ベランダ防水材「リガードシリーズ」の不具合事例とその対策をご紹介

APラインナップ 防水材塗料塗装 2023.07.07 (最終更新日:2024.01.16)
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住宅の屋根・外壁塗装工事と一緒にベランダ防水工事も行う場合、塗装工事は自社で行い、防水工事は専門業者に委託している会社様も多いのではないでしょうか。

近年塗装業界では、工事の生産性向上や職人の給与引き上げにもつながることから、塗装職人がシーリングや防水工事など幅広い工事をできるようになる「職人の多能工化」を推進する会社様が増えています。

アステックペイントでは、多能工化推進の一環として、木造住宅のFRP防水材の改修用ウレタン塗膜防水材「リガードシリーズ」を販売しています。

今回の記事では、「リガードシリーズ」について、工程間隔などの「時間」に関する不具合事例とその対策を紹介いたします。現場での不具合予防のためにも、ぜひご一読ください。

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リガードシリーズとは?

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新築戸建て住宅のベランダやバルコニーでは、主にFRP防水材が施されています。「リガードシリーズ」は、このFRP防水材の改修で使用できるウレタン塗膜防水材です。
※リガードシリーズは、戸建て住宅のベランダ・バルコニーのFRP防水改修用ウレタン塗膜防水材のため、その他の用途では使用できません。

リガードシリーズは大きく分けて次の2種類の工法があり、それぞれ施工に要する時間が異なります。

①トップコート工法: 防水材を使用せずに下塗材と上塗材のみで改修する工法
②ウレタン塗膜防水工法: トップコート工法と防水材を使用して改修する工法

そして、ウレタン塗膜防水工法の中にも次の2種類の工法があります。

①1mm厚工法: 防水材を1回1mm厚で形成させる工法
②2mm厚工法: 防水材を2回2mm厚で形成させる工法

ベランダ・バルコニーの下に居住スペースがない場合は「1mm厚工法」を、ある場合は「2mm厚工法」を選択してください。

リガードシリーズの施工時間に関する不具合事例

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※イメージ写真

「リガードシリーズ」を施工する際、工程間隔などの時間が短すぎたり長すぎたりすると、何らかの不具合が発生する場合があります。今回は、その中から主な不具合の3事例と、その原因と対策について紹介いたします。

事例①

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発生の可能性がある工法 ウレタン防水工法(2mm厚工法)
発生現象 リガードベースの2層目を施工後に、1層目と2層目の間で膨れが発生
原因 ①リガードベースなどのウレタン防水材が空気中の湿気と反応し、ガスを発生しながら硬化したこと②1層目のリガードベースの湿気硬化途中に、2層目を施工したことで、1層目と2層目の間に発生したガスが閉じ込められたこと
発生時の対策 カッターなどで切れ込みを入れ、
膨れを除去してからリガードベースで部分補修する
予防策 1層目のリガードベース施工後、適正な工程間隔(16時間以上72時間以内)を設けてから、2層目を施工する

事例②

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発生の可能性がある工法 トップコート工法
発生現象 トップコート施工後、水性の旧塗膜から剥離が発生
原因 ①水性の旧塗膜に浸み込んだ、リガードプライマーの溶剤成分が乾燥する前にリガードトップを施工したこと
②塗膜内に閉じ込められた溶剤成分が太陽光の熱により旧塗膜内部で膨張収縮を繰り返し、塗膜が膨張圧に耐え切れず膨れが発生したこと
発生時の対策 膨れた塗膜を除去した後、リガードシンナーで倍希釈したリガードプライマーを施工し、乾燥後にリガードトップを再施工する
※ただし、膨れとして顕在化していない溶剤成分が残存している場合、溶剤成分をすべて取り除くことは困難なため、再発の可能性あり
予防策 リガードシリーズによる改修を控える
(過去に水性や弱溶剤の防水材で改修されている場合、強溶剤であるリガードシリーズの溶剤成分による旧塗膜の膨れ・ちぢれの可能性があるため)

事例③

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発生の可能性がある工法 全ての工法
発生現象 リガードトップ施工直後に、リガードトップの表面にシワが発生
原因 リガードベースが十分硬化していない状態で、リガードトップを施工したこと(1回目のリガードトップの混合比が誤っていた場合も、同様のムラが発生する可能性あり)
発生時の対策 サンドペーパーなどでシワの部分を撤去し、リガードシンナー拭きによって溶解箇所と汚れを完全に拭き取ってからリガードトップを再施工する
予防策 リガードベース施工後、適正な工程間隔(16時間以上72時間以内)を設けてから、リガードトップを施工する

まとめ

今回はリガードシリーズ施工時の、工程間隔などの「時間」に関する不具合事例と、その原因・対策についてご紹介しました。

このような不具合の発生を未然に防ぐためにも、注意事項などを遵守した上で施工をしていただけますと幸いです。

リガードシリーズについては以下の記事でも紹介しています。ぜひご覧ください。

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記事監修】株式会社アステックペイント 谷口智弘

株式会社アステックペイント技術開発本部 本部長
住宅用塗料市場のマーケティング分析・品質管理を行う「商品企画管理室」、塗料の研究・開発を行う「技術開発部」、塗料の製造・生産・出荷を行う「生産部」の3事業部を統括するマネジャーとして、高付加価値塗料の研究・開発を行っている。

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運営会社】株式会社アステックペイント

AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。

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