【低汚染塗料でも雨筋汚染は発生する?】汚染の発生要因と対応策を解説!

現場の研究 塗料不具合 2021.03.29 (最終更新日:2024.10.09)
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『低汚染』を謳う塗料の多くは、優れた親水性によって、外壁への汚れの付着を抑制できる塗料となっており、建物の美観を長期間維持できることから人気があります。

親水性による低汚染のメカニズムは以下の通りです。

①塗布した塗料が、水になじみやすい塗膜表面を形成する。
②塗膜表面に付着した雨や湿気が、薄い水分の膜を形成する。
③雨水が、有機質の汚れを洗い流す。

ところが、低汚染塗料を施工していても雨筋汚染が発生する場合があります。本記事では、低汚染性塗料で雨筋汚染が発生した事例と、雨筋汚染が発生しやすい条件と汚染の除去方法についてご紹介いたします。

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雨筋汚染の発生事例

【旧塗膜】スタッコ(モルタル下地)
【仕様】微弾性フィラー+低汚染上塗材
・雨筋汚染は、斜面のみに発生しており、垂直面には確認できない。 雨筋汚染は、斜面の中でも、主に笠木下に発生している。

低汚染塗料で雨筋汚染が発生する要因

冒頭でも触れた通り、低汚染塗料の多くは、優れた親水性による低汚染性が特徴の塗料です。

しかし「汚れが溜まる量(蓄積量)」が「汚れを洗い流せる量(親水性)」を上回ることがあれば、低汚染塗料であっても雨筋汚染を防ぐことができません。
上記のような状況になりやすい条件として、下記5点が挙げられます。

①汚れが溜まる面がある(斜面・笠木面など)
②水切りがない、または水切りが機能していない(窓サッシ周辺、手摺壁など)
③汚れが浮遊しやすい周辺環境の影響(幹線道路沿い・河川沿いなど)
④下地の凹凸が激しい
⑤雨水が当たりにくい

■汚染が発生しやすい条件の具体例

これらの条件が複合的に重なった場合、低汚染性が優れた塗料であっても、汚染が発生することになる場合があります。

今回ご紹介した発生事例の現場では「①汚れが溜まる面がある」「④下地の凹凸が激しい」の条件が重なり、雨筋汚染が発生したと考えられます。

汚れの除去方法と注意点

優れた低汚染性を持つ塗料で発生した雨筋汚染は水拭きによって除去することができます。

【水拭きの方法】
①汚染発生箇所に水を流す。
②柔らかいウェスなどで汚れを拭き取る。
※柔らかいウェスを使用することで、塗膜表面を傷つけずに拭き取ることができます。
※一般的な塗膜の場合、雨筋汚染は、洗浄剤などを使用しても完全に除去することはできません。

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※注意事項
水拭きの際に、ブラシや乾燥したウェスで力を入れて拭くと塗膜に傷がつくため、汚れが取れにくくなってしまいます。

まとめ

低汚染塗料で施工していても汚染が発生する事例について、原因から汚れの除去方法までご紹介しました。
いかに優れた低汚染性を持つ塗料で塗装しても「汚れが溜まる量(蓄積量)」が「汚れを流し落とせる量(親水性)」を上回ることがあれば、雨筋汚染が発生してしまいます。
汚れが気になる箇所がある場合は、本記事の水拭きの方法を参考にしていただきながら、定期的に清掃をすることをおすすめします。

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この記事の監修者と運営者

【記事監修】
株式会社アステックペイント 
谷口 智弘

【記事監修】
株式会社アステックペイント 
谷口 智弘

株式会社アステックペイント技術開発本部 本部長
住宅用塗料市場のマーケティング分析・品質管理を行う「商品企画管理室」、塗料の研究・開発を行う「技術開発部」、塗料の製造・生産・出荷を行う「生産部」の3事業部を統括するマネジャーとして、高付加価値塗料の研究・開発を行っている。

【運営会社】
株式会社アステックペイント

【運営会社】
株式会社アステックペイント

AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。2020年以降、遮熱塗料国内メーカーシェアNo.1を連続獲得中。

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