インフレ時代において塗装会社が生き残っていくためには

代表コラム メーカー塗装 2022.01.14 (最終更新日:2024.01.16)
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塗装業界において、多くの塗料メーカーが無条件で商品代の一律10~20%値上げに踏み切り、大きな影響が出てきている。これらの背景には、世界的にエネルギー価格や原材料価格等が高騰していることが影響しており、世界的なインフレ懸念と言われている。

しかしながら、日本の消費者物価指数では2021年10月の速報値でも上昇しておらず、すでにインフレに入ったと言える段階ではないようだ。一方、国内企業の物価指数は前年同月比で8.0%プラスとなっており、企業が調達する素材等の価格は大きく高騰している。

すなわち、長いデフレに慣れ切った日本の消費者に対して、コスト上昇を最終価格に転嫁できず、企業の利益を単に圧縮しているということが表面化してきている。

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塗装会社がインフレ時代を乗り越えていくためにできること

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世界的なインフレ懸念の影響を日本が受けないはずがない。すなわち日本国内においても、インフレによる圧力はこれから段階的に増してくると考えられる。長いデフレからインフレに転換するタイミングで、最も重要なことは「企業に価格を上げる力があるか」という点だと思っている。

多くの塗料メーカーは価格を上げ、原材料の上昇分を製品価格に転嫁できる力を持っている。

しかし、それらの製品を仕入れる塗装会社は、消費者もしくはゼネコン等の元請け企業に対して、塗装工事価格の値上げに踏み切る実力があるかが問われており、工事価格の値上げはインフレ時代における生き残りの鍵だと考えている。

結論としては、工事価格の値上げができない企業は市場から淘汰されていくしかないだろう。塗装工事において、塗料を大量に仕入れて価格を下げる、現場での作業効率を大幅に向上させる、職人の賃金をカットするなどでコストダウンできることはほぼ無く、仕入れ製品の価格上昇は企業の利益をそのまま減らすだけの結果となるからだ。

そこで、塗装会社がどのように塗装工事の値上げを実現できるのかを考えてみた。

消費者向け

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住宅塗装の提案においては、同じ地域の競合他社との比較の中で他社よりも高い価格で売れるかがポイントとなる。
そのためには、消費者が明らかに理解できるほどのブランド力、塗料とサービスの差別化、会社の信用力、営業マンの力量などが必要になる。

競合他社の研究を行い、全ての要因において上回る実力をつけることで、価格の値上げは十分に実現できるはずだ。

元請け企業向け

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ゼネコンやハウスメーカー向けの価格交渉が困難を極めることは間違いない。
全ての協力業者からの圧力で元請け企業が価格を引き上げてくれることを待つのと、自社からの攻めの提案で価格を引き上げることを実現するのでは大きな違いがある。

一つの事例として、アステックペイントが取り組んでいる「SC住宅塗装チャネル」において、ホームセンターや家電量販店からの塗装工事の受注を積極的に行っている。

最近の傾向では、元請け企業の営業マンも人員不足のため、今まで元請け企業の営業マンが行っていたような診断や営業業務も塗装会社が一手に引き受け、営業代行と塗装工事のセットで工事を請けることで、容易な単価アップが実現できている。

元請け企業としても、必要粗利さえ確保できれば価格が高くなっても何も問題はない。
元請け企業のデメリットを極力減らし、納得のいく提案であれば、単価アップの提案を受け入れてくれる余地は十分あるだろう。

社内向け

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デフレからインフレの転換において、会社の方針も大きく変わるはずだ。コロナ禍により社会は大きく変革し、自社も社会の変化に合わせて変わっていかなければならないタイミングでもある。

このような時こそ、会社の「ビジョン」の提示はとても重要となる。
ビジョンとは、経営者の想いと会社の方向性が示されているものだと考えている。このようなビジョン無しに、社員と共に新たなインフレ社会で戦っていくことは難しいだろう。

明確なビジョンを社員に示し、会社と社員、そして職人まで、組織のベクトルが同じ方向に向くことで、これからの社会の変化に対応できる企業になっていくと思っている。

アステックペイントのビジョン「 塗装業界のあらゆる課題の解決企業になる 」

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当社においても「塗装業界のあらゆる課題の解決企業になる」というビジョンを掲げており、塗料という製品を売るだけではなく、塗装会社が抱える経営的な悩み、現場での困りことなどあらゆる課題を加盟店様と一緒に取り組み、共に解決しながら、共に成長していくことを意味している。

このビジョンはたまたまコロナ流行前から提示していたが、今回コロナが発生したことで全社員がより高い意識を持ち、コロナ禍で生まれた新たな課題に取り組むことができたため、コロナの悪影響からスピード感を持って脱却ができたと思っている。

インフレ時代において生き残っていくために、今からできることを手遅れになる前に一つずつ取り組まれることをお勧めしたい。

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