アステックペイント20周年を振り返って
2020年、アステックペイントは20周年を迎えました。奇しくも、この20周年という節目において、新型コロナウイルスが全国的に流行したことで、我々アステックペイントは強制的に様々なことを変革させられることになりました。しかし、そのおかげで結果的に新しいステージに立たせてもらえたと思っています。
第一ステージ『差別化塗料で競争のない世界を確立』
20年間を振り返ってみますと、まずは2000年の創業から2010年までが『第一ステージ』だと考えています。塗料商社として創業しましたが、30歳の塗料と塗装のド素人がオーストラリア製の塗料を日本で販売するという超無謀なスタートでした。当時はとにかくガムシャラに訳もわからず活動していました。その中で意識したことは、「競争の無い世界で戦う」ということです。
創業当時は、塗料問屋に提案に行っても常に日本の塗料と比較されるので、塗装会社に直接塗料を提案することで競争を減らすことができました。さらに、塗料の機能性を遮熱塗料に特化することで当時は競争が少なくなり、また提案先を住宅塗装という多くの塗料メーカーがまだ力を入れていなかった市場に集中させました。加えて、販促支援や営業提案サポートなどのサービスも強化し他メーカーとの圧倒的な差別化を狙うなど、ありとあらゆる努力を行ない「競争の無い世界」をつくることに力を入れていきました。
第二ステージ『名実ともに塗料メーカーへ』
このような取り組みの中で確実に成長していきましたが、「自社で研究開発した塗料を、自社工場で作りたい」と考えるようになり、その強い想いは2011年に工場を設置することで実現し、そこで次の『第二ステージ』に立つことができたと思っています。
第二ステージでは、念願の自社工場を持つようになり、塗料メーカーとして進むべき方向性を模索することからスタートしました。塗料メーカーとして、他社にない差別化塗料を開発するのは当然のことながら、2009年にプロタイムズを、2011年にSP&SというIT会社を立ち上げ、塗装業界向けの営業支援サービスやITサービスを提供し始めました。
それは、「塗装会社が求めているのは高機能な塗料だけではなく、企業が成長していくために必要な様々な支援である」と思うようになったからです。そのような取り組みを行なうことで、当社の塗料を継続的に購入してもらえ、お互いがwin-winのビジネスモデルになれると思っていました。
しかし、このビジョンが私の経営者人生をこれほどまで苦しめるとは全く想像していませんでした。
塗料メーカーとして新しい展開をスタートしたばかりであるなか、営業支援のフランチャイズ本部、そして全く畑違いのIT会社を立ち上げ、数え切れないほどのチャレンジを行ないましたが、その多くは失敗の繰り返しでした。
そこでの私の教訓は「諦めなければ想いは実現する」ということでした。自ら設定したビジョンに対して、「市場性はある、競合相手はいない(勝てる)、理念に沿っている、三方良し」という条件が整うのであれば、どんな困難が起きても“諦めなければ”必ず実現できると信じ、ブレること無くやってきたと自負しています。
結果として、アステックペイントは業界のメガヒット商品を連発し、プロタイムズは業界最大の組織になり、SP&Sは業界で唯一となるITアプリ「現場ポケット」をリリースできました。このようなプロセスを経て、当社はさらなる『第三ステージ』に立つことができたと思っています。
第三ステージ『塗料メーカーを超えた存在へ』
この第三ステージでは、アステックペイント、プロタイムズ、SP&Sの3社を1社統合し、新たな道を探ることにしました。理由は、3社ともに業界でそれなりの存在になってきましたが、それぞれ独立した組織になってしまい3社の相乗効果を生み出すことができず、大きなジレンマとなっていたためです。
そこで、1社統合することで我々が20年かけて築いてきた様々な価値を再構築し、加盟店の皆様に対してもっとお役に立てるはずと思うようになりました。そして明確なビジョンのもと、第三ステージへと動き始めました。
この第三ステージの方向性は、2020年2月14日に約400名にご参加いただき東京で開催した全国加盟店会議にて発表させていただきました。2020年は、そこから一気に突っ走っていくつもりでした。
しかしながら、その矢先に起こったのが新型コロナウイルス感染の流行です。当社も、全く未知なる世界に突入しました。特に、当社のような成長を前提とした先行投資型の企業にとっては、消費活動が一気に止まるような状況は、非常に大きな不安を掻き立てられました。
それは加盟店の皆様にとっても同様であり、まずは同じ業界で同じ境遇のアステックペイントの加盟店同士が助け合い、励まし合う場をつくろうということで、Facebookグループ「パートナーズ応援ひろば」を設けました。
この場は、全国の加盟店がコロナ禍で手探りで行なっている様々な活動を全国で共有しながら、少しでもお互いにヒントを見つけ出し、またお互いに元気を与えられる場にしたいという思いで立ち上げました。実際には、この活動を通じて当社の社員、そして私も多くの元気をいただきました。
そして新型コロナウイルスの流行により、アステックペイントは大きく変革することになりました。当社の営業スタイルは、全国に設置している営業所より営業担当が皆様の会社に訪問して、様々な情報を伝えながら、アステックペイント塗料の販売促進を行なうという形でした。
しかしながら、コロナ禍で皆様の会社に訪問できなくなりましたので、全てをWEBによる面談方式に切り替え、加盟店様との接触頻度を減らさないようにしました。また、WEB面談をさらに効率的にするために動画などを制作して、WEB面談の質を上げる努力も行なってきました。
今後は、直接訪問やWEB面談に加えて、さらなる多角的な接点のあり方を構築し、加盟店の皆様にとって、アステックペイントが常に横に寄り添い、必要なタイミングで必要な情報や支援が受けられるような体制をつくっていきたいと思っています。
このようなことを考えると、2020年の新型コロナウイルス流行が我々の第三ステージの方向性が明確にし、事業のスピードをより早めたと思っています。
塗装業界の課題を解決する『社会的企業』へ
2021年は、当社にとって第三ステージの1年目になります。そして3社統合により、アステックペイントは、塗料の製造・販売、営業支援サービス(プロタイムズ)、ITサービス(SP&S)の3つの部門を有する塗料メーカーとなります。
このような体制を整えた塗料メーカーは存在していません。我々は塗料メーカーの枠を超えて新しい業態をつくり、塗装業界に新たな価値を提供していきたいと考えています。
塗装業界には、長らく放置されてきた解決されていない課題が数多くあります。代表的な例は、生産性です。塗装職人の生産性は過去30年間ほぼ横ばいです。すなわち、給与を上げることができません。
よって、多くの塗装会社の経営者が熱望している職人の社会的地位向上も実現することはありません。根本的には、ほとんどの塗装会社が規模の小ささ故に、これらの問題を解決することが難しくなっています。
そこで、会社の規模を拡大するために成長を求めていくことになりますが、成長プロセスで必ずぶち当たる課題があり、その課題を解決できないために多くの会社の成長が結局止まってしまいます。
アステックペイントは、加盟店様がそのような壁にぶち当たった時、常に傍に寄り添い、それぞれの会社の課題を共に解決しながら、共に成長をしていきたいと思っています。このような体制を作り上げることが、アステックペイントの第三ステージだと考えています。
我々は20年間、皆様のおかげで成長させていただきました。この感謝の気持ちを、どのように加盟店の皆様、そして塗装業界にお返しできるか、2021年以降しっかり取り組んでまいります。
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このコラムの寄稿者と運営者
【コラム寄稿者】
株式会社アステックペイント
菅原 徹
【コラム寄稿者】
株式会社アステックペイント
菅原 徹
株式会社アステックペイント 代表取締役
2000年10月に株式会社アステックペイントを創業して以来、高付加価値な住宅用塗料の研究開発・製造・システムやアプリ開発・販促支援など、あらゆる角度から塗装業界の発展を目指し、事業展開している。
【運営会社】
株式会社アステックペイント
【運営会社】
株式会社アステックペイント
AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。2020年以降、遮熱塗料国内メーカーシェアNo.1を連続獲得中。