施工時に注意! 塗り継ぎムラの発生事例と対策をご紹介

現場の研究 外壁屋根工事・工法 2023.02.06 (最終更新日:2024.01.16)
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皆様は水性上塗材を塗装した際、「塗り継ぎムラが発生してしまった」というご経験はありませんか。これは、足場の上段から塗装をして下段から塗り継ぐ際に、上段の塗膜が下段の塗膜に重なってしまうことで発生します。

原因としては、外壁材の形状・劣化状況・施工環境・上塗材の使用量などの様々な要因が重なって発生することが考えられます。

今回は、水性上塗材の塗り継ぎによるムラの事例紹介、発生メカニズム、対策についてご紹介します。

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事例紹介

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※イメージ写真

まず、実際に発生した事例をご紹介します。

発生傾向の共通点

材料 水性上塗材
下地 フラットに近い形状で縦目地がある窯業系サイディング板
発生傾向 全面をローラーで施工し、横帯状のムラとなって見える。
発生箇所は足場板が設置されていた高さで、上段・下段の塗り継ぎをした箇所に発生している。

事例①

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発生箇所
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近接写真

事例②

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発生箇所
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近接写真

このように足場板の設置箇所付近で塗り継ぎが発生し、重なり部分で「艶ムラ」や「色ムラ」が発生する場合があります。

塗り継ぎムラの発生メカニズム

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※イメージ写真

足場板付近の塗り継ぎによるムラの場合

天候や気温などの環境条件に左右されますが、上段の塗料表面が乾燥後に下段を塗り継ぐ場合、塗り継いだ塗料は上段の塗料と溶け合わず上に重なるため、段差やローラー目が残り、光の反射によってムラに見えます。

特に塗装面に直射日光が当たる場合や、強風時などは塗膜表面の乾燥が早いため、塗り継ぎムラが発生しやすい傾向があります。

一方で溶剤系塗料では、塗り重ねた塗料の溶剤成分によって下の溶剤系塗膜の表面が溶け、一体化してなだらかな面に仕上がるため、ムラになりにくくなります。

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上塗材の透け(隠ぺい不足)によるムラの場合

フラットに近い下地や吸い込みの激しい下地などで上塗材の塗布量が十分でない場合、下地材や下塗材が透けて仕上がってしまうことがあります。

その結果、上塗材の塗膜が薄くなった部分において「艶ムラ」や「色ムラ」「模様ムラ」などが発生する場合があります。

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塗り継ぎムラを防ぐための対策

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※イメージ写真

以上のような水性上塗材の塗り継ぎムラは、事前対策によって防ぐことができます。
発生してしまった場合の対処法も含めてご紹介します。

【事前対策】
・足場の上段を塗装後、別の職人がただちに下段の塗装を引き継いで塗装を行い、同じ要領で横に移動していく。
・下地による吸い込みが止まるまで下塗材を十分に塗装した後に、上塗材を塗装する
・塗装仕様書に準じて、秤を用いて希釈する
・直射日光が当たっていない面から施工をスタートする
・強風時の施工を極力控える
・フラットに近い下地材の場合、可能であれば溶剤系塗料を選択する

【事後対策】
部分的に補修塗りを行っても、さらにその箇所がムラになって見えるおそれがあります。
塗料が塗り重なっているムラの場合、ケレン作業を行ってから見切りの良いところまで「事前対策」に準じて再施工を行ってください。

まとめ

今回は、水性上塗材の塗り継ぎによるムラについてご紹介しました。

一度ムラになってしまうと、見切りの良いところまで再塗装が必要になるため、事前対策が非常に大切です。

皆様の現場の品質向上にお役立てできれば幸いです。


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記事監修】株式会社アステックペイント 谷口智弘

株式会社アステックペイント技術開発本部 本部長
住宅用塗料市場のマーケティング分析・品質管理を行う「商品企画管理室」、塗料の研究・開発を行う「技術開発部」、塗料の製造・生産・出荷を行う「生産部」塗装品質の向上のための施工指導を行う「フィールドエンジニア部」を統括する責任者として、高付加価値塗料の研究・開発、塗装現場の品質管理のための活動を行っている。

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運営会社】株式会社アステックペイント

AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。

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