塗装後の“破泡跡”が起きる原因と対策を徹底解説

2022.05.10
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水性塗料(上塗材)を塗装した後
「表面に細かい穴があるけど、これは一体何なの?」と施主様からご指摘を受け、
どのように回答していいか迷われたご経験を持つ塗装店の方はいらっしゃいませんか?

今回の記事では、この塗装後に発生する「破泡跡」という現象がなぜ発生するのか?というメカニズムや、発生しやすい環境についてご紹介いたします。施工品質の向上のためにもぜひ参考にされてください。

破泡跡が発生するメカニズム

破泡跡の写真

この現象は塗料を撹拌した時、または塗料を塗る時に混入した気泡が、上塗材の塗膜表面で弾け、その跡が残ることで発生します。

水性塗料において発生する可能性がある現象で、アステックペイントでは「破泡跡(はほうあと)」と呼んでいます。 この現象は、塗膜表面に蛸壺状のくぼみができた状態であり、下地まで貫通しているものではありません。※貫通している場合、「ピンホール」と呼んでいます。

破泡跡の発生要因

※イメージ写真

本章では破泡跡がなぜ発生するのか、その発生要因について解説します。
この現象は、環境(温度・湿度・風)・下地の状態(吸い込み・凹凸)・施工方法や塗料の種類など様々な要因が影響して発生します。

要因① 破泡跡が残りやすい塗料の場合
粘度が高い塗料など、塗料の種類によって発生のしやすさが変わります。特に、水性塗料は溶剤塗料に比べると、塗料の性質として泡が抜けにくく、なじみにくい傾向があります。
要因② 破泡跡が残りやすい塗料の場合
塗布した塗料に含まれている気泡が弾ける前に、直射日光の熱や風によって塗膜表面の乾燥が急速に進むことで発生しやすくなる傾向があります。
要因③ 長期間の保管や、高温下での保管により、塗料の消泡剤の効果が低下した場合
塗料の消泡機能(泡を弾けやすくする機能)が低下している塗料のため、通常通りの施工状況でも泡が弾けにくくなる傾向があります。
要因④ 電動撹拌機で塗料表面を泡立てて撹拌したことで、塗料内部に多量の気泡が含まれた場合
二液型塗料・希釈材の混合撹拌時に多量の気泡が塗料内に巻き込まれていることから、通常通りの施工状況でも全ての泡が弾ける前に塗膜表面が乾燥してしまう傾向があります。
要因⑤ 凹凸が激しい下地の凹部などに塗料が厚く溜まった場合
凹部に塗料が厚く溜まることで、塗膜表面に気泡が到達する時間が長くなってしまい、その間に塗膜表面が乾燥してしまう傾向があります。

上記のような要因が重なる施工状況の場合、塗料内の気泡が抜けにくくなること・泡が弾けた跡がなじみにくくなることによって、破泡跡の発生に繋がることがあります。

破泡跡を防ぐ施工時の対策

施工時の工夫により、破泡跡の発生を極力減らすことも可能です。施工時の対策としては、下記のようなものがあげられます。

①下地がモルタルの場合、微弾性フィラーなどの施工により下地の凹凸をできるだけ滑らかにする。
②塗料表面を泡立てないように撹拌する。
③泡をかみにくいローラー(マイクロファイバー系)を使用する。
④同じ箇所を何度もしごき塗りしすぎない。
⑤夏季など外気温が高い場合、水希釈をする。(メーカー指定希釈範囲内で)

※上記の対策を十分に取った場合でも破泡跡の発生を完全になくすことはできないためご注意ください。

まとめ

今回の記事では、水性塗料の塗膜に発生する「破泡跡」についてご紹介しました。

破泡跡は、上塗塗料の塗膜表面に発生する蛸壺状のくぼみです。特に水性塗料を施工することが多い建築塗装においては、多かれ少なかれ発生する現象となります。

塗膜表面のくぼみであるため、塗装の目的の1つである「下地の保護機能」に大きな影響は及ぼしにくい現象ではあります。しかし、施工前に破泡跡が発生してしまうケースがあることを事前に施主様に共有しておくことで施工後のトラブルを回避することに繋がりますので、ぜひ参考にされてください。

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