【工場・倉庫編】排気ダクトによる汚染事例と対策
塗装後数年が経過し、「工場・倉庫の排気ダクト※ 周辺が汚染した」という連絡を受けることがあります。これは多くのケースで「排気ダクトの排気に含まれる成分」が原因です。 今回は業種別による汚染事例とプラスチック加工工場の塗装後の汚染事例をご紹介いたします。
※排気ダクト…屋内作業者の環境確保のため、工場内の作業や製品の加工時に発生する物質を屋外に排出する設備。以下、ダクトと表記。
業種別による汚染事例
工場内から「排気物」により、汚染の仕方が変わります。塗装工事前に法人様への排気物に関するヒアリング・排気物に対する塗装仕様(塗料・色)の選定が重要です。
【汚染事例1:食品加工系工場】
工場内から排出した微粉末によって、屋根のダクト周辺で汚染が発生した事例です。
折板屋根(亜鉛メッキ鋼板)が汚染しているため、塗装後も同様に汚染する可能性があります。
【汚染事例2:鉄鋼加工系】
工場内の金属加工による鉄粉が排気され、折板屋根表面に堆積し、鉄粉に錆が発生した事例です。 鉄粉が層状になっているため、塗装後も同様の現象が発生します。
【汚染事例3:肥料/農薬 倉庫系】
工場内の有機肥料をダクトによって排出するため、苔藻の栄養源となり繁殖した事例です。 過酷な環境であるため、一般塗料よりも低汚染塗料が適していますが、再発する可能性があります。
【汚染事例4:酒造業系】
醸造の麴菌による黒カビが繁殖した事例です。 過酷な環境であるため、一般塗料よりも低汚染塗料が適していますが、再発する可能性があります。
塗装後の汚染事例紹介(プラスチック加工工場)
・塗装時期:2017年9月頃(約3年半経過) ・塗装仕様:弱溶剤シリコン系上塗材(白色) ・屋根下地:焼付塗装の折板屋根(写真:赤枠部・緑枠部) |
同敷地内(右横写真)で同時期に塗装した「ダクトがある屋根(赤枠)」と「ダクトがない屋根(緑枠)」で下記写真のような汚染差が確認されました。
汚染の原因とメカニズム
汚染物の付着状況
汚染箇所を濡らしたウェスで力強く複数回拭くことで清掃はできますが、屋根全体の拭き作業は現実的ではありません。
汚染の原因
工場内のプラスチック加工による「微粉末有機物」がダクトを通って、屋根に向けて排気されたことで汚染したと考えられます。
※現場調査時にダクトからの白色煙を確認
汚染のメカニズム
①ダクトから排気された「微粉末有機物」が、塗り替え塗膜(有機物)に馴染んだ。
②付着した微粉末有機物に、周辺の排気ガスや土埃等の汚染物質がさらに付着したことで汚染が進行した。
まとめ
ダクトがある建屋の改修工事の際、現場調査時に法人様へ「ダクトからの排気物について」のヒアリングが重要です。排気物によっては、塗装後の汚染に繋がる可能性もあります。
また法人様に、汚染させないためのダクトの清掃・フィルター機能の向上などの別途対策の提案も検討する必要があります。
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この記事の監修者と運営者
【記事監修】
株式会社アステックペイント
谷口 智弘
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谷口 智弘
株式会社アステックペイント技術開発本部 本部長
住宅用塗料市場のマーケティング分析・品質管理を行う「商品企画管理室」、塗料の研究・開発を行う「技術開発部」、塗料の製造・生産・出荷を行う「生産部」の3事業部を統括するマネジャーとして、高付加価値塗料の研究・開発を行っている。
【運営会社】
株式会社アステックペイント
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株式会社アステックペイント
AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。2020年以降、遮熱塗料国内メーカーシェアNo.1を連続獲得中。