テキサス視察2023-塗装業界で「イノベーション」を起こす-

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<2023年9月号アステックペイント定期発行物ホットラインより>

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アメリカ企業視察ツアーとは

アメリカ
※イメージ写真

2023年9月10日から15日にかけて、船井総合研究所が主催するアメリカ企業の視察ツアーに参加し、テキサス州のダラス・オースティン・サンアントニオの三都市を回ってきました。「グレートカンパニーツアー」と呼ばれるこのツアーには、コロナ前の2019年にも参加しており、シリコンバレーやシアトルなどを巡り、当時はまだ無名だったZoom(ズーム)の本社や、アマゾンの無人店舗などを訪問していました。

このように、今となっては日本で当たり前になっていることが、アメリカで先行して実現していることが多々あります。アメリカの今の動きを知ることで、日本で数年後に起こることが想像できるという意味合いにおいては、注目されている先進的な企業の訪問はかなり有意義なことだと考えています。

さらに、今回はテキサス州の視察ということもあり、尚更参加したいと思っていました。その理由は、トヨタ本社やテスラの本社・工場がカリフォルニア州各地から、オラクルのような大手IT企業でさえもシリコンバレーから、テキサス州へ拠点を移しているためです。このように、アメリカの中心がニューヨークやカルフォルニアから、テキサスに移りつつあると感じているところに、このグレートカンパニーツアーの案内があったため、喜んで参加したという経緯でした。

テキサス州の現状

テキサス
※イメージ写真

結果として、動向を聞く限り、間違いなくテキサス州はアメリカで最も成長しているエリアであり、今後もこの動向は変わることはなく、世界でも大きな影響力を及ぼすエリアになると確信できました。人口の伸び率・企業の移動数・投資金額・新規企業の発生数などが、それを裏付けています。だからこそ、テキサスで活躍している企業を見ることの重要性を感じました。

今回は6日間で、8社の企業と9社の店舗の訪問、ゲスト9名による講演、と盛り沢山のツアーでした。各企業訪問の詳細は割愛しますが、「イノベーション」という言葉が私にとってのキーワードとなりました。

日本で一般的に行われていることは、現在の延長線で可能な変化や進化であり、それを「カイゼン」と呼ぶことができると思います。「カイゼン」は、日本の素晴らしき文化であり、カイゼンを続けることで企業は確実に成長を継続できると思っています。

しかしながら、アメリカで見た現実は、現在の延長線ではなく、新しいテクノロジー・仕組み・プラットフォームなどから生まれる「イノベーション」であり、そのイノベーションを起こし続けることにアメリカの凄さを感じました。

時代が大きく変化するとき、もしくはビジネスの前提条件が変わってしまうときは、「カイゼン」では時代の変化についていけないかもしれません。以前であれば、自動車産業においては、トヨタ・日産・ホンダなど多くの企業が存在し、それぞれの力に応じて市場シェアを獲得できていました。同様に、家電市場においては、ソニー・パナソニック・シャープ・三菱電機などがそれぞれ市場シェアを伸ばし続けることができていました。そのような時代においては「カイゼン」により、少しずつ市場シェアを伸ばし続け、勝者となることができたと思います。

これからの時代に生き残る企業

企業イメージ
※イメージ写真

しかし、今の時代においては、GAFAが提供するテクノロジーサービス、AppleのiPhoneやテスラの電気自動車など、限られた企業が市場を独占していく時代になってきています。つまり、1社がほぼ全てを独占し、2位以下の企業は霞(カスミ)しか得ることができないような時代です。このような時代においては、イノベーションを起こした企業が市場を独占するため、従来型のビジネスでさえもテクノロジーをベースとした事業に移りつつあるという傾向を踏まえると、あらゆる業界が一社独占型に移行していくことが想像できます。

すなわち、あらゆる業界において未来の勝者になるためには「カイゼン」ではなく、「イノベーション」を起こすことが求められる時代となってきたと言えると思っています。

塗装業界とイノベーション

イノベーション
※イメージ写真

塗装業界は「イノベーション」とはかけ離れた業界かもしれません。過去30年間、建設業の生産性はほぼ上がることはなく、同じ理由で職人の給与も上がることはありませんでした。塗装業界で使う道具も、刷毛・ローラー・吹付け機など、50年前から何も変わっていません。そのような中で「イノベーション」を求めること自体、土台無理なことと一言で片付けられるかもしれません。

しかしながら、その結果として、塗装職人は高齢化し、若者は業界に入ってこず、給与も30年前とあまり変わらず、社会的地位の向上などとは、ほど遠い現状になっているのではないでしょうか。一方で、オーストラリアの塗装職人は勤務医と同程度の給与であり、多くの職人は、ブール付きの大きな家に住んでいることを目の当たりにしたことがあります。同じような経済環境であり、同じような仕事をしているのに、なぜこれだけの差がついてしまうのでしょうか。

日本においても、塗装業界で「イノベーション」を起こすという考えを持つだけで現状は大きく変わっていくかもしれません。塗装業界のイノベーションとは、職人のIT化・工事の効率性・塗装の低工数化だけとは限らないと思います。例えば、テスラ躍進の一つの理由にディーラーを通さず直販体制をとっていることが挙げられます。他方、建設業界は三次請け・四次請けまで存在し得る業界であり、その階層を減らすことは一つのイノベーションと言えます。

このような改革を行なった企業が、そのエリアにおいて一社独占の勝者となれるのであれば、全ての塗装会社がイノベーションに取り組むべきだと考えます。当然、アステックペイントにおいても、建築塗料業界で様々な「イノベーション」を起こしていきますので、是非とも楽しみにしていてください。


コラム寄稿】株式会社アステックペイント代表 菅原徹

菅原 徹(すがはら とおる)

株式会社アステックペイント代表取締役
2000年10月に株式会社アステックペイントを創業して以来、高付加価値な住宅用塗料の研究開発・製造・システムやアプリ開発・販促支援など、あらゆる角度から塗装業界の発展を目指し、事業展開している。

アステックペイント

運営会社】株式会社アステックペイント

AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。

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