「2024年の事業計画書」を考えるにあたって
<2023年10月号アステックペイント定期発行物ホットラインより>
今年も年末に近づき、2024年の事業計画を作り始めるタイミングとなった。私にとって事業計画を作る流れとは、現状の社会情勢を理解し、自らの現状や市場動向を分析し、自社の進む方向を文章化することである。しかし、2024年の事業計画書を作る上で、自らの現状や市場動向以外の社会情勢があまりにも不安過ぎて、未来を想像することが怖くなるほどである。
インフレがどの程度まで上昇していくのか?
円安水準が約30年前と同水準となり、インフレ圧力の大きな要因となっている。現在、世界で続いて起きている紛争により、エネルギー価格の上昇、そして肥料や飼料が輸入できなくなることにより国内の畜産や農業までに影響が出始めている。しかし、国内の給与は上がっていないので、多くの国民が困窮化し始めてくる。2024年は今以上にインフレが進行するので、社会は荒んだ雰囲気になると思っている。
世界の紛争はどうなっていくのか?
ウクライナ紛争に続き、パレスチナで紛争が勃発した。パレスチナ紛争がイランまで及ぶことになり、仮に日本の原油の90%以上が通過するホルムズ海峡が封鎖されることになれば、日本経済が大混乱に陥ることは間違いない。
そして、この流れで第三次世界大戦、もしくは台湾紛争までに広がることになれば、日本経済への影響は計り知れないことになる。現在、パレスチナで民族大虐殺が起きていることを見れば何が起きても不思議ではない。本当に恐ろしい世の中になっている。
パンデミックは再来するのか?
自民党のモデルナ社のmRNAワクチン工場の誘致計画において、今後8年間で4000万人分(約1兆円分相当)のワクチンの買い取り保証を出すとの話がある。よく分からない話ではあるが、今後もパンデミックがやってくることが前提かのような動きであると勘ぐってしまう。
いずれにしても、新型コロナの感染が2022年で終わったとは思えないし、インフルエンザのように定期的にやってくるウィルス感染症の一つという位置づけになると考えている。仮に、新型コロナの感染が再度広がれば、大きな社会的な不安となることも間違いない。
イノベーションの発想を持つことが成長へのカギ
我々の市場となる住宅塗装市場は現状でもかなり厳しい状況である上に、これだけ多くの社会情勢の不安要素を抱えている。上記の三つの懸念事項が一つだけでも現実になってしまえば、我々の事業に大きな影響を与えることになる。事業計画を作ろうと思っても、どうしても弱気な気持ちが前面に出てしまう。日本経済を見ると、巨額な資産を持つ約800万人の団塊の世代が市場から段階的に撤退していくという超巨大なインパクトのある話もあり、あと20年で次の大きな人口層となる団塊ジュニアも市場から消えていくことになる。すなわち、20年後からは、日本という国は本当にアジア圏の小国というポジションになっていく。こんなことを考えながら、事業計画書を作っている。
こんな時代だからこそ、イノベーションという発想が重要なのであろう。今の活動の延長線でできる「カイゼン」では、前進さえもできない時代なのかもしれない。今までにはない発想を持って取り組む「イノベーション」でしか、大きな成長は見込めないのかもしれない。事業計画に沢山のイノベーションを盛り込んでいきたい。
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このコラムの寄稿者と運営者
【コラム寄稿者】
株式会社アステックペイント
菅原 徹
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株式会社アステックペイント 代表取締役
2000年10月に株式会社アステックペイントを創業して以来、高付加価値な住宅用塗料の研究開発・製造・システムやアプリ開発・販促支援など、あらゆる角度から塗装業界の発展を目指し、事業展開している。
【運営会社】
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AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。2020年以降、遮熱塗料国内メーカーシェアNo.1を連続獲得中。