現場の研究 2021.03.29

【水性塗料の結露対策】結露による不具合事例と対策方法

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水性塗料は、水分が揮発しながら塗料が硬化していき、成膜していきます。成膜の最中に過剰な水分が供給されると、成膜が進まず、塗料が流されてしまう場合があり、特に降雨の際には、水分が揮発しにくくなるため、塗装店の皆様は気温や天候に気を配られていることかと思います。

しかし、結露が発生しやすい環境でも塗料が流れてしまう場合があることをご存知でしょうか?本記事では、「結露」による塗料の流出事例とメカニズム、予防策、対応策をご紹介いたします。

結露で塗料が流出した事例とその要因

流出が発生した現場の情報

施工時期9月下旬
立地山間部
下地金属屋根(折半屋根)
仕上材水性上塗材
施工方法吹付け
施工時の気温25℃以上
施工時および前後の天候晴れまたは曇り
備考前年の10月に別の建物で同様の工事を実施した際には、異常は確認されませんでした。

現場の情報だけを見ると、施工に適した環境のように思われますが、大量の結露が発生し塗料が流出してしまいました。

結露が発生した4つの要因

結露の発生要因詳細
①施工終了後の急激な気温の低下施工終了時から深夜0時にかけて、気温が約10℃低下
※施工終了時(14:30) 気温27.4℃
→深夜0時 気温17.6℃
②湿度の高い環境深夜0時~朝方5時にかけての湿度が100%
③下地温度の低下熱伝導性が高い金属が下地だったため、低温時に下地の温度が低下したと推測
④施工方法が吹付け下記の2つの事象により、塗料の成膜に時間を要することとなったと推測
①吹付けの重なり部分で、塗膜が厚くなりやすかった
②吹付けするために希釈をしたことで、塗料中の水分量が比較的多くなっていた

結露による塗料が流出したメカニズム

結露発生前の塗膜の乾燥を促す3つの方法

塗料が流出するほどの結露発生は、予想が難しい側面もありますが、結露が予測される現場では結露が発生する前にできるだけ塗膜を乾燥させることで、流出を予防できます。

■結露発生前の塗膜の乾燥を促す3つの方法

①施工終了時間を早くし、十分な乾燥時間を確保する
(本事例の場合:14時半終了→13時半終了)

②塗膜の乾燥を促進させるため、1回あたりの塗布量を減らして塗布回数を増やす
(本事例の場合:2回→4回)

③水性塗料を使用する場合、希釈量を減らす
(本事例の場合:希釈率8%→5%)

塗料が流出した場合の対応策

塗料が流出した場合には、塗膜への影響のみか、周辺環境への影響があるかによって、対応策が異なります。

■塗膜への影響のみの場合
塗料が流出し、塗膜にしわが寄った場合は、該当箇所の塗膜を除去し、再塗装することになります。
周辺環境への影響があった場合
河川など外部に塗料が流出してしまった場合は、再塗装だけではなく、下記の対応が必要となります。
①溝や土手などを作り、塗料流出の拡大を防ぎ、流出した塗料を回収する。
②現場の市区町村役場など、自治体の代表窓口に報告・相談する。※
※河川や道路など、流出した場所や範囲によって届け出先が異なります。
そのため、まずは、市区町村役場など自治体の代表窓口にご相談ください。なお、成分表やSDSの提出を求められる場合があります。その際は、製造メーカーからお取り寄せください。

まとめ

結露による塗料の流出事例と予防策、塗料が流出した場合の対応についてご紹介してきました。

急激な温度変化と湿度によって大量の結露が発生した場合、降雨がなくても塗料が流されてしまうことがあります。結露発生を予測するのは現実的には困難な部分もありますが、塗布後、日中にできるだけ塗料を乾燥させることで予防することは可能です。

塗料を取り扱う企業には、塗料が流出しないように配慮する責任がありますので、今後の塗料の乾燥時間の設定の際に本記事をご参考いただけますと幸いです。

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