冬場に注意したい!水性塗料の凍結について

現場の研究 塗料・塗装のQ&A不具合塗料 2025.01.13 (最終更新日:2025.01.14)
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水性塗料は、溶剤塗料と比較して環境に優しく、臭気が少ないため、多くの現場で使用されています。しかし、冬季や寒冷地では凍結のリスクが存在し、適切な対応が求められます。

本記事では、水性塗料が凍結するメカニズムと凍結が塗料に与える影響、そして凍結を防ぐための効果的な対策について解説します。冬の寒さが厳しい状況でも安心して塗装作業を進めるために、必要な知識を身に付けましょう。

水性塗料とは

※イメージ写真

水性塗料とは、水を溶媒として使用した塗料のことを指します。水性塗料は、シックハウス症候群や大気汚染の一因とされる「VOC(揮発性有機化合物)」の排出が少ないため、環境や人体への影響が少なくなっています。さらに、低臭で取り扱いやすいという特徴もあり、室内での使用にも適しています。

しかし、水性塗料は水を溶媒として使用しているため、気温や湿度に大きく影響を受けやすい特性があります。そのため、水性塗料には気候条件に応じた適切な対策が必要です。

冬場の凍結の事例

水性塗料は、気温や湿度に大きく影響を受けやすい特性があるため、冬季の現場に塗料を置いている場合、凍結などの不具合が発生する可能性があります。実際に毎年冬季には、水性塗料の現場保管が原因となる塗料不具合のお問い合わせをいただきます。以下に実際の事例を紹介します。

凍結事例

施工場所関西エリア(一般住宅街)
施工時期1月
状況最低気温が0℃を下回る日が続く屋外で、足場下にブルーシートを被せ、塗料缶を数日保管。 その後、塗料が凍結し、粒・ダマが発生。

水性塗料の凍結のメカニズムと影響

この章では、水性塗料が凍結するメカニズムと凍結が塗料に与える影響をご紹介します。
メカニズムを理解することで、凍結を防ぐ対策の重要性が明確になります。

水性塗料の凍結のメカニズム

水性塗料は、水に樹脂と顔料が分散している塗料です。気温が0℃以下になると、水性塗料を構成する水分が凍結し、その体積が膨張します。この凍結により、塗料の樹脂が押しつぶされることがあります。その後、気温が上がることで凍った水分は水に戻りますが、一度押しつぶされた樹脂はそのまま固まり、粒状になることがあります。
この過程を繰り返すことで、次第に樹脂が凝集し、一部がダマのような状態になることがあります。

イメージ図:水性塗料の凍結

水性塗料の凍結が与える影響

塗料が凍結すると、その性能に変化が生じます。そのため、凍結した水性塗料は解凍後も元の状態に戻らず、劣化や変質が発生します。これにより、塗料の粘度が変わり、塗装時の施工性が低下する可能性があります。また、塗膜が均一に形成されず、剥がれやすくなることもあります。

このことから、解凍した塗料が変質している場合、施工後にひび割れや剥がれが発生することがあります。特に塗膜の剥がれは、美観や保護機能に悪影響を及ぼすため、再塗装が必要となり、コストや時間の無駄を引き起こすことになります。

塗料が凍結した場合の対処法・適切な保管方法

ここまでは、水性塗料の凍結の事例や発生メカニズムを紹介しました。この章では、凍結が発生した際の対処法や防止対策をご紹介します。

【凍結が発生した際の対処方法】
・従来の性能を発揮できない恐れがあるため、凍結した塗料は廃棄してください。

【適切な保管方法】
・缶のふたを密閉した状態で保管を行う。
・0℃を上回る屋内で保管を行う。
※やむを得ず屋外で保管する場合は、外気温が0℃以下にならないことを確認してから保管してください。

これらの対策を徹底することで、水性塗料の凍結リスクを防ぎ、品質を確保することができます。

まとめ

水性塗料の凍結は、適切な対策を講じることで防ぐことができます。この記事を通して、凍結の原因や対策方法についての知識を得ていただけたのではないでしょうか。万が一のトラブルを防ぎ、品質の高い仕上がりを実現するために、改めて注意と対策を徹底して塗装作業を行いましょう。

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この記事の監修者と運営者

【記事監修】
株式会社アステックペイント 
谷口 智弘

【記事監修】
株式会社アステックペイント 
谷口 智弘

株式会社アステックペイント技術開発本部 本部長
住宅用塗料市場のマーケティング分析・品質管理を行う「商品企画管理室」、塗料の研究・開発を行う「技術開発部」、塗料の製造・生産・出荷を行う「生産部」の3事業部を統括するマネジャーとして、高付加価値塗料の研究・開発を行っている。

【運営会社】
株式会社アステックペイント

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株式会社アステックペイント

AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。2020年以降、遮熱塗料国内メーカーシェアNo.1を連続獲得中。

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