☆☆☆」が取得されているのか

前章でご紹介したように、ホルムアルデヒド放散等級による規制は、屋内における塗料等の使用を制限するものです。逆に言えば、外装用の塗料ではこの制限は適用されていません。

ところが、外壁専用塗料でもこの「F☆☆☆☆」を取得している製品が多くあります。それは、外壁専用塗料であっても、準外部(軒下の壁など)や一部屋内で施工されることがあるためです。屋内への影響に配慮し、多くの塗料でF☆☆☆☆の取得が進められているのです。

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一方、屋根専用塗料は、準外部や屋内で施工されることは想定されていません。そのため、屋根専用塗料でF☆☆☆☆を取得することはできません。

■塗料のホルムアルデヒド放散等級表示登録書

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 F☆☆☆☆認定塗料を使えば、安全なのか

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F☆☆☆☆認定塗料は完璧に安全なのかといえば、必ずしもそうとは限りません。

もちろん各塗料メーカーでは、有害性が認められている化学物質を含まない、安全な塗料の開発を進めていますが、影響を及ぼす化学物質すべてが特定されているわけではありません。

塗料には原因物質が含まれていなくても、シンナーに含まれている場合も考えられます。また、ホルムアルデヒド放散等級による規制は、シックハウス症候群などのアレルギーを引き起こすとされる原因物質の中でも、放出される『ホルムアルデヒド』のみに関する規制となっています。

つまり、F☆☆☆☆を謳っていても、ホルムアルデヒド以外の物質が放出されている場合もあるということです。

アレルギー発症リスクを低下させる方法

アレルギーを持たれている施主様の物件を施工する際には、どのような対策があるのでしょうか。

シックハウス症候群などアレルギーの原因物質・発症メカニズムや診断方法などは、今のところ確立されておりません。そのため、化学物質を含む塗料や建材を使う以上、現状として発症リスクをゼロにすることはできませんが、リスクを低下するための対策を以下ご紹介します。

  • SDSや成分表を入手し、施主様のアレルギー物質の掲載がないことを確認する。
  • 施工中は、窓の開放や換気扇の使用を控え、屋内への外気の流入を防ぐ。
  • 施工中はできるだけ外出いただくなどして、施工中の物件への滞在時間を減らす。

まとめ

この記事では「F☆☆☆☆」の概要とより安全な施工を行うための対策をご紹介しました。

各塗料メーカーは、安心安全な塗料の開発を進めていますが、アレルギーについては未解明の部分が多く、現状100%の安全性が担保された塗料はないと言えます。

アレルギーをお持ちであったり、小さなお子様がいらっしゃる施主様には、できるだけ安心していただけるような事前説明と対策を行うようにしましょう。


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記事監修】株式会社アステックペイント 谷口智弘

株式会社アステックペイント技術開発本部 本部長
住宅用塗料市場のマーケティング分析・品質管理を行う「商品企画管理室」、塗料の研究・開発を行う「技術開発部」、塗料の製造・生産・出荷を行う「生産部」塗装品質の向上のための施工指導を行う「フィールドエンジニア部」を統括する責任者として、高付加価値塗料の研究・開発、塗装現場の品質管理のための活動を行っている。

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運営会社】株式会社アステックペイント

AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。

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