先師を偲ぶ


私の人生にとって、最も大切な方の一人が亡くなった。
アステックペイントの成長の陰で必ず傍に寄り添い、いつも支えてくださった。先生は大手塗料メーカーの顧問を歴任しながらも、当時は売上2億円にもいかない小さな我々の会社の顧問になっていただいた。
最初の出会いはおそらく16年ほど前で、掘っ立て小屋で和式トイレしかないような当社の事務所に訪問いただいた。
その時、私はまだ35歳くらいで、私のことを若い経営者と聞いていたためか、当社に訪問された時にたまたま対応した若手社員を私(社長)と勘違いして、2時間ぐらい塗装業の未来についてその若手社員と語りあったという話は最近でも笑い草になっていた。
プロタイムズ誕生のきっかけ
当時、当社は工場の屋根塗装を中心に塗料を拡販していたが、住宅塗装にシフトするための営業支援をしていただくことになった。業界としても、住宅塗装の元請け化というのは大きな関心事でありながらも、成功事例はまだ少なく、先生の実績をベースにしながら数多くの勉強会を開催してきた。
最も大きな成果となったのは「元請け1億円化プロジェクト」という勉強会で、たくさんの加盟店の皆様に参加いただいた。そして、このプロジェクトがプロタイムズ誕生のきっかけとなった。
今でも鮮明に覚えているが、東京駅の大丸のレストラン街でランチを一緒に取ることになり、お好み焼き屋さんの列に並びながら私がプロタイムズ構想を熱っぽく語り、お好み焼きを食べながらその支援にご協力いただけるという同意をもらった。
それから、まさしく二人三脚という言葉が相応しいと思うぐらい、常にご一緒させていただいた。全国隅々まで出張で一緒に回り、そして膨大な時間の会議を重ねて、今のプロタイムズができあがってきた。
これからについて
今まで、プロタイムズにもアステックペイントにも数知れないほどの危機が訪れた。そのつど相談させていただき、いつも背中を押してくれ、突破口を開いていただいた。
私は本当に甘えていたのだと思う。どれほど我儘に甘えても、いつも暖かく包み込んでいただき、私の成長を後押ししていただいた。これまでの人生において、これだけ我儘に甘えられたのは先生だけだったと思う。
これから先生無しで歩んでいくことになるが、50歳を超えた私はもう少し大人にならないといけない。本当の悩みを相談できる人がいなくなることの寂しさを感じている。
超ポジティブな私でも、まだ前向きな言葉が出てこない。もう少し時間がかかるのであろう。