営業マンが営業に集中できる環境、職人が工事に集中できる環境作りとは
目次
経営を難しくする「人の退職問題」
住宅塗装業界においては、厳しい市況が続いています。そしてこの状況は2025年以降も続いていくと想定しておくべきでしょう。この状況下で、経営を難しくしているのが「人の退職」の問題です。
根本的にはインフレが続いており、物価の上昇に対して、給与の上昇が追い付いていないため、ほとんどの中小企業では物価に対して実質賃金はマイナスとなっています。すなわち、今の職場で働き続けることは、ますます貧乏になっていくことを意味しており、自分の未来や家族のためにも転職を考え始める人が増えていくことになるでしょう。
そして世の中は慢性的な人材不足のため、仕事を探し始めると直ぐに見つかり、さらに転職して給与が上がる人は約40%となり、以前のように転職すると給与は下がる傾向にある、というのは昔の話になっています。
こうなると労働時間が長い、上司との関係が悪い、社風が好きになれないなどのあらゆる理由を見つけて、退職していく人たちは住宅塗装業界でも後を絶ちません。このことは、多くのアステックペイント加盟店の中で日々実際に起きていることです。
このような厳しい状況下で、さらに経営を難しくさせているのは「人の採用」が極度に難しい時代になったことです。企業の売上は社員数に比例するとも言えますが、「人の採用」ができなければ、企業の成長を止めてしまうことになります。
そうは言っても、給与を上げていく、社員の労働時間を減らしていく、働きやすい環境を提供していく努力はすべきですが、すぐに改善できる問題でもありません。すなわち、今残ってくれている人材と、辛うじて採用できるかもしれないパート人材などで、「企業の成長を模索する」という考えに切り替えることも選択肢の一つかもしれません。
営業マンが営業に集中できる環境作り、職人が工事に集中できる環境作り
「人の採用」が難しい時代において、何ができるかについて考えてみたいと思います。従来の業務プロセスや内容に変革を起こさなければ、何も変わることはありません。そこで業務の棚卸し、細分化、そして役割分担を見直しすることで、改善できることは多々あるはずです。
最終的には、営業マンが営業業務だけに集中できる環境を作り、営業マンでなくてもできる業務は「ITシステム」と「パート人材」に振り分けていくことで、今いる人材だけでも企業の成長は十分可能だと考えます。
ここで重要なことは、今までの業務プロセスや内容を入れ替えながら、可能な限り多くの業務を「ITシステム」に移行させることです。
その上でITシステムでは対応できない内容を「パート人材」に移行し、そして残りの営業マンにしかできない業務に集中してもらう体制を作り上げることで、営業人員の生産性向上は実現できるでしょう。
さらに「住宅塗装の低価格化」が進行している中で、可能な限り見積金額を競合他社に負けたくないと思っている住宅塗装専門店も多いかと思います。その際に、絶対にやってはいけないことはインフレの時代に職人への工事単価を下げることです。
そこで、上記と同じ考えで、職人が工事だけに集中でき、工事業務以外のほぼ全ての業務を単価の低いITシステムや人員に移管させることで、職人の工事単価を下げずに、工事全体の費用を結果的に抑えることも可能だと考えます。
そのためには、現場での全ての業務内容を細分化し、工事業務以外のほぼ全てを「ITシステム」と「パート人材」に移行し、職人は工事に集中させることの取り組みには価値があるでしょう。
もちろん、このような取り組みは営業マン、事務員、職人さんの今まで慣れた業務内容を変えるような大改革の取り組みとなり、猛烈な反発もあるでしょう。
しかしながら、「人の採用」ができない時代において、これからも成長していくためには数少ない取り組みの一つではないでしょうか。他の業界となる製造業や飲食業でさえも、このような改革は当たり前に行いながら生産性を上げてきています。建設業の生産性が上がらない理由の一つに、「このような取り組みはできない」と思い込んでしまっていることに問題点があると思っています。
現場ポケットの新機能「現場カレンダー」の活用
当社が提供する現場管理専用アプリ「現場ポケット」は、2024年7月時点で利用社数7,500社を突破するなど確実に成長を続けており、既存ユーザーより「現場情報の一元管理で業務効率化が進んだ」と嬉しいお声を数多くいただいております。
その現場ポケットに複数現場の工程表を一元管理できる新機能「現場カレンダー」を7月にリリースいたしました。
社内の業務プロセスの見直しにおいて、現場ポケットの「現場カレンダー」は大きな力になると考えます。
アステック加盟店へのアンケートの結果、「工程管理の課題」を抱える加盟店が非常に多いというアンケート結果が出ています。そのアンケート結果によると「工程管理に時間を取られる」との声も多く、「工程管理」の効率化にはITシステムの導入は間違いなく有効となるでしょう。
2024年7月末、当社が全国の加盟店に実施した「工程管理のお困りごとアンケート」の結果を紹介します。
【アンケート結果】(2024年7月末実施、回答社数78社)
Q1.「工程管理表は、何を利用して作成していますか?」 |
・エクセル27社、ホワイトボード26社、エクセル+ホワイトボード5社、専用アプリ6社、その他14社 ・専用の工程管理アプリを使用していない会社は92.3%。工程管理業務のIT化はほとんど手付かずの状態。 |
Q2.「工程管理表の作成において、実際に困っていることは何ですか?」 |
■何かしら困っていることがある:32社(41.0%) ・作成のルーチン化ができておらず、都度作成しており抜け漏れなどが発生。 ・工程表は手間で大変だが作成。何が何だか分からなくなる時がある。 ・エクセルやホワイトボードでの作成は手間。ボタンひとつでできれば楽と感じる 。 |
Q3.「工程管理表の修正において、実際に困っていることは何ですか?」 |
■何かしら困っていることがある:24社(30.8%) ・スマホで修正する際、現場が多い時には、画面も小さく見づらくて手間になる。 ・物件数が多いため調整が大変。特に大規模修繕の場合だと協力業者が多くなるため、関わる工期修正、日程調整、材料手配を修正するのはかなり大変。 ・ホワイトボードで工程管理をしていると、工期がずれた時や変更があった際に、変更がしづらく不効率になっている。事務所に戻らないと確認ができない。 |
Q4.「工程修正時の全関係者への連絡において、実際に困っていることは何ですか?」 |
■何かしら困っていることがある:40社(51.3%) ・リアルタイムで情報共有できない。そのラグによるミスが起きることがある。加えて、相手が見たか見ないか把握できず足場手配ミスを経験したことがある。 ・営業3人毎に現場管理を行っているため、営業部長が2人の現場状況の把握がしづらい。確認は口頭、電話、LINEで行っているが、職人のやりくりも現場毎に行うのが大変。 ・工程が1つズレるだけで、協力業者(最大1現場4~5業者)に連絡を入れるのを電話で行っているため手間が掛かっている。もし、現場毎の全ての協力業者に正しく伝わり、確認したことが分かるなら助かる。 |
現場カレンダーでできること
POINT①『全ての工程表を横断して確認・調整できる』 |
・全ての工程表を横断して、誰でも確認や調整が簡単にできる。さらに、会社全体、施工班ごと、施工状況毎など条件指定での表示にも対応しており、必要な情報だけに絞ることで業務効率性が格段に増し、現場間の工期の調整や職人の手配を円滑に行うことができる。 |
POINT②『誰でも簡単に工程表を作成できる』 |
・標準の工程テンプレート機能を使えば、誰でも簡単に工程表を作成できる。 ・もちろん、自社オリジナルの詳細な工程表の登録も可能。 ・工程表の作成は誰でも対応できるよう整備し、作業の属人化から脱却可。 |
POINT③『いつでもスマホから工程表の確認・調整できる』 |
・事務所へ戻らなくても、いつでもスマホから工程表の確認や調整ができる。 ・営業や職人の各自がスキマ時間で情報入力できるため、工程表の作成者は関係者の帰社を遅くまで待つ必要はなく、工程表作成を時短化することができる。 ・天候やトラブルなどで工程表の内容に変更が発生した場合でも、現場ごとのチャット機能を使えば、個別に電話連絡する必要はなく、関係者に一括で情報共有することが可能。 ・今後も「作業実績と作業日報の連携機能」「天気情報の表示機能」など業務効率化に直結する機能を続々リリース予定。 |
現場カレンダーを先行導入した会社の生の声
事例①「大阪府 塗装専門店A様」 |
・テンプレートを使用して、誰もが同じクオリティの工程表を作成することができるようになりました。 一度テンプレートを作ってしまえば、誰でも丁寧に作成する人と同じクオリティの工程表を作ることができるので大変満足しています。作成時間も導入前の半分以下に短縮することができました。 |
事例②「福井県 塗装専門店P様」 |
・いつでもどこでもスマホで工程表を閲覧・編集できて便利です。以前は、変更がある度に工程表を確認しながら電話で伝えていましたが、そもそも相手が紙の工程表を無くしたり、情報を正しく伝えることができなかったりと不効率さが目立っていました。 導入後はそれらが改善され、携帯を見ながらお互いに変更事項を確認し合えています。 |
現場カレンダーを無料でご利用いただけることになりました!!
現場カレンダーの詳しい紹介はこちら!
https://www.youtube.com/watch?v=38kjpNcu6CA
2023年より開発を行ってきた「現場カレンダー」を2024年7月に正式にリリースする運びになりました。当社は有償オプションでのリリースを検討していましたが、業界でより多く使っていただくためにも、現場ポケットをご利用いただいている皆様には「無償」で公開することを決定いたしました。
この現場カレンダーの機能により、非常に大きな課題が解決できるようになることは間違いありません。ただし、それは数多くある課題の極一部だけかもしれません。しかしながら、自社の業務の棚卸を行い、可能な限り多くの業務を「ITシステム」に移行させていくという取り組みは止めるべきではありません。
現場ポケットは今後も様々な機能をリリースしていき、「塗装会社の業務の全てをデジタル化にすること」をミッションに掲げています。そして、皆様にとっては、営業マンが営業に集中できる環境、職人が工事に集中できる環境作りにも継続的に取り組み、ぜひとも「人が採用できない時代」において、生産性を向上させ、企業の成長を実現していただきたいと思っています。
<2024年8月号アステックペイント定期発行物ホットラインより>
このコラムの寄稿者と運営者
【コラム寄稿者】
株式会社アステックペイント
菅原 徹
【コラム寄稿者】
株式会社アステックペイント
菅原 徹
株式会社アステックペイント 代表取締役
2000年10月に株式会社アステックペイントを創業して以来、高付加価値な住宅用塗料の研究開発・製造・システムやアプリ開発・販促支援など、あらゆる角度から塗装業界の発展を目指し、事業展開している。
【運営会社】
株式会社アステックペイント
【運営会社】
株式会社アステックペイント
AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。2020年以降、遮熱塗料国内メーカーシェアNo.1を連続獲得中。
塗装業における課題解決なら
お任せください
AP ONLINEを運営している(株)アステックペイントは、塗装会社様の様々な課題解決の支援をしています。どんな内容でも構いません。まずは一度現状のお悩みや要望をお聞かせください。
\例えば、こんなお悩みありませんか?/
- コストカットをはかりたい
- 元請け案件を増やしていきたいが、方法が分からない
- 案件数を増やしたいが、成約率が低い(営業力に課題がある)
- 競合他社との差別化に悩んでいる
- 売上、粗利を増やしたい
| お取引様の声・実績 |