勉強しない経営者が会社を潰す

代表コラム 外壁シーリング材メーカー塗料屋根 2023.02.15 (最終更新日:2024.01.16)
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最近では、「学び直し(もしくはリスキング*)」が注目を集めているようです。ここで言う「学び直し」とは、「変化する社会で、今後必要なスキルや技術を学ぶこと」であり、この「学び直し」の有無によって、労働生産性が大きく変わってくるというデータが出ています。

「OECDデータから見た労働生産性と再教育の関連(日本経済新聞)」によると、日本は他の先進国と比べて「学び直し」が進んでおらず、労働生産性が低くなっています。逆に米国・英国・ドイツなどの主な先進国では「学び直し」が当たり前に行われており、結果として生産性が高いことがわかります。

また経済産業省が昨年2022年5月に発表した「未来人材ビジョン」に記載されているデータを見ると衝撃が走ります。「人材投資(OJT以外)の国際比較(GDP比)」において、主な先進国の中でも日本の人材投資は圧倒的に低く、ほとんどの先進国が年々人材投資を増やしているにもかかわらず日本だけが人材投資を激減させています。このデータ結果は衝撃でしかありません。

さらに驚きなのは、東アジア圏を対象とした調査「社外学習・自己啓発を行っていない人の割合」の内容です。日本の社外学習・自己啓発を行っていない人の割合は46%もあり、調査対象国の中でダントツのワースト1位となっています。従来の「日本人は勤勉である」というイメージと全く異なる実情が明らかになっています。この結果を鑑みると、世界での日本の凋落も無理はないのかもしれません。

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なぜ「学び直し」がされていないのか?

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※イメージ写真

日本社会の99.7%を占める中小企業において、その経営者達は自らの「学び直し」を必要と思っているのでしょうか。間違いなく言えることは、「一般の従業員よりも、むしろ中小企業経営者の方が『学び直し』に取り組む必要性はあるはず」ということです。

私は、中小企業の経営者自身が「学び直し」をしないために、その「学び直し」の有効性を理解できていないのだと考えています。経営者自身が勉強して自らの生産性向上を感じていれば、身の回りにいる幹部社員の「学び直し」、ひいては全社員の「学び直し」の推奨に繋がっていくでしょう。

しかしながら多くの中小企業経営者は、それなりに何度も自身の勘や経験、そして根性によって成功を収めてきた故に、その過去の経験値で経営判断することに固執しがちです。経営環境は常に変化しているのに、その変化に対して新しく「学び直し」をしないことが、結局は会社の成長を止めてしまう原因になっているのではないでしょうか。

もしくは、中小企業経営者自らが「学び直し」をせずに幹部社員や一般社員に「学び直し」の機会を与えた場合、目に見える会社への生産性向上には繋がらないと考えます。そもそも成長していない経営者の元にいる社員は学びに積極的にはなりません。なぜなら経営者自らが社会の変化に対してアップデートしていないため、社員が「学び直し」で知識やスキルを身に付けたとしても、それを活かす機会を放置してしまったり、成長したい社員にその環境を与えられなかったりすることで、結局は無駄に終わってしまうからです。

塗装会社の中小企業経営者は、何についてどう学ぶべきか

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※イメージ写真

前述のように、全世界での「学び直し」の潮流に反して、日本では経営者も社員も「学ばないこと」が常態化しています。ただし、経営者がいざ「学び直し」を決意したとしても、そもそも何から学べばいいのか迷ってしまう場合もあると思います。そこでまず考えるべきことは、我々が関わる塗装業界、もしくは住宅リフォーム業界は、「人こそ全て」と言える業界だということです。

職人の数で工事高が決まり、営業担当の数で契約金額も決まっていきます。そのプロセスの中で、AI、IT、ロボットが関わる部分は最小限であり、私たちの業界におけるほぼ全ては「人をベースとしたビジネス」と言ってもいいと思います。通販ビジネスのように、最新のマーケティングテクノロジー、人の心を動かすコピーライティング、最新のWEB広告運用などが売上を大きく左右するビジネスとは大きく異なるのです。

すなわち、「人こそ全て」のビジネスにおいては、人材の能力と努力を最大化できる「マネージメントの学び直し」をすることが最も有効だと考えます。マネージメントは、20年前、100年前のものがそのまま使えるほど、原理原則が確立されています。このマネージメントを自らの経験だけで完結させるのではなく、体系的に学ぶことはかなり有効なことだと思います。

一方で社員の価値観は50歳と20歳では大きく異なり、会社に求めていることも短期間で大きく変化していきます。そう言った部分も許容できる組織でなければいけないため、原理原則の理論以外に、今の社会変化に応じたマネージメントも常にアップデートしておく必要があります。

つまり、経営者は終わりのない「学び直し」をし続ける必要があり、このことが社員に伝染して、社員自らが「学び直し」に積極的な組織となり、結果として会社全体の生産性が上がっていくという流れになっていくと考えます。

*リスキリング…働く人が業務に役立つスキルや知識を学び直す取り組みのこと


コラム寄稿】株式会社アステックペイント代表 菅原徹

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菅原 徹(すがはら とおる)

株式会社アステックペイント代表取締役
2000年10月に株式会社アステックペイントを創業して以来、高付加価値な住宅用塗料の研究開発・製造・システムやアプリ開発・販促支援など、あらゆる角度から塗装業界の発展を目指し、事業展開している。

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