日本とタイ、どちらで起業すべきか?


「日本とタイのどちらで起業すべきか?」というような質問を受けたことがある。
とても難しい質問だと思った。最終的には、本人の「起業する国への想い」によって決定されるかもしれないが、しかし経営とは「存続すること」に最大の価値があり、場所の好き嫌いだけでは判断できるものでもない。
このような難題を質問されたので、せっかくなので色々整理をしてみた。
日本とタイの市場環境の比較

まず、日本は成熟国家であり、様々な産業はある程度形が出来上がっている。
すなわち、ほとんどの産業で既存プレイヤーは存在しており、そこに割り込んで自分のポジションを新たに確保するのは並大抵ではない。さらに高齢化社会が進み、人口が減少している現在においては、多くの産業で市場規模のパイが縮小している現実もある。
ちなみに日本の経済成長率は過去20年間、年間ゼロから1%程度と先進国で圧倒的最下位。
反面、タイは発展途上国の優等生であり、多くの産業でまだまだ発展の余地はある。
そしてGDPの20%を占める観光産業に至っては、世界で最も魅力のある旅行先とも知られ、バンコクは最も訪問者多い都市に選ばれている。すなわち観光産業に関わるビジネスは、タイローカル価格ではなく、世界のインバウンド価格で勝負ができ、大きなチャンスもある。
一方、タイは発展途上国であるが、既に高齢化社会が始まっている。これは「中所得国の罠」とも呼ばれているが、未来に向けて先進国にはなれないことを意味する。
ただし、タイにとっての利点は、隣国に若者が多い途上国があるため、高齢化して自国に若者が減っても、建設現場、小売り、工場などの働き手は近隣諸国から多くの労働者を採用できるメリットがある。
日本での起業のしやすさ・外部リスクとは

日本で起業することは、正直言ってリスクは最小限だと思っている。
最小限の資本金で創業でき、政治も経済も安定しており、社会としてのモラル水準が高いため、起業した後、経営者としての実力以外の外部要因で失敗する可能性は、世界のどの国でビジネスするよりも少ないと思う。
そして社員を雇いマネージメントを行っても、ほぼ同じ人種で価値観は近く、世界で最も高い国民性とモラルがある人材に対してマネージメントを行えるという意味においては、マネージメントに問題があるとするならば、経営者の資質を疑うべき位の感覚だと思う。
タイでの起業環境とは

反面、タイで会社を起業した場合、自分のビザと労働許可書を獲得するために、約1000万円の資本金とタイ人社員4名を採用しないといけない。
自分以外にもう一人の日本人と働きたいのであれば、その倍の2000万の資本金と8名のタイ人社員を採用しないといけない。すなわち、イニシャルコストは日本とは比較にならない程高くなる。
さらに、政治と社会の不安定さはもろにビジネスに影響することになる。痛感したのは、コロナ禍中にロックダウンをしながらも、企業に対する補償はほぼ無かった。
日本のような必要以上に手厚い補償とはほど遠い。そして最も苦しむのはマネージメントになるであろう。私も10年以上タイで経営を行っているが、マネージメントの難しさを実感し続けている。色々考えていくと、タイにはかなり強い階層社会があり、上位層と、中・低所得層の差が大きすぎて、この階層を超えることはほぼ皆無と思っている。
分かりやすい事例は、固定資産税と相続税はほぼゼロのため、現在資産家で、マンション一棟でも持っていたとしたら、資産の再配分がないため、未来永劫資産家のままとなる。
このような状況下では、貧乏家族の子供が勉強を頑張って、良い大学、良い会社に入って、起業して大成功すると言う話は、映画になるほど珍しいことである。日本では母子家庭で勉強を頑張って、一流大学に入って、起業して成功すると言う話は普通にあるが、このようなドリーム物語はほぼ無い。
この階層社会が意味することは、経営者層と従業員が信頼関係を根っ子の部分で作ることができず、結局どこかでお互いを裏切ることになる。
だから、タイ人にとってもタイ人のマネージメントが難しいため、タイ社会で成功している企業はほぼ全てファミリービジネスである。
これは大企業、家族経営、飲食店のキャッシャーも含めて例外はほぼ無い。このような環境でのマネージメントとは至難の業と言ってよいであろう。
まとめ
「日本とタイのどちらで起業すべきか?」というような質問に対する答えは明らかであろう。様々な条件を満たさないと、タイで起業して成功することは難しい。
実際に、タイで成功している日本人経営者は本当に少ないと思っている。私はパタヤで新しい事業に挑戦しているが、タイでのマネージメントの難しさを改めて日々実感しているところである。
<2026年1月号アステックペイント定期発行物ホットラインより>
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このコラムの寄稿者と運営者
【コラム寄稿者】
株式会社アステックペイント
菅原 徹
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菅原 徹
株式会社アステックペイント 代表取締役
2000年10月に株式会社アステックペイントを創業して以来、高付加価値な住宅用塗料の研究開発・製造・システムやアプリ開発・販促支援など、あらゆる角度から塗装業界の発展を目指し、事業展開している。
【運営会社】
株式会社アステックペイント
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AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。2020年以降、遮熱塗料国内メーカーシェアNo.1を連続獲得中。








