上塗り塗料 2021.04.02

【大激戦「ハイクラスシリコン市場」への挑戦】シリコンREVO1000の誕生秘話

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建築用塗料市場の中で、近年大きくシェアを伸ばし、各塗料メーカーがしのぎを削る大激戦カテゴリ「ハイクラスシリコン塗料」

ハイクラスシリコン塗料の特徴は「従来の水性一液シリコン塗料と同等の価格でありながらより高い性能を発揮する点」にあります。そんなハイクラスシリコン塗料市場に切り込むべく、2018年アステックペイントは「シリコンREVO1000」という塗料を開発し、瞬く間に売上を伸ばしていきました。

この塗料を開発したのは、技術開発本部の山田 凜さん。山田さんは2016年に入社し、シリコンREVO1000の研究・開発の主担当を務めました。

今回の記事では、山田さんへのインタビューを元に「シリコンREVO1000開発秘話」をまとめました。ハイクラスシリコン市場への挑戦を始めた背景から、約2年間に渡る開発期間に実感した苦悩や研究開発の魅力について、詳しくご紹介します。

▼シリコンREVO1000の詳しい製品情報はこちらから

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シリコンREVO1000とは

・水性形一液型のハイクラスシリコン塗料。シリコンREVO1000が多くの塗装店様や施主様に人気の理由は「耐候性」「低汚染性」ともに従来のハイクラスシリコン塗料の持つ性能を上回り、また従来のハイクラスシリコン塗料には珍しい「遮熱性」を発揮する点にあります。

高耐候性
シリコン樹脂を豊富に配合し、さらに塗膜の劣化要因「ラジカル」の発生を抑える「ラジカル制御型白色顔料」を採用。期待耐用年数13~16年と高い耐候性を発揮。

②低汚染性
表面が強靭な層で作られているシリコン樹脂の使用により、汚れが付着しにくく他社の同等製品を上回る低汚染性を発揮。

③遮熱性
日射反射率が高く熱を吸収しにくい特殊遮熱無機顔料を採用。温度上昇の要因となる近赤外線を反射する塗膜を形成。

シリコンREVO1000が生まれた理由

激戦市場のハイクラスシリコンに挑戦

戸建て住宅・大型物件修繕用の塗料市場において最も大きなシェアを占めるシリコン塗料。そんなシリコン塗料市場における近年の動きとして、水性一液タイプでありながら、より高い性能を発揮する「ハイクラスシリコン塗料」というカテゴリの塗料が各塗料メーカーから次々に発売されています。

それまでアステックペイントでも様々な種類のシリコン塗料を開発・発売していましたが、2016年時点では、このハイクラスシリコン塗料市場に切り込める製品のラインナップがありませんでした。そのため「ハイクラスシリコン塗料市場に挑戦し、多くの塗装店の方により高品質なシリコン塗料をご提供したい」という想いが強く、ハイクラスシリコン塗料開発に挑戦することにしました。

「REVO=革命」に込められた想い

塗料を設計する上で重要視したのは「他社のハイクラスシリコン塗料に負けない“強み”をどのように作るか?」ということでした。そこで考えたのが下記の2点。

①耐候性・低汚染性において、他社以上の性能を発揮すること
②他社のハイクラスシリコン塗料には少ない「遮熱性」を付与させること

つまり「耐候性、低汚染性などのあらゆる性能において、従来のハイクラスシリコン塗料以上の高性能を誇るような革命的な塗料」を目標として定めました。そして「ハイクラスシリコン塗料市場に革命を起こすような塗料にしたい」という思いを込めて「REVO(Revolution)」という言葉を製品名に採用し、シリコンREVO1000という製品名にすることを決めました。

シリコンREVO1000開発ストーリー

初めての開発担当に苦労する日々

シリコンREVO1000の本格的な研究開発をスタートさせたのは、私(山田)が入社して半年ほど経った2016年11月頃からです(発売の約2年前)。それまで他製品の研究開発サポート業務は行った経験があったものの、自分でイチから開発を担当する製品は初めての経験であったため、非常にワクワクしていたのを覚えています。

とはいえ、塗料の研究開発経験が少ない私にとっては「塗料作りとはどのように進めればよいのか」「試験結果は出たけどこの結果は良いのか?悪いのか?なにか改善したほうが良いのか?」など自身で判断できないことばかりで、毎日が挑戦と失敗の連続でした。

研究に行き詰まったときに、悩んだり疑問に思うことがかなり多く、その度に部署内の開発の知見を持つ先輩方に教わりながら研究開発を進めていきました。

「色合わせ試験」で失敗の連続

研究開発を進める中で一番大変だったのは「発色性の確認試験」でした。この試験は、塗装具の違い(ローラーと刷毛、スプレーと刷毛など)により、色分かれが出ないように確認・調整する試験です。塗料内に添加する樹脂や添加剤の量が少し違うだけで色別れが出てしまうため、塗料中の添加物の調整は非常に重要な作業です。

私がシリコンREVO1000の研究開発を進める上では、この発色性試験が何度試してもうまく行かず、非常に難航しました。試験の度に塗料内に添加する樹脂や添加剤の量を細かく調整していき、あらゆる塗料サンプルのパターンを作りひたすら試験を繰り返していきました。

最終的に試験の合格までに要した時間は約3ヶ月。何度も失敗して、自分で改善策を考えて実行するという流れを繰り返した結果、見事色分かれを抑えることができる配合バランスを見つけることができました。試験に合格できた時はとても嬉しかったことを覚えています。

「革命的」な性能の秘密は“シリコン樹脂”

シリコンREVO1000の魅力、それは「耐候性・低汚染性などの性能において水性二液シリコン塗料と同等以上の高性能」であるということです。私達技術開発本部では、最初の開発目標の段階で「あらゆる性能において従来のハイクラスシリコン塗料を凌ぐ革命的なシリコン塗料を作る」ということを目標としており、とりわけ耐候性・低汚染性において高性能を発揮することに対しては、強いこだわりをもっていました。

そして高性能を発揮するために最もこだわったのが「シリコン樹脂の量と質」です。

こだわり① シリコン樹脂の含有量が他社の約3倍

一般にシリコン塗料の主成分であるシリコン樹脂は、シリコン成分(シロキサン結合)を中心に構成されています。このシロキサン結合は、ガラスや鉱石などの無機物と同じ構造で、結合エネルギーが非常に高いため紫外線などの劣化要因に破壊されにくく高い耐候性を発揮するのが特徴です。
シリコンREVO1000は、他の水性一液シリコン塗料と比較して高い耐候性を発揮させるために「シリコン成分の量」にこだわることにしました。そして、開発を進める中で他のシリコン塗料の約3倍ものシリコン成分を含有することに成功。シリコン成分の量が豊富であるほど紫外線に破壊されにくくなるため、この含有量調整の成功により、高耐候性を発揮することが可能となりました。

こだわり② 表面が強靭な層を持つシリコン樹脂

これまでのシリコン塗料に使用されているシリコン樹脂は表層が柔軟なため汚れが付着しやすいという課題を抱えていました。そのためシリコンREVO1000は低汚染性を発揮するためにシリコン樹脂がポイントになると考え、あらゆるシリコン樹脂の選定を行いました。そして「表面が非常に強靭で硬い特殊構造なシリコン樹脂」を採用することに。
このシリコン樹脂は、核部分:衝撃を吸収する層・中間層:柔軟性のある層・最表層:汚れを防ぐ強靭層という3層構造になっているのが特徴です。最表層が強靭性を持っているため、塗膜表面に汚れが付着しにくく、排気ガスなどが染み込みにくくなります。

各種試験にて他塗料を凌ぐ結果に

試行錯誤を繰り返して開発してきた塗料試作品の性能を検証するため、耐候性、低汚染性などを実証する各種試験を実施していきました。

■耐候性試験
耐候性を確認するために、擬似的に雨や紫外線により劣化する状況での塗膜の光沢保持率を確認する促進耐候性試験(キセノンランプ式)を行います。その結果、約13~16年(期待耐用年数)経過後も、光沢保持率80%以上を保持しました。従来のハイクラスシリコン塗料と比較しても高い耐候性を発揮することが実証されました。

■低汚染性の比較実験
低汚染性を確認するために、屋外ばく露試験という試験を行います。この試験は他社の低汚染シリコン塗料を塗布した塗板とシリコンREVO1000を塗布した塗板を用意し、半年間、屋外でばく露させる試験で期間内の汚れの付着具合を調査する試験です。その結果、他の低汚染塗料と比較しても、汚れの付着が目立たず、低汚染性を発揮することができました。

このようにして、各種試験で他のシリコン塗料を上回る性能が確認でき、研究開発を始めた当初目標としていた「従来のハイクラスシリコン塗料を上回る高性能を発揮する革命的なシリコン塗料」という目標を見事達成。2018年11月に開発から2年の歳月を経て、無事発売を迎えることができました。

発売から一転「販売休止」の事態に

現場での仕上がり改善が急務に

シリコンREVO1000の発売開始から1ヶ月が経過し安心していた矢先、思わぬ事態が発生しました。

「シリコンREVO1000の販売一時休止」です。実際の塗装現場で塗装されたあとの仕上がりに気泡跡が発生するなどの改善点が発生し、販売続行できる状況ではないとの判断でした。
販売休止が決まった瞬間は「現場での作業性確認が事前にもっと徹底できていれば」と非常に落ち込み焦りました。しかし、次の再販までに、「お客様に安心して塗料を使ってもらい、消費者の方に塗り替え後の仕上がりに満足してもらうために、絶対にこの限られた期間で改善し、良い塗料を作り上げよう」という強い想いを持って、再度開発に着手しました。

再販までの期間は、休日も関係なく毎日出社し「どうしたら改善できるのか」「仕上がりを良くするためには何が足りないのか」など朝から晩までシリコンREVO1000のことだけを考え続け、必死で実験を繰り返していました。

そして、発売休止から2ヶ月経った頃、塗料研究に関する専門機関の方に相談し、シリコンREVO1000に一番マッチする添加剤を見つけることができました。そしてこの添加剤を使って、仕上がりの実験を行ったところ、見事、気泡跡を大幅に低減させることに成功。販売休止の原因となっていた課題をクリアすることができ、2019年4月に無事、再販を迎えることができました。

再販が決まった瞬間は嬉しかったというより、またお客様の元へ提供できる、という安心が強かったのを覚えています。

失敗から学んだ「現場」の重要性

販売→販売休止→塗料の改善→再販という一連の事態を経験して実感したこと、それは「現場の重要性」です。たとえ、研究室での実験レベルで良い性能を持つ塗料を作ることができたとしても、現場で使用する職人様が塗りやすさや扱いやすさに満足してくださり、家を塗られた施主様が塗替え後の美しさに満足してくださるような塗料を作らないと意味がない、ということに気づかせていただきました。

研究室での実験と同様に、現場での声に耳を傾けて、塗料を改善させいくことが非常に重要であるという学びを得た機会となりました。

塗料の研究開発の魅力とは?

開発業務の魅力は、自分の作った製品を通して、塗装店様や施主様に満足していただけることです。自身が考えて生み出したものが世の中の役に立っていることを実感できて嬉しいです。また、自分が開発した塗料の売上がどんどん上がっている様子を見るのも楽しさの一つです。売上が上がっていくということは、その分、塗装店様や施主様に喜んでいただいているということであると思いますので、自分自身の次の開発品へのモチベーションにもつながっています。

これからの目標・展望

技術開発の立場が研究開発に満足して塗料を開発できたとしても、現場で扱いづらいというご意見が出ては開発した意味がありません。やはり現場の課題が解決されて、現場の方・施主様に喜んでいただける「こんな塗料がほしかったんだよね」と言われるような付加価値の高い塗料を作りたいです。

また、私が作った、シリコンREVOをアステックペイントが代表する塗料への進化させるのも私の役割であると考えています。そのためにも、これからも現場の声に耳を傾けて、性能・価格ともに塗装店の皆様に喜んでいただけるように改善を続けていきたいです。

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