現場の研究 2021.10.28

“結露”による塗膜の膨れの原因と対策を詳しく解説

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近年、溶剤臭が少なく、耐候性などの性能も溶剤系塗料と同等であることから、屋根・外壁塗装工事を行う上で、「水性塗料」が採用される機会が多くなってきています。

しかし、水性塗料を施工した現場の中には、施工から一夜明けると、雨も降っていないのに膨れが発生したり、場合によっては塗料が流されてしまったりすることがあります。

そのような現象の原因としては「結露」が関係している場合があります。

今回の記事では「結露による膨れが発生する原因」「対処方法・予防方法」について、詳しく解説します。水性塗料にて施工する機会の多い方はぜひ参考のためにご覧ください。

結露が原因で膨れが発生した現場

詳細な内容
下地金属屋根
仕様弱溶剤形錆止め下塗材+水性形上塗材 ※水性形上塗材は14時頃施工を終了
施工時期10~12月
環境山間部(昼夜の寒暖差が大きく結露が発生しやすい)
症状翌朝に折板屋根の谷部で水性上塗材の膨れが発生

結露による膨れの発生メカニズム

この結露現象は、①~④の流れで、乾燥途中の塗膜表面に結露水が付着したことで発生したと考えられます。

1.空気中の水分が塗膜表面に結露

「空気に含まれる水蒸気量」は温度によって決まっています。
気温が高くなると、空気中に含まれる水蒸気量が多くなり、気温が低くなると、空気中に含まれる水蒸気量少なくなる傾向があります。

そのため、昼夜の寒暖差が大きい季節(10月~3月)には、夜間の急激な温度低下によって空気中に保持できなくなった水蒸気が凝集することがあります。これが結露です。

特に、金属下地は温度変化が大きくなるため、表面に結露が発生しやすい下地となります。

2.結露が水性塗膜内部に浸透

乾燥途中の水性塗膜表面に結露が発生すると、塗膜内部に徐々に吸収され、このように水分が乾燥途中の塗膜内部に浸透する現象を「半透膜」と呼びます。

3.結露による塗膜の膨れが発生

吸収された水分は、塗膜裏側に溜まり、水膨れが発生します。浸透圧とは、裏側の塗料(未乾燥部)の塗料濃度を薄めようとする際に働く圧力のことです。

4.結露の乾燥により塗膜の膨れ・シワが発生

塗膜の乾燥が進むにつれ、浸み込んでいた結露も徐々に蒸発していきます。しかしながら、膨れて伸びた塗膜が浮いた状態となり塗膜のシワにつながります。

結露による膨れの対処方法

小さな膨れの場合、塗膜が乾燥すると膨れが目立たなくなることがあります。ところが、一度膨れた塗膜は、乾燥しても付着力が回復することはありませんので、経年によって膨れが再発する可能性があります。

膨れが発生した場合、該当箇所および周辺の塗膜を除去し、再塗装を行ってください。

上記写真は水膨れ発生箇所にテープ付着試験を実施した写真です。本来の付着性を発揮できず、簡単に塗膜が剥がれる状況です。

予防方法

結露は以下の条件が重なる場合、発生しやすくなる傾向があります。特に「山間部に位置している物件」や「金属下地の物件」は、さらに結露しやすくなるため注意が必要です。

【結露が発生しやすい条件】
●昼夜の寒暖差が大きい
●比較的湿度が高い
●無風(塗料の乾燥が遅くなる)

水性塗料の結露による膨れを避けるためにも以下の対策を推奨します。

対策① 施工終了時間(~14時)を早くし、日暮れまでに十分乾燥時間を確保する

※過去に14時以降に施工された物件の不具合が複数確認されています。

対策②  1回あたりの塗布量を降らして塗布回数を増やす

塗膜の乾燥を早めることができ、結露水の浸み込みを防ぐことができます。

対策③  水の希釈量を減らす

塗膜の乾燥を早めることができるため、最低限の希釈量で施工をします。

まとめ

この記事では、結露による膨れのメカニズムから、発生した膨れの対処方法・予防方法までご紹介しました。

今回ご紹介した現場は、金属屋根で膨れた事例ですが、外壁においても同様のメカニズムで膨れが発生することはあります。

膨れが発生した場合、膨れ塗膜を除去し、再塗装することになってしまうため、結露が予想される場合、乾燥時間に注意して塗装することが効果的です。今後、塗装直後の結露には十分注意するよう心がけましょう。

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