ジョイントシールドとは?タイル目地の吸水防止材を詳しく紹介
集合住宅やオフィスビルなどの外壁に多く用いられている磁器タイル貼りの外壁ですが、経年劣化が進行すると、タイルの浮きや剥離などの不具合が生じる場合があります。
今回は、磁器タイル(目地モルタル)部分への雨水の浸入を防ぎ、タイルの付着力低下を予防できる「ジョイントシールド」を紹介します。
目次
磁器タイルに発生しやすい劣化症状
磁気タイルには、経年とともに劣化が進行し、防水効果が低くなってしまうことで、タイルの浮きや剥離が発生することがあります。
磁器タイル目地の吸水防止材「ジョイントシールド」
特徴 | 詳細 |
仕様 | シラン系吸水防止材 |
用途 | 磁器タイル外壁 |
機能 | 防水性、耐久性、通気性 |
特徴 | 意匠性の維持 |
ジョイントシールドは磁器タイルの目地部に塗装することで、モルタル目地表層内に吸水防止層を形成する「吸水防止材」です。
他のメンテナンス材と比べて、「塗装前後で外観の変化なし」 「次回改修時において塗装可能」という大きな特徴があります。期待耐用年数においても、他のメンテナンス材同等の性能を発揮することができます。
吸水防止材 (ジョイントシールド) | 撥水材 | クリヤー塗料 | |
塗装後の外観 | 塗装前と変化なし | 目地が濡れ色 | 表面に塗膜を形成 |
機能 | モルタル目地部表層内に吸水防止層を形成 | 表面に撥水層を形成 | 艶が出る 目地が濡れ色 |
機能 | 目地が吸水しない 目地が通期する | 全面で雨水をはじく | 全面で雨水を遮断する |
期待耐用年数 | 7~10年 | 表記なし | 10年(シリコンの場合) |
次回改修 | 塗装可能 | 塗装不可能 | 塗り潰し(色付け) 塗装のみ可能 |
ジョイントシールドの機能
防水性
ジョイントシールドの「シラン成分」がモルタル目地部に浸透することで、目地部の砂分(ケイ素)と反応します。その結果、目地部に吸水防水層を形成します。防水性を発揮することで、磁器タイルの浮きや剥離の原因であるタイル目地からの水分の侵入や、それに伴うタイルの付着力低下を防ぐことができます。
ョイントシールドの塗装前後の写真です。塗装前のタイルに上から水を流すと、目地部分が濡れ色になっているのに対し、塗装後は吸水防止層が形成され、水分が浸透せず目地モルタル表面が濡れ色になりません。
外観・美観の維持
ジョイントシールドは目地モルタル部のみで反応が起き吸水防止層を形成します。タイル面では反応が起こりません。そのため、塗装後はシラン成分が揮発し、タイル面に塗料が付着することなく美観を維持することが可能となります。
吸水防止層の耐久性
■促進耐候性試験2000時間後の吸水率
ジョイントシールドは、目地の深さ約2㎜まで吸水防止層を形成するため、紫外線や温度変化に強いとされています。また、促進耐候性試験結果より、吸水防止効果が約7年継続することも確認されています。
通気性
水分子を通さない微細な網目状の防止層である一方、水蒸気や湿気は通す構造になっています。通気性があるため内部湿気を逃してくれます。
製品概要・製品データ
概要 | 詳細 |
対応下地 | ・磁器タイル(目地モルタル) |
色展開 | ・透明のみ |
製品データ・施工仕様 | 〇 荷姿 ➡ 12kg 〇 塗布量 ➡ 0.20~0.30kg/㎡ 〇 塗布回数 ➡ 2回 〇 工程内 ➡ 3時間以上7日以内 〇 塗装方法 ➡ ローラー、エアレス 〇 希釈 ➡ 不可 |
JIS規格 | 〇 J I S A 6909 建築用仕上材 「透水性」 「温冷繰り返し」 すべて社内試験規格合 〇 「容器の中での状態」「塗装作業性」「塗膜の外観」すべて社内試験規格合格 (参考試験方法:J I S K 5600 塗料一般試験方法) 〇 防汚材料促進評価試験 (土木用防汚材料Ⅰ種) 「耐汚染性」合格 ※社内試験による 〇 浸潰試験 合格 ※社内試験による 〇 コンクリート塗装材料の品質試験方法 「遮塩性」 合格 |
下地処理方法・施工上の注意点
【下地処理】
・漏水箇所はあらかじめ水が浸入しないように処置を行う。
・塗装する下地は、清浄かつ、十分に乾燥させる。
・雨上がり後は、下地が均一に乾いて(濡れ色が消えて)から施工する。
【施工上の注意点】
・フッ酸系の酸性洗浄剤の酸やアルカリ性洗浄剤のアルカリが残っている状態で、塗装は行なわないでください。タイル面に白化や汚染を生じる可能性があります。
【白化して汚染した事例】
・劣化している目地モルタルに関して施工を行わないでください。
・雨や強風、結露等の悪天候およびこれらが予想される場合には施工を避けてください。
・5℃以下、湿度85%以上での施工は避けてください。(低温時の場合は反応効果が遅延する可能性があります。)
・塗り残しがないように丁寧に塗装し、水平面に材料が溜まらないように十分注意してください。
・エアレス施工の場合には塗装ロスが大きくなりますので、塗布量の上限値を目安にしてください。
・上記塗布量および塗回数は下地の材質・状態等で増える場合があります。
・危険物第4類アルコールに属しますので、火災や中毒などのおそれがあり、保管や取扱いには十分に注意してください。
・常時水没(水圧)する場所での施工は避けてください。
まとめ
今回は磁器タイル(目地モルタル)部分への雨水の浸入を抑制できるシラン系1液吸水防止材「ジョイントシールド」をご紹介いたしました。営業活動並びに施工品質向上にお役立て下さい。
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この記事の監修者と運営者
【記事監修】
株式会社アステックペイント
谷口 智弘
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谷口 智弘
株式会社アステックペイント技術開発本部 本部長
住宅用塗料市場のマーケティング分析・品質管理を行う「商品企画管理室」、塗料の研究・開発を行う「技術開発部」、塗料の製造・生産・出荷を行う「生産部」の3事業部を統括するマネジャーとして、高付加価値塗料の研究・開発を行っている。
【運営会社】
株式会社アステックペイント
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株式会社アステックペイント
AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。2020年以降、遮熱塗料国内メーカーシェアNo.1を連続獲得中。
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