【朗報】インボイス制度の支援措置が決定

お役立ちコラム 規格・法律 2023.03.26 (最終更新日:2024.01.16)
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2023年10月より「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」がいよいよ施行されます。そして、施行にあたって「令和5年度税制改正の大綱(2022年12月23日閣議決定)」にて支援措置が発表されています。

今回は、その支援措置内容のご紹介(内容・対象者)とインボイス制度が施行された後の消費税の流れをご説明いたします。 特に塗装会社様の元で下請業者(一人親方)をされている免税事業者の方は、支援措置の恩恵を受けることができます。この機会に支援措置を活用して、免税事業者の方が課税事業者に転換する際の参考になれば幸いです。

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インボイス制度の概要のおさらい

2023年10月より「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」が施行されます。 インボイス制度とは、「元請業者や下請業者」が「塗装工事に必要な手配(備品・業者など)で支払った消費税の仕入税額控除」を受けるために必要な制度です。

詳しい制度内容は下記をご覧ください。

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インボイス制度の支援措置の概要

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※イメージ写真

令和5年度税制改正大綱より発表された「インボイス制度の支援措置」は、下記2項目です。

支援措置の項目 詳細
消費税負担軽減

免税事業者からインボイス発行事業者(課税事業者)になった場合、納税額は「売上税額×20%」で良い。
※支援措置期間:2023年10月~2026年9月まで

登録申請日の延長

インボイスの登録申請期日が「2023年3月31日」から「2023年9月30日」まで延長された。

今までのインボイス制度は、課税事業者に転換した場合には従来通り全額納税となっていました。今回の支援措置によって、消費税負担軽減は期限付きではありますが、免税事業者から課税事業者へ転換するハードルが下がったと言えます。

しかしながら、3年後には消費税を全額納税する必要があり、支援措置期間で「どのような事業展開(事業拡大(元請業者化・下請業者化)など)をしていくのか」検討する必要があります。

これからますます職人が不足していく時代となるため、元請業者の方は、協力業者の事業拡大への相談・支援などを行い、お互いの共存・共生の道を模索する必要があります。

インボイス制度の支援措置の対象者とは

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※イメージ写真

現在、免税事業者の方は支援措置の対象者となります。

国税庁より発表されている支援措置の対象者は「インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者になった者」と定められています。

具体的には、
・免税事業者がインボイス発行事業者の登録を受け、登録日から課税事業者となる者
・免税事業者が課税事業者選択届出書を提出した上で、登録を受けてインボイス発行事業者となる者

また、「インボイス制度の負担軽減措置(案)のよくある質問とその回答」について財務省が公開しています。詳しく知りたい方はご覧ください。

https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/qa_futankeigen.pdf

消費税負担軽減の概要

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※イメージ写真

支援措置期間(2023年10月1日から2026年9月30日まで)では、免税事業者がインボイス発行業者に登録後に、どの程度の支援措置を受けることができるのかをご紹介いたします。

■年間塗装工事売上770万円(税込)の塗装事業者で、※経費330万円(税込)を支払った場合

  預かり消費税 仕入れ税額 納税額
従来のインボイス制度 70万円 30万円 40万円
支援措置 70万円 30万円 14万円(70万円×20%)
簡易課税制度(建設業の仕入れ率:70%) 70万円 49万円(70万円×70%) 21万円

※経費:足場代・塗料代・工事備品など

免税事業者の場合であれば、「預かり消費税(70万円) - 仕入税額(30万円)」= 差額の40万円は免税でした。そして、インボイス制度に登録した場合、課税事業者として、差額の40万円を全額納税することになります。

今回の支援措置によって、差額の40万円の内、「預かり消費税×20%」の14万円を納税することになりますので、負担額が大きく軽減されました。これは簡易課税制度(建設業)を利用した場合の納税額(21万円)よりも、納税金額が抑えられることになります。

※免税事業者時代から比べると収入は低下しますが、従来のインボイス制度よりも負担額が少なく済む計算となります。

支援措置の詳細内容は、財務省の下記URLをご参考ください。https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/invoice/index.html#a01

支援措置で想定されるQ&A

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※イメージ写真

Q:インボイス登録申請期日が2023年3月31日から9月30日まで延期されましたが、いつまでに申請を出せば、10月1日からインボイス登録事業者になれますか?

A:おおまかな目安として、申請書の提出方法によって、登録されるまでの期間が異なります。書面の場合は「2ヵ月程度」、e-Taxの場合は「3週間程度」の期間を見込まれています。
そのため、10月1日からインボイス登録業者への登録を検討されている業者の方は、
●書面の場合 :「7月末までの申請」
●e-Taxの場合:「8月末までの申請」が必要です。

Q:インボイス登録申請期日が2023年3月31日から9月30日まで延期されました。9月30日に申請を出した場合に不都合はありますか?

A:インボイス制度への申請上は登録事業者となりますが、インボイス登録事業者番号は発行されていない状態になります。2023年10月1日にインボイス登録番号が届かない場合、インボイスを発行できません。取引先への説明と請求書の再発行などの事務作業が発生します。早めの対応をご検討ください。

まとめ

今回はインボイス制度の支援措置について説明いたしました。元請業者としては、免税事業者である下請業者が2023年10月からインボイス発行事業者になってもらうかどうかの相談を、今後の事業の進め方と合わせて選択する必要があります。

そのため、今回の支援措置期間を活用して、共存・共生できる道を模索していきましょう。


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記事監修】株式会社アステックペイント 谷口智弘

株式会社アステックペイント技術開発本部 本部長
住宅用塗料市場のマーケティング分析・品質管理を行う「商品企画管理室」、塗料の研究・開発を行う「技術開発部」、塗料の製造・生産・出荷を行う「生産部」塗装品質の向上のための施工指導を行う「フィールドエンジニア部」を統括する責任者として、高付加価値塗料の研究・開発、塗装現場の品質管理のための活動を行っている。

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運営会社】株式会社アステックペイント

AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。

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