低温時や降雨・結露の影響を受けにくい弱溶剤塗料「超低汚染リファインJY」
アステックペイントでは、2024年より超低汚染リファインシリーズの弱溶剤タイプ「超低汚染リファインJY-MSシリーズ」を発売しました。今回は超低汚染リファインJY‐MSシリーズの特徴をご紹介します。
超低汚染リファインJY-MSシリーズとは?
荷姿:弱溶剤形二液低汚染(遮熱)無機シリコン塗料 ※艶有のみ
遮熱なし | 遮熱あり | |
屋根・付帯部 | 超低汚染リファインJY500MS 15kgセット・3kgセット | 超低汚染リファインJY500MS-IR 15kgセット・3kgセット |
外壁・付帯部 | 超低汚染リファインJY1000MS 15kgセット・3kgセット | 超低汚染リファインJY1000MS-IR 15kgセット・3kgセット |
製品の特徴
タイプ(通常・低温)について
超低汚染リファインJY-MS は、「通常タイプ」「低温タイプ」の2種類あります。
低温タイプの超低汚染リファインJY-MSは、成膜速度が向上する反応促進剤を配合し、低温環境(5~10℃)下であっても、4時間で塗膜が乾燥するように設計した塗料です。
低温タイプは主に低温環境下(5~10℃)での使用をご検討ください。
気温が20℃以上の環境下で使用した場合、可使時間が短くなりますので注意が必要です。(25℃の場合、可使時間2時間程度、35℃の場合、1時間未満)
※気温20℃の場合は通常タイプ・低温タイプ共に可使時間は3~4時間となっております。
高耐候性
超低汚染リファインJY-MSは、促進耐候性試験(スーパーUV法※1)において、期待耐用年数15~18年相当経過後も光沢保持率80%以上を保持しています。
※1:スーパーUV法とは、促進耐候性試験の種類の一つです。太陽光と比べ、紫外線のエネルギーが数十倍強い光源のメタルハライドランプと水噴射機を使用して、人工的に屋外の条件を再現し、製品・材料の寿命を予測する促進耐候性試験です。
高耐候性を実現する技術① MS技術の採用
MS技術とは、アクリルシリコン樹脂に紫外線に強い無機成分を均一に結合させる技術です。
無機成分との結合性に優れた特殊変性アクリルシリコン樹脂を採用しているため、一般的な二液タイプのシリコン塗料よりも結合箇所が多いので緻密で強固な塗膜を形成します。
超低汚染性
超低汚染リファインJY-MSは、MS技術によって緻密で強靭な塗膜を形成し、汚れの付着や定着を抑え、長期間にわたって美観を維持できます。
※低汚染性に関するJIS規格(評価方法や性能基準)は規定されていません。そのため、低汚染性能を評価する際には、各塗料メーカーによって「雨筋暴露汚染試験」・「塗膜の接触角」・「防汚性評価試験」など、それぞれの試験結果を基に評価しています。
超低汚染性を発揮する理由① 親水性
無機成分が持つ優れた親水性(水となじみやすい性質)によって、塗膜に汚れが付着しても、塗膜と汚れの間に雨水が入り込み、汚れを洗い流します。
親水性の指標の一つである「屋外暴露試験」を、超低汚染リファインJY-MSと他社塗料を塗装した板を屋外に設置し、雨筋の発生程度を観察しました。
試験結果より、超低汚染リファインJY-MSは、他社製品と比較して汚れにくい結果が得られており、低汚染性を発揮しています。
超低汚染性を発揮する理由② 緻密性
超低汚染リファインJY-MSは、MS技術によって無機成分を均一に結合させることで、緻密で強靭な塗膜を形成します。そのため、粒子の細かい汚染物質が塗膜に突き刺さりにくく、長期にわたって美観を維持できます。
超低汚染リファインJY-MSの低汚染性効果を確認するために、「防汚性評価試験※4」を行いました。
試験結果より、超低汚染リファインJY-MSは、他社製品と比較して非常に良好な結果が得られ、高い低汚染性を発揮していることが確認できます。
状態 | 超低汚染リファインJY-MS | 他社弱溶剤 二液シリコン系塗料 |
汚染前 明度(L*) | 99 | 98.6 |
汚染後 明度(L*) | 97 | 44.8 |
明度差 ΔL* | – 2 | – 53.8 |
超低汚染性を発揮する理由② 防カビ・防藻性
「JIS Z 2911 カビ抵抗性試験」および「藻抵抗性試験(社内試験による)」に合格しています。美観保持力の向上に繋がるとともに、アレルギーの原因にもなるカビも抑制できます。
遮熱性
超低汚染リファインJY-MSは、一般塗料に使用されているカーボンブラックなどの顔料よりも日射反射率が高い「黒色遮熱無機顔料」を使用することで、近赤外線を反射し、室温の上昇を抑えることが可能であるため、高い遮熱性を実現しています。
遮熱保持性
一般の遮熱塗料は経年とともに付着した汚れが熱を吸収するため、徐々に遮熱効果が低下します。しかし、超低汚染リファインJY-MSは、超低汚染性の効果によって、汚れによる熱の吸収を防ぎ、一般遮熱塗料より長期間遮熱性を発揮できます。
塗膜の乾燥性(低温タイプのみ)
従来の弱溶剤二液塗料では、低温環境(5~10℃)で塗装後数時間程度の急な降雨や結露の影響を受け、光沢引けや白ボケが発生することがありました。そのため、低温タイプの超低汚染リファインJY-MSは、成膜速度が向上する反応促進剤を配合することで、低温環境で水分による影響を受けにくく設計をした塗料となっています。
低汚染リファインJY-MSの低温時の乾燥性試験※5を行ったところ、低温時でも水分の影響による光沢引けや白ボケが起こりにくい塗膜の乾燥性を確認しています。
【塗膜の乾燥性試験 結果】
※5:乾燥性試験とは、試験体を10℃で4時間乾燥後に赤線下部を浸水し、艶引けや白ボケを確認する試験のことです。塗膜の乾燥が進んでいない場合、塗膜の成膜過程で水が馴染んでしまい、艶引けや白ボケが発生する可能性があります。
超低汚染リファイン500 / 1000 共通 |
【製品データ】 〇荷姿:15kgセット(A液 12kg、B液 3kg)、3kgセット(A液 2.4kg、B液 0.6kg) 〇塗布量:0.25~0.35kg / m² 〇希釈: 0~3% (アステックシンナーDX) 〇艶:艶有のみ 〇色:アステック標準色69色 〇可使時間 : 通常タイプ ➤ 4時間以内(25℃)、2時間以内(35℃)、低温タイプ ➤ 2時間以内(25℃)、4時間以内(35℃) 【対応素材】 【超低汚染リファインJY 500MS(-IR)】 セメント瓦・カラーベスト・波形スレート(屋根)・モニエル瓦・金属屋根(カラー鋼板※6・ガルバリウム鋼板・ ステンレス)・各種旧塗膜 ※6:フッ素鋼板は除く。 【超低汚染リファインJY 1000MS(-IR)】 窯業系サイディング・モルタル・ALC・コンクリート・金属サイディング(カラー鋼板※7・アルミニウム・ガルバリウム鋼板・ステンレス)・波形スレート(外壁)・付帯部(鉄部・硬質塩ビ・各種旧塗膜) ※7:フッ素鋼板は除く。 |
JIS規格
【超低汚染リファインJY 500MS(-IR)】 |
■ JIS K 5675 屋根用高日射反射率塗料 『容器の中の状態』『表面乾燥性』『塗膜の外観』『日射反射率※8』『耐おもり落下性』 『鏡面光沢度』『耐酸性』『耐アルカリ性』『耐湿潤冷熱繰返し性』『付着性』 全て合格 ■ 『防かび性』 (社内試験規格合格かび抵抗性試験方法:JIS Z 2911) ■ 社内試験による『防藻性』合格 ※8:超低汚染リファインJY 500MS-IRのみ |
【超低汚染リファインJY 1000MS(-IR)】 |
■ JIS A 6909 建築用仕上塗材 『可とう性』合格 ■ JIS K 5658 建築用耐候性上塗り塗料 『容器の中の状態』『表面乾燥性』『塗膜の外観』『隠ぺい率』『鏡面光沢度』 『耐衝撃性』『付着性(クロスカット法)』 『重ね塗り適合性』『耐アルカリ性』 『耐酸性』『耐湿潤冷熱繰返し性』 全て合格 ■ 『防かび性』 (社内試験規格合格かび抵抗性試験方法:JIS Z 2911) ■ 社内試験による『防藻性』合格 |
下地調整方法・施工上の注意
≪下地調整方法≫
【超低汚染リファインJY 500MS(-IR)】
■劣化し脆弱な部分及び錆等は、ディスクサンダー、スクレーパー等によって除去する。
■漏水箇所は予め水が浸入しないように処置し、汚れ、付着物、油脂類等を高圧洗浄、スクレーパーや シンナー等で除去する。
■塗装する下地は、清浄かつ、十分に乾燥させる。
【超低汚染リファインJY 1000MS(-IR)】
■劣化し脆弱な部分及び錆等は、ディスクサンダー、スクレーパー等によって除去する。
■漏水箇所は予め水が浸入しないように処置し、汚れ、付着物、油脂類等を高圧洗浄、スクレーパーやシンナー等で除去する。
■塗装する下地は、清浄かつ、十分に乾燥させる。
■劣化したシーリング材は全て撤去し、新規シーリング材で打ち替える。
≪施工上の注意点≫
■B液は、開封後は、変質しやすいため、冷暗所で密閉して保管し、2週間以内に使い切ってください。
■二液塗料であるため、使用前に塗料を電動攪拌機で十分に混合・撹拌(2分以上)してください。混合比率が不適切である・混合時間が不十分な場合は、低汚染機能が発揮できません。
■二液型塗料であるため、混合・撹拌後は可使時間以内に使い切ってください。
■施工部位によって低汚染機能が十分に発揮されない場合がありますのでご了承ください。特に雨が当たらない部位は注意が必要です。
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この記事の監修者と運営者
【記事監修】
株式会社アステックペイント
谷口 智弘
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谷口 智弘
株式会社アステックペイント技術開発本部 本部長
住宅用塗料市場のマーケティング分析・品質管理を行う「商品企画管理室」、塗料の研究・開発を行う「技術開発部」、塗料の製造・生産・出荷を行う「生産部」の3事業部を統括するマネジャーとして、高付加価値塗料の研究・開発を行っている。
【運営会社】
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株式会社アステックペイント
AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。2020年以降、遮熱塗料国内メーカーシェアNo.1を連続獲得中。
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