無機塗料の特徴と施工後6年以上の様子を徹底調査

現場の研究 塗料性能 2021.06.11 (最終更新日:2024.10.08)
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「無機塗料」は、変性無機塗料や無機ハイブリッド塗料などとも呼ばれ、その仕上がりの良さや高い耐候性から、高機能塗料として知られている塗料です。

今回の記事ではそんな「無機塗料の特長」から「無機塗料を施工した後6年以上経過した際の様子」など、無機塗料について、詳しくご紹介します。

無機塗料とは

塗料は「樹脂」「顔料」「添加剤」「水または溶剤」から構成されています。この樹脂の主成分が“無機”成分で構成されている塗料を「無機塗料」と呼びます。

 “無機”成分とは、ガラスなどにも含まれる成分(シロキサン結合)のこと。そのため紫外線で分解されにくいという性質を持っています。
紫外線によるダメージを受けにくいことによる「高耐候性」、付着した汚れを雨水により洗い流す「低汚染性(セルフクリーニング機能)」など、様々な機能を有する塗料です。

無機塗料の特長とメカニズム

高耐候性

無機塗料は、前章で紹介したように紫外線に強い無機成分を主成分とする塗料です。

無機成分とは「ポリシロキサン結合」のこと。
このポリシロキサン結合とは、ケイ素(Si)と酸素(O)の結合(シロキサン結合)が無数に連続した結合のことで、紫外線エネルギーより強固な結合なので、耐候性に優れた強固で緻密な塗膜を形成します。

■シロキサン結合イメージ図

低汚染性

主成分である無機成分によって強固で「緻密な塗膜」を形成するため、親水性(水になじみやすい性質)に富んだ塗膜となります。

そのため、汚れが付着しにくく、付着した汚れも雨水で洗い流すことができます。

■セルフクリーニングイメージ図

可とう性

無機成分は非常に強固で緻密ですが、それだけだと非常に硬い塗膜になってしまいます。そこで、無機成分(ポリシロキサン結合)に有機成分(オルガノ)を結合させることで、硬いだけでなく「可とう性※」を持つ塗膜を形成します。
これにより強靭でありながら、ひび割れしにくい塗膜になります

※可とう性とは、物質が柔軟で、折り曲げることができる性質のこと。

■無機塗料を塗った金属板を折り曲げている様子

アステックペイント「無機ハイブリッドシリーズ」

無機ハイブリッドシリーズ製品ラインナップ(右から)
無機ハイブリッドコートJY・無機ハイブリッドコートJY-IR・無機ハイブリッドウォール・無機ハイブリッドウォールJY

アステックペイントでは、無機ハイブリッドシリーズとして、屋根用上塗材2製品、外壁用上塗材2製品の無機塗料をラインナップしています。いずれの製品も無機塗料としての機能を有する高機能塗料です。

施工現場のニーズに合致する製品をお選びください。

■無機ハイブリッドシリーズのラインナップ

部位屋根用屋根用外壁用外壁用
製品名無機ハイブリッドコートJY無機ハイブリッドコートJY-IR無機ハイブリッドウォール無機ハイブリッドウォールJY
分類弱溶剤形二液弱溶剤形二液水性形二液弱溶剤形二液
艶有艶有艶有・3分艶艶有
遮熱性なしありなしなし

無機塗料施工後の経過観察

無機塗料の一番の特長はなんと言っても「耐候性」です。耐候性の高さは「促進耐候性試験」によって証明されていますが、「実際の現場においてどの程度の耐候性を発揮するのか」気になる方も多いのではないでしょうか。

そこで、実際にアステックペイントの無機ハイブリッドシリーズを施工した屋根の外観の調査を行いましたので、ご紹介いたします。

経過年数6年の物件(屋根施工)
○施工エリア:大阪府豊中市
○色:アイボリーブラック
○艶引け:なし
○変退色:なし
経過年数6年の物件の様子
経過年数7年の物件(屋根施工)
○施工エリア:山口件熊毛郡
○色:スチールグレー
○艶引け:なし
○変退色:なし
経過年数7年の物件の様子
経過年数7年半の物件(屋根施工)
○施工エリア:兵庫県芦屋市
○色:トープ
○艶引け:なし
○変退色:なし
経過年数7年半の物件の様子
経過年数8年の物件(屋根施工)
○施工エリア:埼玉県蓮田市
○色:アイボリーブラック
○艶引け:なし
○変退色:なし
経過年数8年の物件の様子

いずれの物件も、施工後6~8年では艶引け(チョーキング)や変退色などの劣化症状はなく、健全な状態を維持していることが確認できました。

まとめ

今回の記事では「無機塗料」とはどんな塗料なのか、機能のメカニズム、そしてアステックペイントが販売している「無機塗料」のラインナップと施工後の経過観察報告など、詳しくご紹介しました。

ぜひ今後の無機塗料のご提案の参考にしてください。

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この記事の監修者と運営者

【記事監修】
株式会社アステックペイント 
谷口 智弘

【記事監修】
株式会社アステックペイント 
谷口 智弘

株式会社アステックペイント技術開発本部 本部長
住宅用塗料市場のマーケティング分析・品質管理を行う「商品企画管理室」、塗料の研究・開発を行う「技術開発部」、塗料の製造・生産・出荷を行う「生産部」の3事業部を統括するマネジャーとして、高付加価値塗料の研究・開発を行っている。

【運営会社】
株式会社アステックペイント

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株式会社アステックペイント

AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。2020年以降、遮熱塗料国内メーカーシェアNo.1を連続獲得中。

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