安全帯が使用できなくなる?絶対知っておきたいフルハーネス製品をご紹介

現場の研究 安全対策規格・法律 2021.11.22 (最終更新日:2024.10.09)
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塗装作業において多い事故のひとつとして、高所からの墜落・転落が挙げられます。

当然、事故に遭わないよう注意しながら作業をすることで年々減少傾向にあるものの、それでも毎年5000件近い墜落・転落事故が発生しています。(厚生労働省 令和2年における労働災害発生状況(確定)より)

そのような事故を減らすため、労働安全衛生法が改正され、2022年1月2日から従来の「安全帯」が使用できなくなります。

しかし「法改正については知っているけど、どんなものを買ったらいいのか分からない」という方も多いのではないでしょうか?

そこで本記事では、「労働安全衛生法の主な改正点」「フルハーネス型墜落制止用器具の選び方」「メーカー様おすすめのフルハーネス型墜落制止用器具」についてご紹介いたします。

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労働安全衛生法の主な改正点

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今回の労働安全衛生法の改正では、主に以下の3点が変更されました。

呼称が「安全帯」から「墜落制止用器具」に変更

従来の安全帯には「胴ベルト型(一本つり)」「胴ベルト型(U字つり)」「ハーネス型(一本つり)」の3種類がありました。
しかし、「胴ベルト型(U字つり)」の使用に関わる災害が国内で確認されたことを受けて、墜落を制止する機能のある「胴ベルト型(一本つり)」「ハーネス型(一本つり)」の2種類のみの使用が認められることとなり、呼称が変更されました。

※「胴ベルト型(U字吊り)」は墜落制止用器具として使用することはできません。

②新規格のフルハーネス型墜落制止用器具の使用が原則に

新規格では原則としてフルハーネス型のみの使用が認められており、「落下時にかかる衝撃が少なくなる改良」が加えられたことで、より安全性が高くなっています。

<フルハーネス型使用義務の例外>
・墜落時に地面に到達する恐れがある5.0m以下の作業の場合、「新規格対応」の胴ベルト型(一本つり)の着用が認められる。

③新規格の墜落制止用器具使用にあたって、事前に「安全衛生特別教育」が必要

高さが2m以上の箇所であっても、作業床を設けることが困難な場所に置いて、フルハーネス型の墜落制止用器具を用いる作業者は特別教育(学科4.5時間、実技1.5時間)を受講しなくてはならなくなりました。

詳細については、厚生労働省から発行されているリーフレットをご確認ください。

フルハーネス型墜落制止用器具の選び方

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フルハーネス型使用義務の例外として「5.0m以下での作業であれば胴ベルトでも可」とご紹介しましたが、戸建住宅の塗装工事では、 5.0m以上での作業と 5.0m以下での作業が混在しています。

このような現場で、フルハーネスと胴ベルトを付け替えながら作業するというのは、現実的ではありません。

そこで、戸建住宅の塗装工事において、新規格を満たすフルハーネスとランヤード(命綱)を選ぶポイントをご紹介いたします。

①フルハーネス本体を選ぶポイント

■着用者の希望に見合う機能
フルハーネス本体を選ぶポイントとして、「着脱しやすさ」や、狭い足場での「動きやすさ」が重要です。

着脱や動きやすさに関しては、「体にぴったりフィットするものがいい」や「むしろゆったりしている方がいい」や、「とにかく軽いものがいい」など、人それぞれ好みが分かれるところがあるので、試着された上での購入がおすすめです。

フルハーネスのメーカーや販売業者によっては、試着できる場合も多いようなので、一度相談されてみてください。

②ランヤード(命綱)を選ぶポイント

低い場所からの墜落でも安全に制止できること
5.0m以下での作業の場合、ランヤードの落下距離(※)が作業高さを上回っていると墜落時に地面に到達してしまう恐れがあるため、ランヤードのショックアブソーバーに記載されている落下距離を確認する必要があります。

■塗装作業の邪魔にならないこと
ロープ式のようにランヤード部分が常時露出している場合、狭い足場での作業や移動の邪魔になる場合があります。

■塗料が付着しにくいこと
ロープ式のようにランヤード部分が常時露出している場合、塗料がランヤードに付着・硬化することで、ランヤードの耐久性低下につながる場合もあります。

これらのポイントを踏まえると、「常時巻取式でロック付きのランヤード」がオススメです。常時巻取式でロック付きのランヤードであれば、墜落時に急激に引き出されると車のシートベルトのようにストッパーがかかるため、比較的低い位置からの墜落でも安全に制止できます。

フルハーネスメーカー4社のおすすめ製品

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「安全性」はもちろん、「着脱のしやすさ」「動きやすさ」などのポイントを押さえたフルハーネス製品を、4社のフルハーネスメーカー(サンコー株式会社様、スリーエム ジャパン株式会社様、藤井電工株式会社様、ミドリ安全株式会社様 ※五十音順)にご紹介いただきました。

※ランヤードは取り扱いのしやすさから1丁掛け(ランヤードが1本の状態)の製品をご紹介いただいております。より高い安全性を求める場合は、2丁掛けの製品もありますのでメーカー様にご相談ください。

サンコー株式会社様おすすめの製品

安全帯等のメーカーとして日本初のISO9001認証を受けたメーカーで、「TITAN」というブランドで有名です。

■フルハーネス本体

品名・品版特徴
PANGEA(HORIZON)
PAHN-10A-SI
PAHN-10A-BL
・肩パッドにより、肩への負担を減らし、各ベルトが絡まりにくく着脱がスムーズ
・腿部のベルトが水平になっているため、体のまわりにゆとりがあるように感じられる。
PANGEA(CANYON)
PACN-10A-SI
PACN-10A-BL
・肩パッドにより、肩への負担を減らし、各ベルトが絡まりにくく着脱がスムーズ
・腿部のベルトがV字になっているため、しっかりホールドされているように感じられる。

■ランヤード

品名・品版特徴
HL-MR01型・巻き取り式のため、ランヤードがもたつかない
・小型で取り回ししやすい

スリーエムジャパン株式会社おすすめの製品

接着剤やテープから医療用機器まで幅広く取り扱われる世界的な化学・電気素材のメーカー様です。40年以上にわたるフルハーネス製造の実績があります。

■フルハーネス本体

品名・品版特徴
ライトフルハーネス回転式
1114080N Sサイズ
1114081N Mサイズ
1114101N Lサイズ
・中位グレード
・ベルトがしなやか
・回転式ベルトで調整が簡単
ライトフルハーネスH型
1114112N Sサイズ
1114113N Mサイズ
1114114N Lサイズ
・中位グレード
・ベルトがしなやか
・H型で動きやすい
・サイドループでベルトが引っ張られない

■ランヤード

品名・品版特徴
巻き取り式ランヤード
ナノロックライト シングル
3101739
・フックがアルミで軽量

藤井電工株式会社様おすすめの製品

創業以来60年以上にわたる安全機器の製造を行い続ける、国内トップシェアを誇るメーカー様です。

■フルハーネス&ランヤード(セット品)

品名・品版特徴
レヴォハーネス
コルトリトラ付きランヤード
TH-508-CR93SV-OT-R23
・最上位モデル
・装着しやすい
・腰部の可動により動きやすい
・巻き取り式のため、ランヤードがもたつかない
ライトハーネス
コルトリトラ付きランヤード
TH-510-CR93SV-OT-R23
・最軽量モデル
・軽量かつ最小限のベルト構成のため、動きやすい
・巻き取り式のため、ランヤードがもたつかない

ミドリ安全株式会社様おすすめの製品

作業服や安全靴から救急医療品まで、職場の安全に関する幅広い機器を製造販売するメーカー様です。

■フルハーネス本体

品名・品版特徴
MHS-6H・最軽量モデル
・ベルトが柔らかい

■ランヤード

品名・品版特徴
MHLYS-RCRN-56JMR-T1-HP・巻き取り式のため、ランヤードがもたつかない
・小型で取り回ししやすい

まとめ

本記事では、墜落制止用器具に関する法改正の概要、選び方、フルハーネスメーカー推奨の製品をご紹介いたしました。

高所からの墜落は、命を落とす恐れがあり、一命をとりとめても後遺症が残り、日常生活や作業に支障が出てしまう場合もあります。そのため、新規格の墜落制止用器具を着用することで、そのようなリスクを下げられます。

法改正を機会として、改めて安全な塗装現場づくりをするために、本記事をご参考いただけますと幸いです。

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この記事の監修者と運営者

【記事監修】
株式会社アステックペイント 
谷口 智弘

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株式会社アステックペイント 
谷口 智弘

株式会社アステックペイント技術開発本部 本部長
住宅用塗料市場のマーケティング分析・品質管理を行う「商品企画管理室」、塗料の研究・開発を行う「技術開発部」、塗料の製造・生産・出荷を行う「生産部」の3事業部を統括するマネジャーとして、高付加価値塗料の研究・開発を行っている。

【運営会社】
株式会社アステックペイント

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株式会社アステックペイント

AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。2020年以降、遮熱塗料国内メーカーシェアNo.1を連続獲得中。

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