「必見!金属複合パネルの特徴」塗装した際の不具合や見分け方

現場の研究 2024.11.25
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皆様は、一般的な窯業系サイディング板と思い、塗装後、数日~数か月で塗膜の膨れが発生した、というご経験はありませんか?一見、普通の窯業系サイディング板に見えますが、窯業系サイディングを金属パネルで覆っている構造の「金属複合パネル」という下地があります。

この金属複合パネルは、塗り替え工事後、塗膜の膨れが発生しやすい傾向があるため、注意が必要です。

今回は、この金属複合パネルの特徴や塗装した際の不具合事例、見分け方などをご紹介いたします。

バナー

金属複合パネルとは

金属複合パネルとは、フラットな窯業系サイディングである3×10板を金属パネルで覆い、吹付けタイル仕上材を施した下地材です。

図1:金属複合パネルのイメージ

金属複合パネルのメリット・デメリット

メリット

下地の耐久性が高い

窯業系サイディングを金属パネルで覆うことで、窯業系サイディング板の劣化要因である水分から保護し、下地の耐久性を向上させています。

デメリット

劣化状況によって下塗材が変わる

金属複合パネル表面に施された仕上材が劣化し剥離すると、下の金属パネルが露出します。この場合、一般的な塗料では金属の錆を抑制できず、錆による塗膜剥離、下地の耐久性低下が発生する可能性があるため、防錆機能のある塗料を選定しなければいけません。

塗膜の膨れが発生しやすい

図2:膨れの発生メカニズム

一般的な窯業系サイディング板の場合、下地に染み込んだ高圧洗浄水や塗料中の水分は2つの方法で乾燥します。

1つ目は下地や塗膜表面からの乾燥、2つ目は下地に染み込んで下地の裏から乾燥する方法です。しかし、この金属複合パネルは、仕上材の裏に金属パネルがあるため、下地や塗膜表面からの乾燥しかできません。そのため、表面の仕上材に水分が残存した状態で塗装を行うと、塗り替え塗膜が蓋となり、仕上材内部に留まります。

この残留した水分が、熱により体積の膨張収縮を繰り返すことで膨れに至ることがあります。

金属複合パネルに塗装した際の不具合事例

金属複合パネルの表面には、主に吹付けタイル仕上げが施されています。
一見、吹付け仕上材を施した3×10板のように見えるため、通常の流れで塗装が
できると判断をしてしまいます。
今回ご紹介する不具合事例は、その判断を誤ったことで膨れが発生してしまった2事例です。

事例1

発生時期
比較的気温が上がってきた春季(4~6月頃)

現場状況
日当たりが良い南面を中心に膨れが発生。
膨れを切開すると下地の仕上材内部から発生していることを確認。

■使用材料
水性形下塗材+水性形上塗材

■対策
①膨れ箇所を除去し、十分乾燥後、水性形シーラー+同上塗材で塗装※塗膜の膨れが再発する可能性あり
ポイント:高圧洗浄後、旧塗膜に染み込んだ水分を十分に乾燥させること。下塗材として微弾性フィラーの選定を避けること。
②カバー工法にて改修

事例2

発生時期
比較的気温が上がってきた春季(4~6月頃)

現場状況
日当たりが良い南面と東面にて膨れが発生。
膨れを切開すると下地の仕上材内部から発生していることを確認。

使用材料
水性形下塗材+水性形上塗材

■対策
①膨れ箇所を除去し、十分乾燥後、水性形シーラー+同上塗材で塗装※塗膜の膨れが再発する可能性あり
ポイント:
高圧洗浄後、旧塗膜に染み込んだ水分を十分に乾燥させること。
下塗材として微弾性フィラーの選定を避けること。        
②カバー工法にて改修

金属複合パネルの見分け方


塗装工事前に金属複合パネルかどうかを判断するポイントをご紹介いたします。
もし判断を誤って塗装してしまった場合、前述の不具合に繋がってしまうため、必ずご確認ください。現場調査時に確認できるポイントがあるため、塗装前に金属複合パネルかどうかの確認を行いましょう。

特徴写真
①パラペット
②吹付タイル押さえ仕上げ
③乾式目地(ガスケット)
④板底面に金属パネルの折り返し
⑤コーナー箇所に金属パネルの突き合わせ
※金属パネルには、アルミニウム素材の物もあり、磁石では引っ付かない可能性がある
ため、磁石で引っ付かない場合でも金属複合パネルの可能性があります。

まとめ

今回、塗膜の膨れに注意が必要な下地である「金属複合パネル」について紹介いたしました。外観からは一般的な窯業系サイディング板と区別が難しいため、窯業系サイディング板と思い塗り替え工事を行うと、塗装工事後に塗膜の膨れが発生する恐れがあります。この不具合を事前に防止するためにも、下地材の特徴を把握し、現場で確認いただきますようよろしくお願いいたします。

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この記事の監修者と運営者

【記事監修】
株式会社アステックペイント 
谷口 智弘

【記事監修】
株式会社アステックペイント 
谷口 智弘

株式会社アステックペイント技術開発本部 本部長
住宅用塗料市場のマーケティング分析・品質管理を行う「商品企画管理室」、塗料の研究・開発を行う「技術開発部」、塗料の製造・生産・出荷を行う「生産部」の3事業部を統括するマネジャーとして、高付加価値塗料の研究・開発を行っている。

【運営会社】
株式会社アステックペイント

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株式会社アステックペイント

AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。2020年以降、遮熱塗料国内メーカーシェアNo.1を連続獲得中。

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