インフレ時代に必要な「塗装工事の高付加価値化」
インフレに関する様々なニュースが溢れかえっていますが、「2023年はインフレが落ち着いていく」という考えは完全に払拭して、「2023年もインフレは続いていく」と認識しておく必要があると思います。この認識は重要で、経営に対する意思決定に大きく影響してくるはずです。
日本の消費者物価指数は3%強と、欧米の約10%と比較してかなり低く推移しています。しかしながら、食料やエネルギーなどのほとんどを輸入に依存している日本がこのままであるはずはなく、企業物価指数が約10%ということから企業サイドが価格への転嫁を抑えているだけで、いずれ消費者物価指数に大きく影響してくるでしょう。
消費者物価指数を詳しく見ていくと、「食品(前年同月比5.9%上昇)」と「エネルギー(前年同月比15.2%上昇)」の2項目に消費者の注目が集まっていると言ってもいいでしょう。 特に「エネルギー」の中でも、「電気代(前年同月比20.9%上昇)」と「都市ガス代(前年同月比26.8%上昇)」のインパクトは相当強いと想像します。
この相次ぐ値上げで食品の消費が二極化しているとの記事がありました。食品の小売単価は対象の約9割を占める138品目が上昇し、そのうち76品目(55%)で平均より安い商品の方が伸びる価格シフトが見られたようです。
しかし、反対に高価格帯にシフトしたものが62品目(45%)あり、高価格帯シフトと増収を両立するケースも38品目(28%)あったとのことです。この高価格シフトと増収を両立した品目として、うま味調味料や乳酸菌飲料が挙げられていました。これらに共通しているのは「低価格路線」で消費者を繋ぎ止めるのではなく、消費者の視点を「価格」から「高付加価値」にスイッチさせることに成功している点だそうです。
この消費動向の二極化は、多くの産業でも共通化してくると思います。
物価が上がっても賃金は上がっておらず、むしろ実質賃金は低下しています。すなわち、多くの消費者の購買力が低下している中で、安い商品が伸びる傾向はさらに強まっていくでしょう。さらに言うと、多くの消費者が困窮化していき、その中でも満足な生活さえもできない消費者が2023年、圧倒的に増えていくと考えられます。
一方で、所得や資産を大幅に伸ばしている層がいるのも事実です。時計、ブランド品、高級車、高級レストランなどは大幅な単価アップでも顧客が離れることがなく、むしろ売上を伸ばし続けています。
このような層は、食品において高付加価値の商品を購入することと同じように、全てのモノとサービスに対しても同じ行動をとるようになるでしょう。
塗装工事の高付加価値とは
住宅塗装を検討している層で考えてみると、生活が困窮化していく層でないことは明らかです。満足な生活さえもできない層が住宅塗装を検討することはないため、ホームページやチラシで問い合わせてくる消費者は、「二極化の上位層である」という認識はとても重要です。
そしてその層は、「低価格路線」で提案するのではなく、「高付加価値路線」で提案できる層とも言えます。
インフレが続いていく中で、塗料代、職人手当、現場経費が上がっていくことは避けられません。原価が上がるのであれば、販売価格を上げる必要性も生まれています。
その時に、顧客が離れることを懸念する住宅塗装専門店の経営者がほとんどだと思いますが、まずは我々の顧客層は上位層であるという認識を持ち、原価が上がり販売価格も上げるならば、高付加価値を意識した商品とサービスを組み入れるという考えが大切だと考えます。
塗装工事の高付加価値とは何かを考えてみましょう。
エネルギー価格がこれだけ高騰しているのであれば、外壁や屋根の温度上昇を抑制する「塗料の遮熱機能」を提案すると、とても興味深く話を聞いてもらえるかもしれません。我々のような、業界側の立場では遮熱塗料に対して付加価値があると感じにくいかもしれませんが、多くの消費者にはびっくりするような機能であるため丁寧に説明していく必要があるでしょう。
同じように、超低汚染性や超耐候性などを持つ高機能な塗料をしっかり提案することが、塗装工事の高付加価値化に繋がっていくことは間違いありません。
しかしながら、消費者目線で究極の「塗装工事の高付加価値」を考えていくと、結局は「安心」の提供だと思っています。各社できることは変わると思いますが、高付加価値化を目指して販売価格を上げるのであれば、消費者の究極のニーズである「安心」について再考する価値はあるはずです。
商品の選定、職人教育と現場管理、サービスマインドの向上、会社の信用力、塗装工事の保証の根拠、そしてお客様とのコミュニケーションの質など、改善すべきことは多くあるでしょう。販売価格を単に上げるのではなく、同時に必ず企業努力を行うことで、お客様が納得し、安心して発注できる土壌ができると思っています。
インフレの流れは2023年だけに留まらず、しばらく終息せず、むしろさらなる原価高騰があることを想定して、「塗装工事の高付加価値化」を止めることなく、価値を上げ続ける社内体制をつくっていくことがこれからの時代に必要だと考えます。
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【コラム寄稿者】
株式会社アステックペイント
菅原 徹
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菅原 徹
株式会社アステックペイント 代表取締役
2000年10月に株式会社アステックペイントを創業して以来、高付加価値な住宅用塗料の研究開発・製造・システムやアプリ開発・販促支援など、あらゆる角度から塗装業界の発展を目指し、事業展開している。
【運営会社】
株式会社アステックペイント
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株式会社アステックペイント
AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。2020年以降、遮熱塗料国内メーカーシェアNo.1を連続獲得中。