建物で起きる「塗膜膨れ」症状6選と対策を解説
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皆さまは塗装直後や塗装から経年後、屋根や外壁に膨れが発生した経験はありませんか?このような膨れは、様々な要因から季節を問わず引き起こされることがあり、そのメカニズムは多種多様です。
今回は、建物で発生する可能性がある膨れの種類やその見分け方、予防方法や補修方法までまとめてご紹介いたします。
注)膨れは、今回ご紹介する原因が複合的に重なり合って発生することもあります。
膨れの見分け方
ここでは、膨れの見分け方を種類別にご紹介いたします。
| 膨れの種類 | 見分け方 |
| 蓄熱水蒸気による膨れ | ・日当たりの良い箇所を中心に発生 ・膨れを切開するとハチの巣状になっている |
| 半透膜による膨れ | ・結露が発生しやすい時期での施工 ・膨れは経年後、しわになっている ・膨れ内部は湿っている |
| 縁切り不足による膨れ | ・スレート瓦の小口付近で膨れが発生 ・膨れはスレート瓦内部から発生 ・小口の縁が埋まっている |
| 溶剤膨れ | ・膨れを切開するとシンナーの臭いがする ・膨れを切開するとハチの巣状になっている ・既存塗膜が「水性」または「劣化が著しい」場合 |
| 漏水による水膨れ | ・膨れを切開すると水が出てくる ・膨れの周辺で、ひび割れ等の水の浸入口がある |
| 金属複合パネルの膨れ | ・膨れを切開するとハチの巣状になっている ・板底面に金属パネルの折り返しがある |
このように、膨れの種類を特定するには、「どんな下地か」「どこから膨れているか」「膨れ内部がどうなっているか」を把握することが重要です。
それぞれの膨れの原因と対策
続いて、それぞれの膨れの原因や発生時の対応方法、防止方法について、分かりやすくご紹介いたします。
①蓄熱水蒸気膨れ
主に、建物の日の当たりやすい箇所に発生します。この膨れは既存塗膜から生じ、内部はハチの巣状になっています。

| 原因 | 塗替え時、降雨や高圧洗浄などの影響で、既存塗膜に残存していた水分が、直射日光で膨張し、塗替え塗膜を押し上げることで膨れが発生します。 |
| 防止方法 | ➀高圧洗浄後の乾燥時間を長めに確保する |
| 発生時の対応方法 | ➀膨れ箇所の除去 ➁膨れ内部の十分な乾燥 ➂下地調整および補修塗装 |
本現象を詳しく知りたい方は下記のリンクをご参考ください。発生事例から細かい補修方法まで詳しく紹介しております。
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②半透膜による膨れ
主に、昼夜の寒暖差が大きく、結露が発生しやすい環境下で水性塗料を使用した場合に発生します。この膨れは経年後、しわになっていることがあり、内部は湿っていることが多いです。

| 原因 | 乾燥途中の水性塗膜に結露水などの水分が触れることで、塗膜内部に浸透し、浸透した水分が塗膜の裏側に溜まり、塗膜を押し上げることで水膨れが発生します。 |
| 防止方法 | 気温が低い時期の施工は以下に注意する。 ➀14時までに施工を終了し、乾燥時間を長めにとる ➁1回あたりの塗布量を減らして、塗布回数を増やす ➂水の希釈量を減らす |
| 発生時の対応方法 | ➀膨れ箇所の除去 ➁膨れ内部の十分な乾燥 ➂下地調整および補修塗装 |
本現象を詳しく知りたい方は下記のリンクをご参考ください。発生事例から細かい補修方法まで紹介しております。
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③縁切り不足による膨れ
主に、スレート瓦の小口周辺で発生し、膨れはスレート瓦内部から発生します。膨れ箇所周辺の小口を確認すると、塗料で隙間が埋まっています。

| 原因 | 縁切り不足により、スレート瓦の突き付け部から浸入した水分が排出されず、スレート瓦裏側に滞留します。滞留した水分が直射日光により、水蒸気となり塗膜を押し上げることで、小口周辺で膨れが発生します。 |
| 防止方法 | ➀塗装後、カッターなどで縁切りを行い、小口の隙間を確保する ➁塗装後、タスペーサーを入れることで、小口の隙間を確保する |
| 発生時の対応方法 | ➀膨れ箇所周辺の小口部分の縁切りと膨れ箇所の除去 ➁スレート瓦裏面と膨れ内部の十分な乾燥 ➂下地調整および補修塗装を行い、縁切りまたはタスペーサーを設置 |
本現象を詳しく知りたい方は下記のリンクをご参考ください。発生事例から細かい補修方法まで紹介しております。
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④溶剤膨れ
溶剤系塗料を使用した際、主に、日の当たりやすい箇所に発生します。膨れ内部はハチの巣状になっており、シンナーの臭いが確認できます。

| 原因 | 溶剤系塗料を塗装後、溶剤成分が乾燥せず残った状態で、次工程の塗装を行うと、溶剤成分が閉じ込められ、直射日光の熱によって揮発し、塗膜を押し上げることで膨れが発生します。また、既存塗膜が「水性の場合」または「劣化が著しい場合」、溶剤系塗料が既存塗膜に浸透し残りやすくなるため、発生する可能性が高くなります。 |
| 防止方法 | ➀塗装した溶剤系塗料を十分乾燥させる ➁厚付けになりやすい箇所では、シンナー臭がないことを確認した後、上塗材を塗装する |
| 発生時の対応方法 | ➀膨れ箇所の除去 ➁膨れ内部の十分な乾燥 ➂下地調整および補修塗装 |
本現象を詳しく知りたい方は下記のリンクをご参考ください。発生事例から細かい補修方法まで紹介しております。
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⑤漏水による膨れ
外壁のひび割れやシーリング材の破断によって雨漏りなどが発生している建物で発生しやすく、膨れ内部に水分が残っていることが多いです。

| 原因 | 漏水箇所から浸入した雨水が塗膜裏面に溜まることで、塗膜を押し上げ膨れが発生します。 |
| 防止方法 | ➀塗装工事前に、防水工事・シーリング工事を完了させる |
| 発生時の対応方法 | ➀膨れ箇所の除去 ➁雨水の浸入箇所を特定し、防水処理を実施 ➂下地調整および補修塗装 |
本現象を詳しく知りたい方は下記のリンクをご参考ください。
関連記事⑥金属複合パネルの膨れ
3×10板を金属パネルで覆い、吹付けタイル仕上げを施した下地材(金属複合パネル)で発生します。主に、建物の日の当たりやすい箇所に発生します。この膨れは既存塗膜から生じ、内部はハチの巣状になっています。

| 原因 | 下地に金属パネルがあることで、高圧洗浄等の水分の乾燥が遅くなります。そのため、下地に水分が残りやすく、その状態で塗装すると日の当たりやすい箇所で下地に含まれた水分が水蒸気となり塗膜を押し上げることで膨れが発生します。 |
| 防止方法 | ➀高圧洗浄後の乾燥時間を長めに確保する ➁下地の温度上昇を防ぐため「遮熱塗料」や「淡彩色系の塗料」を選定する |
| 発生時の対応方法 | ➀カバー工法やボードの 張り替えを推奨 ※部分塗装による補修は可能だが、下地の影響が大きいため、経年で別の箇所からの膨れが再発する懸念がある |
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まとめ
今回は、屋根や外壁で起こりうる膨れについてご紹介しました。膨れは様々な種類があるため、「どんな下地か」「どこから膨れているか」「膨れ内部がどうなっているか」を確認し、原因を特定することが重要です。
発生させないための防止方法が最も大切ですが、もし、発生した場合は、本記事を参考に膨れの見分け方から適切な補修方法を確認のうえ、ぜひ皆様の現場で活用していただけますと幸いです。
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この記事の監修者と運営者
【記事監修】
株式会社アステックペイント
谷口 智弘
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谷口 智弘
株式会社アステックペイント技術開発本部 本部長
住宅用塗料市場のマーケティング分析・品質管理を行う「商品企画管理室」、塗料の研究・開発を行う「技術開発部」、塗料の製造・生産・出荷を行う「生産部」の3事業部を統括するマネジャーとして、高付加価値塗料の研究・開発を行っている。
【運営会社】
株式会社アステックペイント
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AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。2020年以降、遮熱塗料国内メーカーシェアNo.1を連続獲得中。
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