水性塗料施工後の降雨による泡の発生原因・対策を徹底解説!

お役立ちコラム 塗装不具合 2021.01.06 (最終更新日:2024.01.15)
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皆様は、特に屋根に水性塗料を施工する際、塗膜乾燥までに降雨や結露等の水分によって悪影響を受けないよう、気温・天候には最大限の配慮をされていることと思います。
それでも、屋根に水性塗料を施工後、翌日~数日後の降雨によって雨水桝や排水溝に溜まった水が泡立ってしまい、驚いてしまった経験はないでしょうか。

塗膜に異常が発生したのではないか、泡立った排水をこのまま排出しても良いものかと不安を抱いてしまいます。

一般的に、塗料に含まれる成分は、大枠で合成樹脂・顔料・添加物に分けられます。また、これらの塗料成分を水で溶かすのか、有機溶剤で溶かすかによって、水性塗料と油性塗料に分けられます。

水で塗料成分を溶かしている水性塗料は、そこに含まれる水分が蒸発することによって最終的に塗膜を形成していきます。

本記事では、施工後数日経過した塗膜に雨が当たって雨水に泡が発生する現象について、原因および対策についてご紹介させていただきます。

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塗膜にあたった雨水に泡が発生する原因

泡の発生原因

水性塗膜表面に残存していた「界面活性剤」が、降雨によって運ばれ雨樋を通り、雨水桝や地面へ叩きつけられるなど空気が混入されることにより、石けんの泡のように発泡する場合があります。

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発生した泡の様子
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発生した泡の様子

「界面活性剤」とはなに?

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界面活性剤のイメージ

界面活性剤とは、下図のように「水と馴染みやすい部分(親水基)」と「油と馴染みやすい部分(親油基)」を併せ持ち、水と油のような混ざり合わないもの同士を、混ぜ合わせる働きをする成分です。
一般的に、石けんや洗剤等に広く使用されている成分です。
※石けんや洗剤等の破泡しにくい泡は、水に界面活性剤を含んだものです。

水性塗料に「界面活性剤」が入っている理由

水性塗料の主成分である樹脂は、石油成分から製造されています。そのため、製造された樹脂は水と分離してしまいそのままでは混ざり合うことはありません。そこで、水に樹脂を安定に分散させるため、「界面活性剤」が必要になります。

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この界面活性剤は、水性塗料の樹脂の製造から塗装までの間で必須の添加剤となります。そのため、塗膜になった後の界面活性剤は不要となります。

塗膜形成後の界面活性剤による影響

塗膜形成後の界面活性剤は、塗膜表面では徐々に消失し、塗膜内部では樹脂に取り込まれていきます。そのため、仕上がり(色や艶)や塗膜性能に影響を及ぼすことはありません。

塗料に含まれる界面活性剤の安全性

塗料に含まれる界面活性剤は、環境へ大きな影響を及ぼす有害物質ではありません。そのため、製品の危険性・有害性を示すSDSやGHSにもその影響を示すものは記載されていません。

雨水に泡が発生した場合の対応策

雨水に発生した泡は、以下の方法で処理してください。

消泡剤を少しずつ添加し、泡が消えたことを確認後に雨水として排水する。
※消泡剤の入手方法は、塗料メーカーにお問い合わせください。

バケツ等に移して、生活排水として処理する。

まとめ

この記事では、水性塗料の施工後の降雨による泡の発生についてご紹介しました。

この「塗膜にあたった雨水に発生する泡」は、石けんや洗剤と同様の成分を含んでいます。環境に大きな影響を及ぼす有害物質では無いため、ご安心いただければ幸いです。


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記事監修】株式会社アステックペイント 谷口智弘

株式会社アステックペイント技術開発本部 本部長
住宅用塗料市場のマーケティング分析・品質管理を行う「商品企画管理室」、塗料の研究・開発を行う「技術開発部」、塗料の製造・生産・出荷を行う「生産部」塗装品質の向上のための施工指導を行う「フィールドエンジニア部」を統括する責任者として、高付加価値塗料の研究・開発、塗装現場の品質管理のための活動を行っている。

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運営会社】株式会社アステックペイント

AP ONLINEを運営する株式会社アステックペイントは、建築用塗料を製造・販売する塗料メーカー。遮熱性、低汚染性に優れた高付加価値塗料の研究・開発の他、システム・販促支援など、塗装業界の課題解決につながる事業を展開。

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