錆止め塗料とは?選び方・種類・防錆効果について解説

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「錆止め」は、金属の下地に塗装する際に必要不可欠な工程です。皆様は錆止め塗料がどのようにして効果を発揮するかご存じでしょうか。

金属は強度が高く加工が容易であることから、建物の様々な箇所で使用されています。しかし、時間の経過とともに錆が発生するため、塗装時には適切な錆対策が不可欠です。

今回は、金属下地に錆が発生するメカニズムとともに、アステックペイントで取り扱う錆止め塗料と、その施工仕様についてご紹介します。

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錆止め塗料とは?

「錆止め塗料」は、その名の通り金属下地の表面に錆が発生するのを防ぐための塗料です。錆止め塗料には、主に錆止め顔料が使用されています。錆止め顔料は、錆の原因となる「水分」と「酸素」が金属に触れても錆の発生を抑制する効果があります。
錆止め塗料は、使用される樹脂の種類によって油性系、合成樹脂系、エポキシ樹脂系の3種類に大別されます。

錆止め塗料の種類特徴
油性系・下地への付着性、防錆効果が高い ・乾燥までに時間がかかる
合成樹脂系・油性に比べて防錆効果が劣る ・乾燥が早く、仕上がりが良好
エポキシ樹脂系・油性系の次に、下地への付着性、防錆効果が高い ・下地の内部へ浸透し、脆弱な素地を補強する効果を持つ

エポキシ樹脂系の錆止め塗料は、下地への付着性が高く、防錆効果も優れているため、3種類の中で最も使用されています。

【錆止め塗料の色について】

最もよく使用される錆止め塗料の色は「赤茶色」です。

これは、かつて主流だった鉛系錆止め塗料の原料である鉛丹や亜酸化鉛、塩基性クロム酸鉛が赤色だったため、現在でも多くの錆止め塗料に「赤茶色」がラインナップされています。 赤茶色以外の色(白・グレー・黒など)も、昨今では取り扱いが増えているため、錆止め塗料の色は上塗材の色と合わせて選ぶことをお勧めします。
下塗材と明度や彩度が大きく異なる色を、中塗りや上塗りで使用すると上塗材が透ける可能性があるため注意が必要です。

金属の特徴と鋼板の種類

まずは「金属の特徴」と「鋼板の種類」についてご紹介します。

金属の特徴

金属は、鉄筋や鉄骨などの建築物や構造部材、金属屋根などで使用されています。

メリット・素材の価格が安い ・硬く強度が高い ・用途に応じた加工が容易
デメリット・経年後に錆が発生する

このように、金属には様々なメリットがある反面、経年劣化により錆が発生するというデメリットがあります。このデメリットを解消するために、メッキ加工を施した鋼板や錆が発生しにくい素材を使用した鋼板の利用が進んでいます。代表的な鋼板を以下の表で紹介します。

代表的な鋼板の種類

①亜鉛メッキ鋼板

・表面に亜鉛メッキ処理を施した鋼板のこと。
・製造方法の違いから、溶融亜鉛メッキと電気亜鉛メッキの2種類がある。 ・トタンとも呼ばれる。

②ガルバリウム鋼板

合金メッキ(アルミニウム、亜鉛、シリコン)を施した鋼板のこと。

③カラー鋼板

亜鉛メッキ鋼板やガルバリウム鋼板の表面に、一般的にポリエステル樹脂塗料を施した鋼板のこと。

④フッ素鋼板

工場で亜鉛メッキ鋼板やガルバリウム鋼板の表面に、フッ素樹脂塗料を焼付け塗装した鋼板のこと。

一般的に使用頻度の高い鋼板を一覧表で紹介しました。金属に様々なメッキ加工や焼付塗装を施すことで、高い耐候性や防錆効果を発揮します。

このような加工が施された金属は錆が発生しにくいですが、経年で表面の加工が剥がれてきた場合、そこから錆が発生する可能性があります。

錆が発生するメカニズム

意外に思われるかもしれませんが、金属は錆びが発生している状態が最も安定しており、自然な状態です。錆が発生していない金属は不安定であるため、空気中の酸素と結びつき酸化(錆びる)しようとします。

錆が発生するメカニズムは以下のとおりです。

1. 金属の表面に酸素と水分が付着する。

2. 酸素と水分が金属の電子を奪う。

3. 金属から電子が奪われることで、金属が酸化し錆が発生する。

錆を防ぐメカニズム

先程ご紹介した錆が発生するメカニズムより、「酸素」と「水分」が錆の主な要因であることがお分かりいただけたかと思います。そのため、錆の発生を防ぐためにも、金属下地には錆止め塗料を塗装することが重要です。

錆止め塗料を塗装することで、金属表面に酸素や水分が付着した場合でも錆の進行を抑制することができます。この章では、錆止め塗料が防錆性を発揮するメカニズムを説明いたします。

金属表面に水分と酸素が付着しないようにする。 (不動態皮膜の形成)

金属表面に安定した不動態皮膜と呼ばれる膜を形成します。

この膜により、酸素や水分が金属下地に付着することを防ぎ、錆の進行を抑制します。

錆止め顔料が犠牲となって水分と酸素に反応する (犠牲防食)

金属よりも先に錆止め顔料が犠牲となって水と酸素と反応し、錆の進行を抑制します。

アステックペイントで取り扱っている錆止め塗料は、この「犠牲防食」によって防錆性を発揮します。

アステックペイントの錆止め塗料

アステックペイントでは、錆止め効果のある下塗材、上塗材の他に錆処理剤も合わせ、計5製品を取り扱いしております。アステックペイントで取り扱っている錆止め塗料を以下の表にまとめました。(2024年8月現在)

 弱溶剤2液 変性エポキシ下塗材弱溶剤1液 変性エポキシ下塗材弱溶剤1液 変性エポキシ下塗材 2液遮熱シリコン系上塗材
錆処理剤
製品名エポパワーメタルJYサーモテックメタルプライマー一液エクセルエポプライマーJYシャネツトップワンSi-JYラス・トレイント
特徴2液塗料であるため、緻密な 塗膜を形成し高い防錆効果を 発揮する。1液塗料であるため、 作業性が良い。 遮熱効果が備わっている。1液塗料であるため、 作業性が良い。 アステックペイントで最安値の錆止め下塗材。錆が軽微な場合、下塗材無しで金属屋根に塗装可能。錆内部まで浸透し、水や酸素が
金属表面に付着することを防ぐ。

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アステックペイントの錆止め塗料の使い分けと施工仕様

この章では、ご紹介した錆止め塗料の使い分けと製品仕様についてご説明します。「錆がない場合」「点錆がある場合」「錆が全体にある場合」の施工方法について表にまとめました。

【錆がない場合】

①サーモテックメタルプライマーor ①一液エクセルエポプライマーJY

【点錆がある場合】

①ケレン ②サーモテックメタルプライマー or ①ケレン  ②一液エクセルエポプライマーJY

【錆が全体にある場合】

①ケレン ②ラス・トレイント ③サーモテックメタルプライマー or ①ケレン ②ラス・トレイント ③一液エクセルエポプライマーJY

①ケレン ②エポパワーメタルJY

※表内の数字は施工の順番を指しています。

◯錆がない場合

錆がない場合は、目粗し程度の4種ケレンを実施し、1液の錆止め下塗材である「サーモテックメタルプライマー」や「一液エクセルエポプライマーJY」を塗装してください。

また、ケレンなしで「シャネツトップワンSi-JY」を2回塗りで施工することが可能です。

◯点錆がある場合 (錆が軽微な場合)

点錆程度の軽微な錆が発生している場合は、ケレンを行い、「サーモテックメタルプライマー」や「一液エクセルエポプライマーJY」を塗装してください。その後、上塗材を塗装してください。

また、錆が軽微な場合でも、ケレンなしで「シャネツトップワンSi-JY」2回塗りで施工することが可能です。こちらの場合、洗浄を含めて3工程で施工でき、工期を短縮することができます。

※錆の発生が著しい下地で「シャネツトップワンSi-JY」を使用する場合は、錆止め下塗材が必要です。

◯錆が全体にある場合

錆が全体に発生している場合は、防錆剤「ラス・トレイント」の使用をお勧めします。ラス・トレイントは、完全に錆を除去できない箇所でも、3種ケレン程度で浮き錆を取り除けば使用できます。この製品は、錆に浸透し水分や空気との接触を防ぐことで、錆の進行を抑える効果があります。ラス・トレイイントの使用後は、「サーモテックメタルプライマー」や「一液エクセルエポプライマー」などの錆止め下塗材を塗装してください。

作業性を重視する場合は、当社錆止め下塗材の中でも高い防錆性能を発揮する「エポパワーメタルJY」をご使用ください。

【注意:ケレンの重要性】

下地に錆が残った状態で塗り替えを行った場合、塗膜の付着性が悪くなり、早期に剥離が発生する可能性があります。さらに、剥離箇所から雨水が浸入し、錆が進行する恐れもあります。そのため、錆が発生している下地の場合は、錆止め下塗材を施工する前の「ケレン」の工程が重要です。

ケレンを行い、錆を除去することで、さらなる錆の進行を抑制することができます。

まとめ

今回は、金属下地に錆が発生するメカニズムとともに、アステックペイントの錆止め塗料や施工仕様についてご紹介しました。

金属建材には多くのメリットがありますが、錆が発生するため塗装時の錆対策が必要不可欠です。

アステックペイントでは、防錆効果や製品の特徴が異なる錆止め塗料をご用意しています。今回の記事を参考に、下地に適した塗料を選定していただければと思います。

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