幅広く使える万能下塗り塗料「エポパワーシーラー」開発秘話
昨今、高耐候性や機能性に優れた上塗材が数多く発売されております。ただ忘れてはならないのが、全ての上塗材は下塗材があって建材に使用することができるという事です。
下塗材は、下地と上塗材の密着力を高める役割を担っているため、上塗材単体では施工したとしても付着力が弱く、早期の不具合に繋がりかねません。
今回の記事では、アステックペイントのシーラー系下塗材の出荷量No1を誇る「エポパワーシーラー」について、開発者である山田凜さんへのインタビューを元に開発秘話について詳しくご紹介します。
エポパワーシーラーとは
タイプ | 水性形一液屋根外壁用エポキシ系下塗材 |
色ラインナップ | 「透明・白・グレー」の3色 ※2016年の発売当初はカラーバリエーションが2色(透明・白色)でした。 その後、上塗材の色による隠蔽性を高めるために、グレー色を追加しています。 |
エポパワーシーラーが多くの塗装店様に支持される要因は、
①各種下地に幅広く適用できる ②水性一液のため汎用性が高く、使い勝手が良い
という部分が挙げられます。
エポパワーシーラーは、取り扱いが安全な水性系であり、作業性が良い一液タイプでありながら、カチオン系マイクロエマルション樹脂とエポキシ樹脂を配合したことで、各種下地に幅広く適用可能な下塗材になっております。
エポパワーシーラーが誕生した理由
2016年当時、当社では水性2液タイプの下塗材しかなく、使い勝手が良い水性1液タイプの下塗材の開発が望まれていました。
また下塗材として、塗料業界では下地への付着性に優れるというキャッチフレーズでカチオン系の浸透形シーラーが注目されており、他社品を上回る性能を目指し開発を進めました。
エポパワーシーラー開発ストーリー
私が本製品に携わったのは、入社してから4年目のときでした。
今まで、上塗材の開発に携わった経験はありますが、下塗材に関しては、私としてもアステックペイントとしても初の試みでした。
ただ、下塗材に関しての知識が乏しかったので、まずは「カチオン系樹脂とは何か」といった、使用されている成分にどんなメリットがあるかなどを理解することから始まりました。
新たな成分への順応
他社品の性能把握を行っている中で、市場により求められる下塗材の塗膜性能は「浸透固着力」と「付着力」であることが判明しました。そのため、樹脂の探索に数ヶ月を要して「カチオン系マイクロエマルション樹脂」を採用しました。
ただ、カチオン系の樹脂はその性質上、一般的な塗料の開発・製造に使用されるアニオン系の原料と併用できない※ため、今までとは異なるカチオン系の樹脂に適した原料を探し、目標の性能を引き出ことに試行錯誤しました。
※プラスに帯電したカチオン系樹脂にマイナスに帯電したアニオン系原料を混ぜた場合、粒が無数に発生してしまいます。
また、当社工場にもエポパワーシーラーの製造時は、アニオン系塗料製造時に使用した器具や容器を併用しないように注意喚起と製造工程の見直しを行いました。
新たな塗料缶の探索
エポパワーシーラーは弱酸性を示すため、通常の一斗缶ではエポパワーシーラーに接している面が酸化してしまい、缶内部で錆が発生する可能性がありました。そのため、缶内部の発錆防止対策を施した一斗缶の探索も必要でした。
開発の成果
シーラー系の下塗材は、他の塗料と比較して粘度が低く流動性が高いため、細部にまで浸透しやすい傾向にある反面、吸い込みがない下地では、はじきが発生しやすいという課題がありました。
特に打設直後のシーリング材表面では、シーリング材に含まれる溶剤成分の影響により、シーラーがはじかれる事例も存在した。
そのため、シーラーとしての流動性を保ちつつ、はじかれにくい下塗材であることも目標の1つとして掲げておりました。
この課題に対して、エポパワーシーラーの製品開発では、塗料の粘度調整と添加剤によってはじきの防止効果が期待できると考え、様々な添加剤との組合せ試験を行うとともに、配合を調整してきました。
その結果、他社同等製品よりも優れたはじき防止効果を有する塗料を開発することができました。
しかし、シーリング材には多くの種類があり、すべての製品でシーラーのはじきを解消できず、悔しい思いとなりました。ただ、最終的には約2年半の歳月を経て、無事、他社品を上回る製品を開発することができました。
これからの目標・願望
今回のエポパワーシーラーのように、「加盟店様や会社に貢献できる製品」、さらに、これまでの塗料用原料だけでなく、別業界での原料を上手く使いこなし、今まで以上の塗料を開発して行きたいと思います。
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