戸建住宅の塗装工事で“石綿の事前調査”が必須に!調査に必要な資格を徹底解説

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石綿(アスベスト)関連法規の改正を受けて、塗装などの改修・解体工事の際、石綿含有建材(吹付け石綿・断熱材等・成型板等)の事前調査・報告が、義務化されていることはご存知でしょうか?

戸建住宅の塗装・カバー工事などの改修工事においても、大きく影響を及ぼす可能性がある法改正です。2023年10月からは有資格者による建物調査が義務化となるため、今から資格取得の対策が必要です。

そこで今回の記事では、そもそも石綿とは何か、具体的な法改正のポイント、どんな準備が必要なのか、ご紹介いたします。

※アスベスト:石綿(「いしわた」または「せきめん」と読む)と同義語です。以下、「石綿」と表記します。

石綿(アスベスト)とは

※イメージ写真

石綿とは、繊維状の天然鉱物であり、極めて細い繊維状の物質です。建築分野では、スレート屋根・窯業系サイディング板、断熱材や仕上塗材などの原材料として広く使われていました。

ところが、微細な石綿を吸い込むことで、肺がんや中皮腫を発症する恐れが判明し、段階的に規制が強化されました。そして、2006年には石綿含有率が0.1%を越える製品の製造や使用等が禁止されました。

また、石綿含有が禁止される前に製造された建材も、改修工事や解体工事で飛散のおそれがあるため、段階的に規制が強化されています。

石綿に関する法改正のポイント

※イメージ写真

ここからは、法改正のポイントについてご紹介いたします。
改修工事などで建材の破壊を伴い含有石綿の飛散が懸念される場合など、戸建住宅を含むすべての建物を対象に石綿含有建材の調査・報告についてさまざまな義務が発生することになります。

法改正の施行日 要点 法改正の主なポイント

2021年4月から

石綿含有建材レベル3(※)も規制対象に追加

※住宅屋根用化粧スレート・窯業系サイディング・ロックウール吸音天井板などが該当する。

規制対象ではなかった石綿含有建材のレベル3も対象となり、作業基準の遵守が必要になる。

刑事罰が適用

適切な飛散防止対策を講じずに作業を行った場合、刑事罰が適用される。

元請業者 および 自主施工者だけでなく、下請負業者も刑事罰の対象となる。

2022年4月から

建物の事前調査と調査結果の報告が義務化

石綿含有建材の有無にかかわらず、全ての建物に事前調査が必要になる。

100万円以上の工事は労働基準監督署・自治体への報告義務がある。

全ての工事でお客様への調査結果の報告義務がある。

2023年10月から

有資格者による事前調査が義務化

一般建築物石綿含有建材調査者の資格者による事前調査が必要になる。

重要!法改正に伴う必要事項まとめ

個別に現場作業をする上での対応方法については不明確な部分もありますが、「2023年10月からの有資格者による事前調査の義務化」に向けて、少なくとも以下、4項目の準備が必要となります。
※2022年4月現在、アステックペイント調べ

    「一般建築物石綿含有建材調査者」の資格取得
  「石綿作業主任者」の資格取得
 作業者への「石綿取扱い作業従事者特別教育」の受講
 報告用システムの登録(gBizID取得)

石綿の事前調査・工事作業のために必要なこと

※イメージ写真

前章でご紹介したように「2023年10月からの有資格者による事前調査の義務化」を除き、各種業務の義務化はすでに開始されています。「自社 ・協力業者で対応可能か」を振り返りながら確認していきましょう。

石綿に関する資格一覧

まずは、石綿に関わる資格について一覧表でご説明します。

資格名

分類

受験条件

推奨取得者

特定建築物石綿含有建材調査者

事前の建物調査

(※)

実務経験など各種条件(下表参照)もしくは石綿作業主任者の資格取得者

営業もしくは現場管理

一般建築物石綿含有建材調査者

一戸建て等石綿含有建材調査者

石綿作業主任者

工事作業

不要

職長

石綿取扱作業従事者特別教育

不要

職方

※石綿含有建材の事前調査とは:
建築物や工作物などの解体や改修工事のため、既存建材を撤去する場合などに、あらかじめ、対象範囲の石綿等の使用を確認する必要があります。その方法としては、設計図書での確認や目視、対象建材を採取し分析により石綿の含有を調査する方法があります。

「建築物石綿含有建材調査者講習」や「石綿作業主任者技能講習」の受講を希望される方は、下記の講習会情報をご参照のうえ、各講習機関まで直接お問合せください。

石綿関連の各種講習会情報(厚生労働省)https://www.ishiwata.mhlw.go.jp/course/

また、各種資格取得に対し助成金がある自治体も一部あるので、最寄りの市区町村の役所や役場などにお問合せください。

石綿の事前調査に関わる資格取得

2023年10月から、有資格者による事前調査が義務化されるため、建築物石綿含有建材調査者の資格が必要となります。

これは「登録機関で講習を受講し、講義終了後の筆記試験に合格した方には、事前調査に必要な知識を有していることを認められる」という資格です。

建築物石綿含有建材調査者の講習を受講するには、以下の受講資格が必要です。

建築物石綿含有建材調査者の受講資格

区分

学歴等

実務経験年数

1

学校教育法による大学(短期大学を除く。)において、建築に関する正規の課程またはこれに相当する課程を修めて卒業した者

卒業後の建築に関する実務経験年数:2年以上

2

学校教育法による短期大学(修業年限が3年であるものに限り、同法による専門職大学の3年の前期課程を含む。)において、建築に関する正規の課程またはこれに相当する課程(夜間において授業を行うものを除く。)を修めて卒業した者(専門職大学の前期課程にあっては、修了した者)

卒業後の建築に関する実務経験年数:3年以上

3

「2」に該当する者を除き、学校教育法による短期大学(同法による専門職大学の前期課程を含む。)または高等専門学校において、建築に関する正規の課程又はこれに相当する課程を修めて卒業した者

卒業後の建築に関する実務経験年数:4年以上

4

学校教育法による高等学校または中等教育学校において、建築に関する正規の課程またはこれに相当する課程を修めて卒業した者

卒業後の建築に関する実務経験年数:7年以上

5

「1~4」に該当しない者(学歴不問)

建築に関する実務経験年数:11年以上

6

建築行政または環境行政(石綿の飛散の防止に関するものに限る。)に関わる者

実務経験年数:2年以上

7

7-a 特定化学物質等作業主任者技能講習(※1)を修了した者
7-b 第一種作業環境測定士(※2)または第二種作業環境測定士(※3)

石綿含有建材の調査に関する実務経験年数:5年以上

8

 

8-a 石綿作業主任者技能講習(※4)を修了した者(実務経験年数不問)

8-b 石綿作業主任者技能講習(※4)を修了した者

石綿含有建材の調査に関する実務経験年数:5年以上

9

産業安全専門官もしくは労働衛生専門官、産業安全専門官もしくは労働衛生専門官であった者(※5)

10

労働基準監督官として従事した経験を有する者

従事経験年数:2年以上

11

11-a 建築物石綿含有調査者で、建築物石綿含有調査者として石綿含有建材の調査に関する実務経験年数が2年以上の者

11-b 建築物石綿含有調査者で、受講資格区分番号「1~7、8-b~10」に該当する者

資格を取得するためのオススメの方法

上記8の「石綿作業主任者技能講習」を受講してから、「建築物石綿含有建材調査者講習」を受講することをオススメします。その理由は以下の2つです。

①実務経験年数が足りなくても、建築物石綿含有建材調査者講習の資格取得が可能
石綿作業主任者技能講習は実務経験年数に関係なく受講できます。

②建築物石綿含有建材調査者講習の内容が難しい
石綿作業主任者技能講習の受講によって、石綿に関する知識を取得しておいた方が理解しやすく、合格しやすいためです。

なお調査者の資格には「特定建築物石綿含有建材調査者」「一般建築物石綿含有建材調査者」「一戸建て等石綿含有建材調査者」の3種類があります。
屋根・外壁などの改修工事の場合、「一般建築物石綿含有建材調査者」の取得がオススメとなります。

※2022年4月の記事執筆時点で、「特定建築物石綿含有建材調査者」と「一般建築物石綿含有建材調査者」では、行える業務に違いはありません。

※「一戸建て等石綿含有建材調査者」は、一戸建ての住宅または共同住宅の住戸の内部(住戸の専有部分を指し、共同住宅の住戸の内部以外の部分(ベランダ、廊下等共用部分)及び店舗併用住宅は含まれない)の改修・解体前の事前調査に限られます。

石綿作業に関わる資格取得について

「石綿含有建材」または「石綿含有と見なした建材」の改修工事を行う場合、作業中の石綿の飛散防止対策のため作業主任者の選任が必要です。そこで、作業主任者となるために、「石綿作業主任者技能講習」の受講が必要です。

また、作業主任者の指揮・監督の下で作業する作業者には、「石綿取扱い作業従事者特別教育」の受講が必要となります。「石綿 特別教育」で検索すると、特別教育を実施している様々な機関がありますので、そういった外部機関での受講をオススメします。

まずは「石綿事前調査結果報告システム」の登録を

※イメージ写真

2022年4月から石綿含有建材の事前調査は、労働基準監督署・自治体への報告義務があります。原則として、調査結果の報告は、「石綿事前調査結果報告システム」から行うことになります。

石綿事前調査結果報告システム:https://www.ishiwata-houkoku.mhlw.go.jp/shinsei/

※システム利用は、事前に専用IDの取得が必要です。詳しくは、下記の案内書をご参照ください。また、登録には数週間から1ヶ月以上かかるため、早めの登録をオススメします。

参考資料「石綿事前調査結果報告システムの利用準備の流れ」:https://jsite.mhlw.go.jp/oita-roudoukyoku/content/contents/001074028.pdf

※システムを利用できない場合、紙での報告も可能です。書面で報告する場合は、労働基準監督署および自治体の2箇所への報告が必要となるため、システムの利用が効率的になります。

まとめ

石綿含有建材の取扱いに関する法改正について、そもそも石綿とは何か、具体的な法改正のポイント、事前調査・報告、作業に必要な資格をご紹介しました。

本記事執筆時点(2022年4月時点)では、石綿含有建材調査および報告が義務付けられています。また、2023年10月からは有資格者による調査が必要となります。

石綿対策が必要となる工事やその対策など、アステックペイントでまだ不明確な部分もありますが、上記の各種資格や報告用IDは確実に必要です。早めの取得を行い、対策を講じることを推奨いたします。

石綿対策について、引き続き情報収集を行い、逐一情報発信していく予定ですので、続報をお待ちください。

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