錆止め塗料の効果を最大限に発揮するための3つのポイント

現場の研究 塗料性能 2021.03.09 (最終更新日:2024.01.15)
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一般的に、鋼板屋根の発錆を抑制するためには、錆止め塗料を使用すると思いますが、選定する仕様や工法によっては狙った効果を得ることができず、わずか数年で錆が再発してしまう場合があります。

本記事では、アステックペイントが取り扱う全ての錆止め塗料・錆処理剤で行った「防錆評価試験」の結果を踏まえて、「錆止め効果を高めるポイント」についてご紹介させていただきます。

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防錆試験および評価方法

●試験方法(サイクル腐食性試験)
「錆無の鋼板」(錆をケレン除去した鋼板を想定)、「錆有の鋼板」(錆をケレン除去していない鋼板を想定)に対して各種塗装を行い、切り込み(鋼板まで☓カット)を入れ、塩水噴霧・乾燥・湿潤を1サイクルとし、それらを繰り返す防錆評価試験を28サイクルと120サイクル実施しました。

28サイクル…一般錆止め塗料の規格。一般環境を想定。
120サイクル…橋梁などで使用される構造物用錆止め塗料の規格。過酷な環境を想定。

■サイクル腐食性試験の流れイメージ

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試験結果

■錆無の場合(錆をケレンした場合)

No下塗材・錆処理剤(1回目)下塗材(2回目)28サイクル120サイクル
1サーモテックメタルプライマー合格錆発生
2サーモテックメタルプライマーサーモテックメタルプライマー合格合格
3エポパワーメタルJY合格合格
4ラス・トレイントサーモテックメタルプライマー合格合格
5ラス・トレイントエポパワーメタルJY合格合格

■錆無の場合(錆をケレンできない場合)

No下塗材・錆処理剤(1回目)下塗材(2回目)28サイクル120サイクル
1サーモテックメタルプライマー錆発生錆発生
2サーモテックメタルプライマーサーモテックメタルプライマー錆発生錆発生
3エポパワーメタルJY錆発生錆発生
4ラス・トレイントサーモテックメタルプライマー合格合格
5ラス・トレイントエポパワーメタルJY合格合格

■試験後の試験体の様子

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試験結果から、以下の傾向が確認できます。
・錆をケレン除去しないよりも、錆をケレン除去する方が、防錆効果は高い。
・一回塗りするより、二回塗りする方が、防錆効果は高い。
・一液錆止め塗料より、二液錆止め塗料の方が、防錆効果は高い。

錆止め効果を高めるポイント

錆止め効果を高めるためには、主に3つのポイントがあります。

①適切な下地処理錆内部には水や酸素が残存しているため、錆止め塗装しても錆が残ったままだと新たな錆の発生源となってしまう。
錆をケレン除去することで、錆の発生源を断ち、錆止め効果を高めることができる。
②塗回数錆止め塗料の塗回数を増やすことで、ピンホール等の塗膜欠陥が減り、
錆止め効果を高めることができる。
③塗料選定二液錆止め塗料は反応硬化により塗膜が緻密になるため、一液錆止め塗料より二液錆止め塗料の方が、錆止め効果に優れている。

錆止め塗装において、上記各ポイントが占めるウェイトは以下の通りとなります。

・ポイント① 適切な下地処理…50%
・ポイント② 塗回数…30%
・ポイント③ 塗料選定…20%

まとめ

錆止め塗装の効果を高めるポイントについてご紹介いたしました。錆の発生しやすさは、施工現場の環境によって大きく異なるため、客観的に取り巻く環境を正しく評価し、その程度に合った仕様・工法等を適切に選定できるかがポイントとなります。

特に沿岸部等で、錆が既に発生している場合、塗装後も再発の可能性が高くなるため、【①適切な下地処理】【②塗回数】【③塗料選定】に留意して、最適な仕様・工法等を選定しましょう。


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記事監修】株式会社アステックペイント 谷口智弘

株式会社アステックペイント技術開発本部 本部長
住宅用塗料市場のマーケティング分析・品質管理を行う「商品企画管理室」、塗料の研究・開発を行う「技術開発部」、塗料の製造・生産・出荷を行う「生産部」塗装品質の向上のための施工指導を行う「フィールドエンジニア部」を統括する責任者として、高付加価値塗料の研究・開発、塗装現場の品質管理のための活動を行っている。

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運営会社】株式会社アステックペイント

AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。

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